| アナザヘヴン | |
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(2000/日本/131分) [監督] 飯田譲治 [原作] 飯田譲治/梓河人 [出演] 江口洋介、市川実和子、原田芳雄、柄本明、松雪泰子、柏原崇史、岡元夕起子、加藤晴彦、六平直政 [評価] ★★★☆☆ 脳を抜き取るという異常な殺人事件。ある普通の女子大生が容疑者として上がるも同じ手口で殺されてしまう。その驚くべき犯人の正体とは・・・。猟奇ミステリーにSF的な味付けを加えた新感覚のサスペンス。 |
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ストーリー 東京のとあるアパートで死体を発見。早速、早瀬や飛鷹をはじめとする刑事や鑑識たちが大挙押し寄せます。現場の部屋、ある捜査員がいいにおいに誘われてなべのふたを開けてみると、そこには人間の脳みそが。被害者の脳みそは抜き取られて空っぽになっていたのでした。 現場の状況から考えて、犯人は超人的な力の持ち主、といわざるを得ない鑑識の赤城。しかし現場には女性の出入りが。行方不明中の女性を探しているうちに、早瀬たちはまじめな女子大生柏木千鶴に行き当たります。犯人像とは全く正反対の千鶴。容疑者として追い始めた矢先、当の千鶴の死体が発見されます。しかも頭の中はまたもや空っぽ。 この頃、早瀬には風俗嬢の朝子がつきまとっていました。早瀬にはその気はなく、相方の飛鷹もいい顔をしませんが、朝子は早瀬が好きでたまらないらしく何かにつけまとわりついてくるのです。ただ朝子には勘の鋭いところがあり、この事件には人間でない"ナニカ"の存在を感じると言います。最初は信じなかった早瀬。やがて、異なる犯人が、人間とは思えない超人的な能力で事件を起こす異常さを目の当たりにして、根っからの現実主義者の飛鷹でさえ、"ナニカ"の存在を気にかけるようになります。 鑑識の赤城とも相談し、"ナニカ"が人間にとりついて犯罪を続けているのでは、とも思うのですがそれが何なのかはっきりしません。やがて、早瀬と親しくなり、彼の部屋にやってきた美人医師美奈。偶然美奈と部屋で出くわしてしまい嫉妬する朝子。しかし勘のよい朝子は、すぐに美奈を変だと気づき、早瀬に教えようとするのですが・・・。 コメント 派手なストーリーでエンターテイメント色が非常に強い作品。刺激的なモチーフを次々と繰り出し、おもしろさを十分に意識したつくりとなっています。一方で、"アナザヘブン"(もう一つの天国)とは一体何を象徴しているのか。"善"と"悪"。その本質とは? 人間が持つ既存の倫理観を破壊するほどの哲学的なテーマをも感じ取ることができる、といえば言いすぎでしょうか。 本作でストーリー以上に魅力的なのは登場人物。特に魅力的なのは市川実和子演じる朝子でしょうか。三枚目の役どころにしてはずいぶんとキュートな女優さんですが、この人物、物語のキーマンであり作品の本質を体現する存在となっています。まあ、そんなことよりも前に朝このいじらしさやけなげさにやられてしまうんですけどね。 本作品の本質。エンターテイメント作品なだけにこういうものは軽く見られがちですが、製作者の意図とは別にしても大変に深いテーマを含んでいるように思います。悪意のかたまり、とはいったい何なのか。イメージとしては、未来に人類が封じ込めたものがなぜか過去に流されてきた、そして肝心なのはこれを物理的存在と同様に扱っているという点。どんな人間でもその悪意を増幅させればこの様になり得る。脳は知の象徴、そして善悪の判断を生むところ。それがなくなるとき、それでも"悪"というという観念は存在するのでしょうか。つまりは善と悪とは所詮人間がつくった観念である、という怖さを実は含んでいます。が、しかし。そう。善悪を超えるものがある、ということもまた描かれている、と思うのですが、これ、果たしてもりじょうの一人合点なのかどうか。 さて、物語はひどくテレビ的。冒頭からしてちょっと、と思ったところ。ばらばら死体や水死体などのひどさを知っているはずの現場の刑事や鑑識たち。脳のスープにとんでもないパニックになる、なんてことがあるのでしょうか。要は、何てことのないシーンでも無理やり盛り上げて大層にしてしまう、というここ十数年でテレビ界が映画界にばら撒いた弊害。だとは思いたくないのです(現にこのシーンは原作どおりなのですが原作も監督本人)が、他にも大したアイディアでもないのに非常に驚くべきところとして盛り上げてみたり、と作品の質そのものには疑問が残るのではないでしょうか。おもしろくしたい、という気持ちは分かりますが、やはりそこは"正直に"つくりこんでほしいところ。でもそれではビジネス上の方に問題があるのでしょう。 "悪意"というモチーフに目をつけ、そこからストーリーを広げていった点はやはり新感覚と呼ぶにふさわしい視野ではないでしょうか。この映画の性質上、謎やトリックを追っていくとがっかりする方が出てくるかもしれませんね。それよりは登場人物を追って、雰囲気に流されながら見ればかなりおもしろく見れるのでは、と思います。 |
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