映画鑑賞記

あさってDANCE
(1991/日本/91分)
[監督] 磯村一路
[原作] 山本直樹
[脚本] 香川まさひと
[撮影] 長田勇市
[音楽] 渡辺勝

[出演]
中嶋朋子、石橋保、裕木奈江、ベンガル、石野真子、中島陽典、柄本明、大杉漣

[評価] ★★★☆☆
 貧乏劇団員スエキチは曽祖父から大金を相続することに。その曽祖父の葬式で泥酔。翌朝目覚めると見知らぬ女性・綾が部屋に。以来つきまとわれるが徐々に好きになっていく。そんな中、劇団の新人・深雪とも親しくなり ・・・。突如見知らぬ女につきまとわれることになった男の物語。荒さと淡白さは残るが男女の機微をコミカルに描き出したラブ・ストーリー。
ストーリー
 古びた一軒家に一人暮らしのスエキチ。ある朝二日酔いとともに目覚めると部屋に見知らぬ女性が。昨日は曽祖父・大吉の葬式。親戚に飲まされて前後不覚になって記憶がありません。その女性・綾は妙になれなれしく、いつの間にかいなくなってしまいますが、夜家に帰ると弁護士だという男と家にいます。
 聞けば立見弁護士は昨日も説明したのだと言いますが、泥酔していたスエキチは覚えていません。そして立見弁護士から大吉の遺言ビデオを見せられます。それはスエキチが結婚したら四億五千万相当の遺産を譲るというもの。大して親しくもなかった大吉の遺言に驚いてしまいます。
 しかし結婚する相手などいないスエキチ。所属する貧乏劇団の代表・マサミに憧れてはいましたが、一方では、葬式の日以来綾はやたらとスエキチにつきまとうようになっていました。ある日、その綾がなぜか劇団に見学に。その後劇団にも顔を出すようになっていきます。
 最初は遺産狙いかとも疑い迷惑顔をしていたスエキチでしたが、段々と綾のことが気になり始めます。一方、劇団には深雪という新人が入ってきてスエキチに接近。スエキチも深雪に魅かれていき、二人は急速に親しくなっていくのでしたが ・・・。

コメント
 山本直樹の人気コミックの映画化。軽快な原作そのままに、コミカルながらも男女の機微を繊細に綴ったラブ・ストーリー。ここのところ実力派としての位置が定着しつつある磯村一路(かずみち)が監督。また、中島朋子が個性的なキャラクターを持つ主人公を好演しています。
 物語は、スエキチ(石橋保)という貧乏劇団員が見知らぬ女性が部屋にいるのを見つけ、以来、なぜか、その女性・綾(中島朋子)につきまとわれてしまうというもの。スエキチは実は亡くなった曽祖父から莫大な遺産を相続することになっていて、果たして綾は遺産狙いなのか、という謎を、見る者につきまとわせます。そして、綾の真意は最後に明かされることになるわけです。その理由は切なさと爽快感とが混じったもの。彼女のの繊細さが伝わってきます。
 他方、スエキチの前には深雪(祐木奈江)という女性も現れます。劇団の新人なのですが、スエキチは美しい深雪にも魅かれて行くのです。そして彼女が登場する辺りから、綾と三角関係化。情感豊かな展開へとふくらんでいきます。その綾には秘密が。突然見知らぬ男性が踏み込んできて綾を連れ戻しに来たのです。
 これらを含め、ミステリアスなシチュエーションの妙を巧みに活かし、さらに飽きさせない展開をテンポよく投入していくつくり。と、おもしろさは十分のように思います。が、その分感情表現はやや唐突。そのせいで綾という人物には情緒不安定というイメージを持ってしまいます。また、スエキチが綾を好きになっていく過程も見たかった点。個人的には、感情の変遷・流れを描く丁寧さが欲しかったところではあります。
 コミック原作の映画化は安っぽくなったりアイドル映画になってしまったり、と質的にどうか、という作品になりがち。本作もその傾向は免れません。多分に漫画的、というよりもコミックの再現にこだわったのでしょうか。かえって荒さや淡白さを感じてしまい、映画本来のリアリティのある映像表現には欠ける印象は否めません。登場人物たちの繊細な感情表現がポイントの物語であるだけに、ちょっと惜しいような気はします。が、本作のようなつくりはありがち。かえってマニアックな部分がうけたりすることもあるもんです。最初からその分を割り引いて見るのがいいのかもしれません。
* 評価やコメントは、あくまでも、"もりじょう"の個人的な感性に基づくものです。
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