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刑事コロンボの憂鬱

- "Columbo" Review -

●ピーター・フォーク
 やぶにらみにぼさぼさの髪。身分違いの葉巻。何といってもトレードマークはよれよれのレインコート。が、最初の頃は意外にもこぎれい。しかも、後に人情家のイメージと異なり、第一作「殺人処方箋」では、コロンボは非情な刑事風でした。声は名調子、小池朝夫。「うちのかみさん ... 」、と言うその声はなめらか。アクセントが目立つ優しげな口調。もっともピーター・フォークの声はだみ声で平坦。ややきつい調子なのがオリジナルであるところはちょっとおもしろいあたり。
 ちなみに小池朝夫氏は歴とした俳優。悪役として活躍することの方が多かったようです。新シリーズでは、途中惜しくも亡くなった小池氏に代わり、"困った時の"石田太郎(黒柳徹子談)。こちらはこちらで定着を見せていますから、やはり元作の底力と言っていいのでしょう。

* 一部物語の結末に言及しています。お気をつけください。

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●愉快痛快
 ミステリーの本場といえばイギリス。アメリカでは育たなかったとされる推理ドラマ。コロンボはその常識を覆した作品でもあります。
 コロンボものは倒叙ミステリーといわれます。探偵側から描く謎解き型とは異なり、犯人の側から犯行を丹念に描写していく手法です。しかし、やはり本格ものに比べると欠陥が多いのも事実。特に批判も多かったご都合主義の解決術でしょう。
 例えば第一話は「殺人処方箋」。最後に犯人が愛人を裏切る言葉を吐き、それによって愛人は真相を打ち明ける決心をするわけですが、ここまでに一芝居、つまり罠を仕掛けています。コロンボの挑発に犯人が乗らなかったとしたら、逆にコロンボが致命的なダメージを受けるのですが、このリスクはあまりにも大きいのではないでしょうか。犯人の自白が必要という状況の中、ラストの罠で犯人が"心理的"な操作に引っ掛かるという話は他にいくつも出てきます。中には、「ロンドンの傘」のように証拠をでっち上げ、いくら何でも違法捜査だろう、なんてのも。
 ところが、「逆転の構図」ではこんなくだりがあるのです。最後にコロンボの罠にはまり証拠品のカメラを手にしてしまった犯人。「もし私が取らなかったら」、と言うとコロンボはただ黙っているだけ。その表情を見て、「取ると分かっていたのか・・・」と、驚く犯人。果たしてコロンボは優れた心理能力者でもあったのか。いずれにしてもこれらのシーン。溜飲が下がる人気のクライマックスシーンであることに代わりはありません。

全45話を完全収録の超お買得BOXセット。特別収納BOX入り。※限定品

●意外や意外
 シリーズには到叙ものに反して謎解きやサスペンスを重視したものもあります。特に最後まで明かされない犯人は推理者の醍醐味十分。印象的だったのは「二つの顔」。ミステリーの掟破り、"双子"をモチーフにしたことから、作品の内容とは別の意味で印象に残りました。が、どちらが犯人なのかは興味津々。
 もう一本、「さらば提督」。序盤から犯人と思われる人物の行動が描かれ、見る者を翻弄します。が、途中、その人物が殺されてコロンボの捜査は振り出しに。それでは一体誰が犯人なのか。残された文字の型紙の謎。見えない人間関係の糸。と、非常に見所の多い一本ではなかったでしょうか。
 そして何と言っても「偶像のレクイエム」。スタジオ内に長年住み着いている女優。悪評が絶えない芸能記者と結婚するという秘書。相手の男の車に仕掛けた爆弾。しかし見つかった死体は何と秘書のもの。女優の狙いは本当に相手の男だったのか。最後まで謎が引っ張られて、さらには、あっ、という新事実が待ち構えています。伏線も十分に張られており、屈指の名作に仕上がっています。

●共演者たち
 コロンボのもうひとつの見所と言えば、やはりゲストスターとの攻防戦。商業作品的には、ここでゲストである犯人を描写する倒叙ものの手法がフルに活きてくるわけです。 目立つ顔といえば、ロバート・カルプ、ロバート・ボーン、ジャック・キャシディなど。同一シリーズで、ひとりの俳優が違う役で何度も出演する。同じ役で復活、なんてのはありますが、違う役となると日本では考えられないことで、かく言う筆者も抵抗感を禁じ得ません。他の方はどうなんでしょう。
 ゲストだけではありません。「祝砲の挽歌」、「仮面の男」の犯人役、パトリック・マッグーハン。いずれも名作としてあげる人が多い作品。その後、何本も演出を担当することになり、こちらでもいずれもが好評。
 異色の作品もあります。スティーブン・スピルバーグが演出した「構想の死角」。その後有名になり特に注目されるようになった作品です。テレビのしかも演出だけの仕事ですから、それほど注目しても仕方がないのですが、俳優が演技をしやすいように気を配る様子を見て、ピーター・フォークはすでに非凡なものを感じていたとか。
 そのピーター・フォーク自身が唯一演出した「パイルD-3の壁」。が、だれ気味のシーンがあったりして成功作とは言いがたい出来。それでもラストのスーパーどんでん返しで一気に盛り返し、結果、評価の分かれる一本のようです。

「構想の死角」、「死の処方箋」、「別れのワイン」など7シーズンズ全45話を紹介。コロンボのすべてがわかる感涙の一冊。

●マイ・ベスト
 コロンボファンは世界中に掃いて捨てるほど、と言っては失礼ですが、それほどたくさん存在します。そしてそれぞれに思い思いのお気に入りがあるようです。ある作品を一方では傑作、一方では駄作、なんてことは良くあることで、ベスト / ワーストに挙がる作品もまちまち。
 もりじょうにもお気に入りの作品は多々あります。特に犯人の人生に入れ込んだ「秒読みの殺人」は好きな作品。テレビ局の副支社長の女性が恋人の支社長を殺害してしまう話です。しかしその後、彼女の悲しい生い立ちが語られ、そして後半では破滅へ進んでいく人生が刻銘に描かれていくのです。そんな犯人を容赦なく追い詰めるコロンボ。ここは人情ものに傾斜しがちな日本の作品のつくりとは違うところ。
 犯行には同情の余地がない「秒読みの殺人」は別にして、どんなに同情できる犯人でも容赦なく逮捕するのがコロンボ。犯人がコロンボと親交を深めていく「別れのワイン」もその一本。
 実は、そんなコロンボも一度だけ犯人を逮捕しなかったことがあります。「忘れられたスター」がそれです。夫を殺したにもかかわらず病気のせいで覚えていない犯人。犯人の余命が少ないことを知ると犯人の親友が自首。そしてコロンボはそれと知りつつ親友を逮捕するのです。推理ものとしての要素は低いのですが、とても切ない物語で一番のお気に入りとなってしまいました。
 それにしてもこれだけの難事件を解決してきたコロンボ。政治家だろうが外交官だろうが、どんな有力者でもお構いなし。かけられる圧力もやんわりとかわし、庶民にしてみればだからこそ痛快さ倍増。「権力の墓穴」ではついに上司をまで捕してしまいます。しかし、それがたたってかどうか一向に昇進の話を聞きませんねえ。そりゃあそうです。だってテレビですから。

(CD-ROM)「5時30分の目撃者」「別れのワイン」「マリブビーチ殺人事件」の3本を収録。

cineme column

(c)morijoh

Data

■刑事コロンボ (第1話〜第45話) かんたんレビュー

●殺人処方箋(1967)
精神科医フレミングが妻を殺害。患者の若い愛人を妻に変装させて旅行へ出かけ、愛人を途中で帰らせる。やがて旅行から帰ると警察が。愛人を利用した偽装工作で完璧なアリバイをつくったはずのフレミング。しかし、愛人の精神状態は徐々に不安定になっていき、ついに・・・。派手な背景に心理戦が繰り広げられる。犯人にせっつかれコロンボに詰問され、おろおろする美しい愛人が何とも可哀想。そこまでいじめなくても、とちょっと同情。が、最後のからくりでは一躍主役に。
(ゲスト : ジーン・バリー / カトリーヌ・ジャスティス)
●死者の身代金(1971)
らつ腕を振るう女性弁護士レスリー。夫を殺害すると死体を車ごと海へ沈めて誘拐を装う。飛行機での現金の受け渡しも完璧に演出。しかしほどなくして犬猿の仲の夫の連れ子が寄宿学校から帰ってくる。彼女は帰るなりレスリーを疑い、父を殺したと騒ぎ始めるのだが・・・。犯人の美しさと冷徹さが印象的。継母を追い詰める娘が見事なアクセント。最後まで二転三転、とサスペンスとしての見応えも十分。
(ゲスト : リー・グラント)
●構想の死角(1971)
相棒との共著で人気を博している作家ケン。実は一行も書けず渉外専門。コンビを解消するという相方を別荘に呼び、言葉巧みに居場所を偽った電話をかけさせる。そうしてアリバイをつくったケンは相棒を殺害。しかし意外なところからケンを脅迫する人間が現れて・・・。推理作家としての才能のない男が唯一才能を発揮したのが実践の場。が、実はそれすらも相棒の考えたトリック。コロンボの相手の性格を見抜いた心理操作が印象的。
(ゲスト : ジャック・キャシディ)
●指輪の爪あと(1971)
腕利きの私立探偵ブリマーはある大物からの依頼で妻の浮気の事実をつかむ。しかしブリマーは浮気の事実はないと偽り、妻の方を脅迫。断られるとかっとなって彼女を殺害してしまう。そして死体を車に詰め運び出すことに成功するのだが、彼女はコンタクトをしていて・・・。もろに疑惑がありながら逮捕できないもどかしさ。その分ラストでコロンボの罠に犯人がはまると満足感も倍増。
(ゲスト : ロバート・カルプ)
●ホリスター将軍のコレクション(1971)
英雄ではあるが軍内部の不正の首謀者であるホリスター将軍。ある夜、海沿いの自宅で部下の一人を殺害してしまい、死体を海に始末する。が、偶然ボートで通りがかった女性の目撃者が。将軍は目撃者を口説きそれが思い込みであるかのように説得するのだが・・・。とても二枚目には見えない老将軍のプレーボーイぶりに驚嘆。目撃者さえなければ完全犯罪?推理ものとしてのカラーは弱いか。
(ゲスト : エディ・アルバート)
●二枚のドガの絵(1971)
デイルは美術コレクターの叔父を殺害。ドガの二枚の絵を盗み共犯者の恋人に渡し自分はアリバイづくりにパーティーへ向かう。やがて邪魔になった恋人を殺害。その後遺された美術品は叔父の元妻へ。遺産を相続するために元妻を犯人に仕立て上げようとするのだが・・・。最後は狡猾な犯人とコロンボの罠の張り合い。最後に笑うのはもちろん・・・。ハラハラしながらも最後に痛快感を得られる作品の一つ。
(ゲスト : ロス・マーティン / キム・ハンター)
●もう一つの鍵(1971)
会社を経営する兄にいつも頭を抑えられているべス。兄の会社の人間と結婚するというと相手を首にすると宣言。ベスは泥棒と間違ったと偽って兄を射殺。ちょうど駆けつけた婚約者は銃声と警報ベルを聞いてベスのもとへ。まんまと正当防衛に偽装したベス。が、婚約者の証言には重大な意味が・・・。内気な女から兄を殺すと傲慢な女へ。最初は同情を買うベスが、後に視聴者の反感を見事に買う変貌振りが鮮やか。証言の穴はもっと早く気づいても・・・。
(ゲスト : スーザン・クラーク / レスリー・ニールセン)
●死の方程式(1971)
遊び癖がたたって叔父の社長からクビを言い渡された化学会社の役員ロジャー。しかし機を狙って社長の葉巻に爆弾を仕込み爆殺を図る。やがて社長の車が運転手と共に行方不明に。そして社内の敵を次々と陰謀で追い出し会社を乗っ取ろうとする。が、社長の死体が崖下から見つかると、そこにはあるはずのないものが・・・。身勝手な犯人はシリーズ中最も憎むべき人物の一人。途中の歯がゆさがラストで見事に解消される。
(ゲスト : ロディ・マクドゥウェル / アン・フランシス)
●パイルD-3の壁(1971)
建築家マーカムは、自分がプランした都市計画の出資者ウィリアムソンに出資を断られて殺してしまう。ほどなく前妻が捜索願を提出。が、空港から車が見つかり旅行説が有力に。その間現在の妻が出資を進める。それでもコロンボはマーカムが建設中のビルの下に死体が埋まっていると読んだのだが・・・。コロンボついに敗北か、と思いきや。やっぱりコロンボが一枚上手。ラストのどんでん返しは痛快。
(ゲスト : パトリック・オニール)
●黒のエチュード(1972)
アレックスは資産家の妻を持つ指揮者。ピアニストの愛人が結婚をにおわせるとガス自殺に見せかけて殺害。修理工場に侵入してあらかじめ修理に出していた車を使うことで万全のアリバイをつくる。が、現場に重大な忘れ物をしたことに気づいて取りにいく羽目に。一方自殺を疑うコロンボが捜査を進めると当夜の目撃者がいて、出入りした男の顔を覚えていたのだが・・・。犯人の迷走ぶりが何とも危なっかしいがなかなか捕まらない。シリーズ中詰めに欠ける一本か。
(ゲスト : ジョン・カサベテス)
●悪の温室(1972)
花栽培が趣味のジャービスは遊び好きの甥トニーと結託して偽装誘拐を企てる。手が出せないトニーの信託財産を身代金として受け取るためだ。そしてまんまと身代金を手中に。が、ジャービスはトニーを殺害してしまう。コロンボが捜査を任せた部下ウィルソンはトニーの妻をマーク、ジャービスの罠でついに証拠を見つけるのだが・・・。とんちんかんな捜査をするウィルソンが何ともおかしい。コロンボを嫌っていたトニーの妻が最後にコロンボを見直すシーンでは溜飲が下がる。
(ゲスト : レイ・ミランド)
●アリバイのダイヤル(1972)
アメフトチームのマネージャー・ポールは自軍の試合を専用ルームで観戦。が、試合中アイス屋に変装してオーナーの許へ。プールサイドにいたオーナーを事故に見せかけて殴殺する。コロンボはふとしたことからポールを疑うが監督が犯行時間に電話を受けたとアリバイを証言。しかしその電話には一つだけ穴が・・・。犯人の変装しての移動はリスクが高いように思うが。でも最後に明らかになる電話のからくりにはちょっと驚き。
(ゲスト : ロバート・カルプ)
●ロンドンの傘(1972)
ニコラスとリリアン出演の「マクベス」の初日前日の楽屋。が、主催者のサー・ロジャーが現れ公園中止を言い渡すと二人はその場で殺害してしまう。二人は密かにサー・ロジャー宅に運び強盗の仕業に偽装。後になって傘を置き忘れたことに気づくと再び屋敷へ。が、サー・ロジャーの執事がからくりに気づいて・・・。コロンボがロンドンで活躍。ラストはシニカルだが全体的にコミカルな作品。ラストはコロンボのいたずら(荒技?)が事件を解決に導く。
(ゲスト : リチャード・ベースハート / オナー・ブラックマン)
●偶像のレクイエム(1972)
落ち目だが女優として活躍するノーラは十数年前に夫を事故で亡くしスタジオ内の家に一人暮らし。今、秘書のジーンが結婚するという。相手はノーラも知っているが芸能ネタをゆすりに利用るような軽蔑する男。ノーラは相手の男の車に細工。やがて車が爆発して中から死体が見つかる。が、その死体は何とジーンのものだった・・・。本当に人違い殺人なのか? しかし動機は? 謎が最後まで引っ張られ、推理ものの醍醐味十分。真相には誰もが驚嘆。
(ゲスト : アン・バクスター)
●溶ける糸(1972)
心臓病をわずらい入院している外科医ハイデマンは同じ外科医バリーの師。新薬開発を独占しようと溶ける糸を手術中にハイデマンの体内に仕込み殺害を企む。が、彼を嫌う看護士のシャロンに疑われると殺害してしまう。やがてコロンボの疑いも強まったため、バリーは糸を回収しようと口実を作って再度手術を行なうのだが・・・。溶ける糸でどうやって殺害するのか。ハイデマンの体をおもちゃのように扱いシャロンを殺して麻薬横流しの罪を着せるなど血も涙もない犯人。凝りに凝ったストーリー展開が見事。
(ゲスト : レナード・ニモイ)
●断たれた音(1972)
チェスチャンピオンのクレイトン。が、元チャンピオン・デューディックが復帰。対戦前日に戯れから試合をすることに。ここで敗れたクレイトンはチャンピオン転落を恐れ、デューディックをホテルのごみ処理機に突き落とす。が、なぜか一命を取りとめ入院。厳しい監視に中、再び入院中のデューディックを殺害しようとするのだが・・・。死んだかどうか確かめない、のはお粗末のような気がするが、中盤からの病院での攻防戦は見応え十分。綱渡りをする犯人にハラハラしてしまいます。
(ゲスト : ローレンス・ハーヴェイ)
●二つの顔(1972)
パリス家の当主クリフォードが自宅で死んでいるところを若い婚約者発見される。突然死のようにも見えるがふとしたことからコロンボは他殺と見る。ほどなく来たのは息子の料理の専門家デクスター。遊び好きで今回も遺産欲しさに殺したようにも思える。が、双子だがまじめな性格の銀行員ノーマンも現れる。お互い殺人の動機となる秘密を暴露しあうのだが・・・。読者への挑戦ならぬ視聴者への挑戦? 双子は本格推理ではご法度。それでも犯人は誰だ、という製作側の意図にはまってしまう。犯行を再構成していく醍醐味も。
(ゲスト : マーチン・ランドー)
●毒のある花(1973)
完成した塗れば小じわが消える化粧品に欠陥があると知り落胆する女社長ヴィベカ。しかし元つばめだった研究員の一人が成功品を密かに隠し持っていた。それを持ってライバル会社に移ると知ると、ヴィベカは彼を殺害して製品を奪う。が、やがてライバル会社に秘書としてに送り込んでいたスパイが真相に気づき脅迫してくると・・・。殺人は衝動的で動機にはやや同情。謎解き感は薄いがサスペンス色は強め。
(ゲスト : ベラ・マイルズ)
●別れのワイン(1973)
ワイン製造会社の経営者エイドリアンのもとに義弟リックが訪れる。リックは会社のオーナー。自分の結婚話と共に採算が悪い会社を売るのだと言う。ワインだけが生きがいのエイドリアンは衝動的にリックを殺してしまう。折しも出張直前。死体をワイン蔵に隠し車を移動させ会社を出る。が、出張から戻ってきてみると・・・。ミステリーの要素よりも人良く紳士的な犯人に思わず情を移してしまう。コロンボと犯人が交流を深めていくのが切なく映る。
(ゲスト : ドナルド・プレザンス)
●野望の果て(1973)
上院議員選挙期間中、豪腕の参謀ハリーが立候補したネイソンに愛人と別れるよう強制する。ネイソンは口うるさいハリーに自分の格好をさせた上で殺害。人違いの暗殺に見せかける。が、コロンボは疑いの目。そこで自分が狙われている証拠にと、自暗殺未遂事件を演出するのだが・・・。終盤の犯人の自作自演はサスペンスの醍醐味がたっぷり。痛快などんでん返しが待ち受ける。
(ゲスト : ジャッキー・クーパー)
●意識の下の映像(1973)
ある宣伝映画の試写会。ケプルが仕組んだサブリミナル映像でノリスは試写室を出る。そこを銃殺。完璧なアリバイと拳銃の始末をしたケプル。捜査を始めたコロンボは監視カメラを見つけるが映写技師は動いていなかったと言う。すると何事かに気づいた映写技師。ほどなくケプルは映写技師と取引を強いられることになるのだが・・・。サブリミナルの専門家のお株を奪って罠を仕掛けるところはさすが。銃弾のトリックもうならせる。
(ゲスト : ロバート・カルプ)
●第三の終章(1973)
出版社の社長ライリーは、契約切れ間近の人気作家マロリーがライバル出版社に移籍するのが許せない。しかも移籍後発表する作品をすでに執筆中。そこでライリーは爆弾マニアの男を騙してマロリーを殺させ、自分はわざと事故を起こしてアリバイづくりをする。ほどなく邪魔な爆弾魔も殺してしまうのだが・・・。執筆中だった小説の一シーンが鍵となる。意外性もあって、なるほど、とうなってしまう。。
(ゲスト : ジャック・キャシディ)
●愛情の計算(1973)
研究所の所長ケーヒルは息子の論文が権威ある賞を受賞して鼻高々。が、古株の研究員ニコルソンが気づき論文が盗作であることを伝え受賞を辞退するよう進言する。が、ケーヒルはひそかにニコルソンの自宅の研究室を訪れると彼を殺害。翌日には極秘資料という名目で書類を勝手に運び出すのだが・・・。車、パイプ、麻薬、書類といった小道具の発見と帰結の仕方が見事。
(ゲスト : ホセ・ファーラー)
●白鳥の歌(1973)
人気カントリー歌手トミーは妻に弱みを握られ莫大な収入の多くを奪い取られていた。自家用セスナで二人を乗せ移動中、ひそかに睡眠薬を飲ませその間にパラシュートを背負い脱出。飛行機事故に見せかける。これが偽装であると見たコロンボ。なかなか尻尾を見せないトミーに罠を仕掛けるのだが・・・。最後のわずかな時間でのどんでん返しの連発は見応えあり。逮捕をあきらめたコロンボの姿も見られます。
(ゲスト : ジョニー・キャッシュ)
●権力の墓穴(1973)
ロス市警次長のマークに友人のヒューから妻を殺してしまったと電話が。が、マークは流行りの物取りの仕業に偽装する。やがて今度は自分が遺産ほしさに妻を殺してしまう。そしてヒューを利用して完璧なアリバイをつくり、またも流行りの物取りの犯行に見せかける。しかし本物の泥棒から脅迫の電話がヒューのもとに・・・。冷酷非道な上司が相手。上司の妨害に会いながら捜査をするコロンボが泥棒と協力するところがミソ。決定的なラストはあまりにも見事。
(ゲスト : リチャード・カイリー)
●自爆の紐(1973)
スポーツジムのチェーンを展開しているマイロ。チェーン店の社長スタッフォードに店から搾取して私腹を肥やしていることを感ずかれ殺害。トレーニング中の事故に見せかけ、さらにアリバイづくりのためパーティーへ。そこへかかってきた電話を受けたのはマイロの秘書。それは確かにスタッフォードの声だったのだが・・・。同情の余地のない犯人。ビキニ美女の隣に暑苦しいレインコートを着たコロンボが何ともアンバランス。
(ゲスト : ロバート・コンラッド)
●逆転の構図(1973)
写真家のポールは出所したばかりのダシュラーを雇い人気のない一軒家を借りさせる。そして別荘を見に行こうと言って妻を連れ出すと銃殺。家に戻り誘拐に見せかける。ほどなくダシュラーも誘拐犯にでっち上げるため銃殺。しかしその一部始終をのんだくれのホームレスが見ていて・・・。ダシュラーの生前の行動から事件を構築していくところはさすが。ラストの罠は実に危なっかしいが痛快でもある。
(ゲスト : ディック・ヴァン・ダイク)
●祝砲の挽歌(1974)
私立の兵学校の校長ラムフォードはひそかに実弾を校庭の礼砲へ。採算が悪い学校の改革を進めていた理事長はそれと知らず礼砲に手をかけ爆死。コロンボは学生たちがいる宿舎に泊り込んで捜査をすることに。やがてりんご酒を学生が密造しているという騒ぎが発生。一見事件とは関係がなさそうだったのだが・・・。ラストはまだ言い訳できそうな気もするが、コロンボが若い学生に混じって奮闘するところは見もの。
(ゲスト : パトリック・マッグーハン)
●歌声の消えた海(1974)
洋上の豪華客船。中古車業者のダンジガーは発作を装い医務室へ。寝ていると見せかけ愛人の歌手を銃殺。アリバイをつくる。が、予期していないところに大きな穴が。それでも船長たちは気がつかずに歌手につきまとっていたバンドの男を捕まえてしまう。そこでダンジガーを犯人と確信していたコロンボは・・・。鑑識の機材がない船内での捜査。コロンボの原始的な捜査が冴える。船長たちのコロンボを見る目が変わっていくのが痛快。アロハ姿のコロンボも見もの。
(ゲスト : ロバート・ボーン)
●ビデオテープの証言(1974)
音で開くドア、車椅子用エスカレータ、そして防犯カメラ、と機械化を尽くしたウィック邸。社長ハロルドは妻の母であるオーナーにクビを言い渡されると強盗に見せかけて銃殺。事前に細工をした防犯カメラのおかげで守衛の目もごまかす。が、二階にいた足の不自由な妻は無意識のうちに異変を感じていて・・・。妻の記憶が鍵。巧みな誘導で記憶を呼び覚ますところは緊張感十分。それにしてもこの無垢な妻には同情してしまいます。
(ゲスト : オスカー・ウェルナー)
●5時30分の目撃者(1974)
精神科医マークと患者ナディアは不倫関係。ある時マークがナディアの家を訪れると彼女の夫が。関係がばれてもみ合いになると逆に夫を殺してしまう。泥棒が入ったと言うようにナディアに言い聞かせるとマークは急いで車へ。しかし門のところで危うく人を轢きそうになる。目撃されたと心配するが、見れば盲導犬を連れた盲人。安堵してそのまま去るマークだったのだが・・・。最後に犯人を待ち受けているトリックは秀逸。
(ゲスト : ジョージ・ハミルトン)
●忘れられたスター(1975)
往年のミュージカルスター、グレースは、ある夜出かけた先で昔と変わらぬ注目を浴びて上機嫌。返り咲きを考えるように。しかし資金を当てにしていた夫は大反対。思い余って、一人映画を見るといって試写室へこもると、途中寝室へ行って夫を殺害してしまう。が、戻ってみるとフィルムが切れてスクリーンは真っ白。グレースはいつものように手際よくフィルムをつなげるのだが・・・。夫が妻の復帰に反対する真の理由がとても悲しい。結末は最も人情味あふれるものとなった。
(ゲスト : ジャネット・リー / ジョン・ペイン)
●ハッサン・サラーの反逆(1975)
あるアラブの王国の領事館。領事のハッサン・サラーは、反体制勢力のしわざにで見せかけるため部屋を荒らした上で警備隊長を殺害する。コロンボはこれが工作で内部犯の仕業と判断。やがてハッサンは自分に協力させていた領事館職員も殺害。事前に犯人に仕立て上げる手立てを講じていたのだが・・・。外交特権を持つ犯人。政治的な圧力をものともせずコロンボが犯人を追い詰める。ちょっとした痛快作。
(ゲスト : ヘクター・エリゾンド)
●仮面の男(1975)
白昼にぎわう遊園地。CIAのブレナーはヘンダソンに情報の取引の指示を。が、取引場所に現れたヘンダソンをブレナーは殺害。コロンボがヘンダソンの会社に身元照会に行くと別人であることがわかる。やがて遊園地で一緒にいたのがブレナーであることを割り出すが、アリバイが。やがてCIAが介入。さらに裏世界の謎の老人の存在が浮かび上がってくるのだが・・・。スパイの世界を舞台にした異色作。CIAにつけられるコロンボがなぜか愉快。スパイ・スリラーとしての醍醐味も十分。
(ゲスト : パトリック・マッグーハン)
●闘牛士の栄光(1975)
ある闘牛士の若者が闘牛マリネロを相手に重傷。ほどなく同じ闘牛士だった父親の死体が牧場の闘牛場に。マリネロに子供の復讐をしようとして返り討ちに、と思われたが、刑事と共にやってきたのはなぜかコロンボ。わずかな状況の矛盾をついて国の英雄である牧場主モントーヤを疑うのだが・・・。スペインが舞台の意欲作。"誇り高き動機"は果たして理解されるのか。
(ゲスト : リカルド・モンタルバン)
●魔術師の幻想(1975)
満員の観客の中、舞台では人気魔術師サンティの脱出トリック。が、再登場する間に自分を脅迫するクラブの経営者を銃殺する。そして何食わぬ顔で舞台へ。死体の位置がおかしいと言って身内の犯行と見るコロンボ。やがてサンティを疑うが、犯行時間にサンティと会話をしたという店員が現れて・・・。知り合いの中を変装してうろつく犯人はあまりにも無茶。しかも目撃者の心配すらしない。が、ゲストの名演とトリックの達人を相手にしたことで注目度は高く人気の一本。
(ゲスト : ジャック・キャシディ)
●さらば提督(1975)
ヨットの造船所オーナー"提督"が書斎で殺される。が、その夜ヨットに乗っていた提督が目撃される。実は娘婿チャーリーの変装。そして死体となった提督は後に海で発見される。事故説が大勢を占める中、チャーリーに目星をつけたコロンボ。そして追い詰めたと思ったその時、再び殺人事件が。コロンボは間違いに気づくことになるのだが・・・。真犯人は最後まで明かされない。が、謎解き感は薄い。最後の罠も決定的とは思えないが、人物同士のしがらみや個々の思惑が分かると満足度十分。
(ゲスト : ロバート・ボーン / ダイアン・ベイカー / フレッド・ドレイパー)
●ルーサン警部の犯罪(1976)
テレビでルーサン警部を演じるウォード・ファウラー。自宅に友人を呼びテレビでのスポーツ観戦中に睡眠薬で眠らせる。その間、目の上のたんこぶだったマネージャーのクレアを、強盗に見せかけてコンビニで銃殺。目覚めた友人には撮っておいたビデオを見せる。完璧な証人。が、店での犯行には意外な穴が・・・。
(ゲスト : ウィリアム・シャトナー)
●黄金のバックル(1976)
歴史ある美術館の館長ルースは経費削減に頭を悩ませるが、赤字が続く理事は閉鎖を求める。ある夜、ルースは理事を殺害。姪のジェイニーが連れてきた警備員、シェーファーも呼び出して理事殺害と美術品横領の犯人に仕立てて殺害してしまう。が、シェーファーの格好はおかしなところばかりで・・・。捜査が進むに連れてルースの意外な過去が明らかになってちょっと悲しい物語に。
(ゲスト : ジョイス・ヴァン・バッテン)
●殺しの序曲(1977)
高いIQの者ばかりが集うある集会。ブラントは同じ事務所のバーティをくすぐってからかう悪い癖が。その日、横領を知られたバーティーを二階で殺害。何食わぬ顔で一階の集会へ。ほどなく二階で銃声。そして倒れる音。皆で駆けつけるとバーティの死体が。完璧なトリックとアリバイ、見えない動機。崩しようが無い犯罪に見えたのだが・・・。頭はいいが傲慢で人間関係はひどい犯人。犯人の自尊心をくすぐる罠はすっかりおなじみ。確実性には欠けるがそれまで分からなかったからくりトリックに驚嘆。
(ゲスト : セオドラ・バイケル)
●死者のメッセージ(1977)
人気ミステリー作家のアビゲールは数ヶ月前にヨット事故で姪を失い、優しげな姪の夫エドモンドが殺したのではと疑う。今や互いに唯一の家族。莫大な遺産はエドモンドへ。そして旅立つ前に人知れずエドモンドを誘い込み金庫の中に閉じ込めてしまう。やがて死体となって発見。閉じ込められたエドモンドがメッセージを残しているはず、と確信するコロンボだったが・・・。手も足も出ない状態でどうやってメッセージを残したのか。おーっ、と関心。が、明かされた過去に何ともいえぬ物悲しさも残る。
(ゲスト : ルース・ゴードン)
●美食の報酬(1977)
レストランのオーナー・ヴィットリオのもとに料理評論家のポールが訪れ共に食事を始める。ヴィットリオはポールの脅迫相手。その席でもう金は払わない、すべて暴露すると宣言。そしてポールが帰るとヴィットリオは自分で開けたワインの毒で死んでしまう。疑わしいポールだが毒の種類も毒を入れた方法も分からない・・・。動機や殺害方法が徐々に明らかにされる推理もの本来の味わい。日本食がモチーフだがトリックの道具はほとんどの日本人にはなじみのないもの。
(ゲスト : ルイ・ジュールダン)
●秒読みの殺人(1977)
LAのテレビ局支社長がNYに栄転。が、補佐であり恋人のケイに後釜にするつもりはないと洩らす。そしてケイはみずから手がけた新作の試写中のわずかな時間を縫って支社長を射殺。が、わずかな手がかりからコロンボは内部犯であることを見抜く。やがてケイはみずからのむき出しの野望が災いして・・・。犯人ケイが人生そのものを狂わせていく様が克明に描かれる異色作。最も犯人の人生に入れ込んだ一本。
(ゲスト : トリッシュ・ヴァン・ドヴィア)
●攻撃命令(1978)
ばらのつぼみ。その言葉を発すると目の前のおとなしかったドーベルマンが襲ってくる。電話の向こうでそう言わせたのは心理学者メースン。殺されたのはメースンの助手で亡くなった妻の浮気相手。犬にはキーワードで人を襲うよう訓練したのだった。犬さえ処分されれば証拠は完全に隠滅、のはずだったが・・・。ミステリー性が薄くストーリーもやや淡白。キーワードの発見が鍵。ラストの犯人、コロンボ、ドーベルマンのスリーショットは緊迫感十分。
(ゲスト : ニコル・ウィリアムソン)
●策謀の結末(1978)
ホテルで殺された男。所持品の中にあったサインの入った本。相手はアイルランド人の詩人デブリン。実はホテルの男は武器の仲買人。デブリンとの契約を破った報い。コロンボの捜査の手が伸びる隙をついて、みずから調達した武器をアイルランドへ。武器の密輸の方法が分からないコロンボだったが・・・。殺人に政治を絡め、北アイルランド問題をモチーフにした異例の作品。直接問題に触れているわけではないが"アイルランドびいき"の筆者にはちょっと抵抗感が。
(ゲスト : クライブ・レヴィル)

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