映画鑑賞記

秋桜
preview コスモス(1997/日本/103分)
[監督・原作] すずきじゅんいち
[脚本] すずきじゅんいち / 小杉哲大
[撮影] 奈良一彦
[音楽] 瀬間好孝 / 佐村河内守

[出演]
小田茜、松下恵、夏木マリ、山岡久乃、宍戸開、石井愃一、安齋恭央、宍戸錠、藤田敏八、川地民夫

[評価] ★★★☆☆
 南米でHIVに感染してしまい故郷福島に帰ってきた高校生の明子と母清美。周囲の偏見と差別と戦いながらも、親友の明子や担任の松原に励まされながら明るく振舞おうとするのだが・・・。HIVに対する偏見とそれを克服しようとする少女の姿を描いたドラマ。シチュエーションや演技にはやや極端の感もあるが感動の物語。
ストーリー
 南米で輸血を受けたことからHIV(エイズ)に感染してしまった17歳の明子。7年ぶりに故郷福島に戻ってきます。それでも明子は明るさを失わず、通うことになる高校へも自分からHIVであることを告白するのでした。かつての親友夏実も最初は戸惑いますが、昔と変わらない明子の姿を見るとそんなわだかまりなど消えてしまうのでした。
 しかし学校の親をはじめとして町の人間たちは明子を快く思っておらず、明子の退学を学校側に求めます。そんな中、学校の朝礼中に貧血で倒れた明子。しかし、周囲の不安はさらに増していき、明子とは母清見に対するあからさまな差別が目立つようになります。
 ある時、明子と付き合うなとしつこく言う父親の偏見に嫌気がさした夏実。家を飛び出して明子の家に泊まるようになります。が、そこで、表面は明るく振舞う明子と母の清美が、大変な苦しみを背負っていることを知るのでした。やがて学園祭のために二人でコントを練習するようになるふたり。が、ある時明子は倒れてしまい・・・。

コメント
 啓蒙映画の趣が強い本作。HIVの問題はアメリカの映画界でも早くから問題視され、数々の作品がつくられてきました。が、高校生の感染と周囲の反応・対応を描いた本作はやや新鮮な切り口かもしれません。何よりも若年層が入り込みやすいシチュエーションではないでしょうか。その意味では、より幅広い層へのアプローチを試みた意欲策とも取れます。
 物語は、南米で受けた輸血によってHIVの感染して発病してしまった一人の少女がが、母親とともに故郷福島へ帰ってくるところから始まります。が、病気だけでなく周囲の偏見や差別とも戦わなければならなくなります。一方では親友の夏実の目を通して、その苦しみや周りの有様が伝えられていきます。見方を変えればこの物語は夏実の体験談と取ることもできるでしょう。描写にはやや偏りが感じられますが、地元の人たちの反応はやはり生々しいもの。実際はどうなんだろう、と関心を持たざるを得ません。
 同時に実際の病気はどうなんだろう、とも思います。現実はもっと苦しいものであろうことは容易に想像がつきます。が、映画では、病気の悲惨さや苦しさを十分に描くことは希のようです。本作もテーマ性が偏見や差別に傾いていることから、病状の描写よりもストーリー性を重視した、と言えるでしょう。
 より多くの人がこの問題に関心を持って欲しい、そして正しい知識を得て欲しい。そんな想いが確かに伝わってきます。感動する以上に考えさせられる映画かもしれません。
* 評価やコメントは、あくまでも、"もりじょう"の個人的な感性に基づくものです。
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