映画鑑賞記

クレージー作戦 くたばれ!無責任
preview (1963/日本/92分)
[監督] 坪島孝
[脚本] 田波靖男
[撮影] 遠藤精一
[音楽] 広瀬健次郎

[出演]
植木等、ハナ肇、谷啓、犬塚弘、安田伸、桜井センリ、石橋エータロー、浜美枝、藤山陽子、北あけみ、淡路恵子、山茶花究、清水元、佐田豊、上原謙、中北千枝子、石田茂樹、北川町子、田武謙三、東野英治郎、堺左千夫、瓜生登代子

[評価] ★★★★☆
鶴亀製菓の新製品ハッスルコーラ。興奮エキスのせいで許可が下りずエキスを抜いて販売することに。それと知らず責任を押し付けられたのは会社のお荷物七人。が、なぜか見る見るうちに売り上げを伸ばして・・・。やる気のなかったダメ社員たちが奮起して成功を遂げるまでを描く痛快コメディ。意外とまじめなテーマで自分を見つめなおすことになる、かも?
ストーリー
 歴史ある鶴亀製菓。役員会で石黒専務が画期的な新製品"ハッスルコーラ"を発表します。早速実験に、と、社内一やる気のない社員・田中太郎を呼びつけて飲ませると効果てきめん。バリバリ仕事をこなすようになります。実は中には興奮剤のようなエキスが入っていたのでした。
 しかし、興奮剤が入っていることで役所からの認可が下りず責任問題に。仕方なくエキスを抜いてから、コーラの販売子会社をつくって売らせることにします。言葉巧みに子会社を押し付けられたのは総務の大沢課長。集められた社員は、田中一郎はじめ普段から役に立たない者ばかり。コーラにもはやエキスがないとは知らない七人。が、コーラを飲むとやる気が出ると信じて、あの手この手で売り込んで、何とか業績を伸ばしていきます。
 一方、あくまでも子会社に責任を押し付けるつもりの石黒はコーラの製造をやめさせてしまいます。続けたいなら株を買い取って自分たちの会社にすればいいと言う石黒。そこである銀行の支店に融資を頼みに行きますが断られてしまいます。こうなれば直接頭取に交渉を、と、本店の前で待ち伏せ。頭取をつけ回してみるのですが・・・。

コメント
 "作戦"シリーズの二作目。"無責任"シリーズの三作目でもあります。コメディ作品ながら教訓めいたストーリーで、意外とまじめなつくり。時代が時代だけに精神論的なモチーフではありますが、結構励まされたりしてしまいます。
 物語は、興奮エキスが入ったハッスルコーラをめぐる騒動を描いたもの。興奮剤が入っていては許認可が下りず、結局エキス抜きで販売。それと知らずに責任を押し付けられたのは七人のお荷物社員。中でも田中太郎は社内一の無気力社員。ところが、エキスが入っていないはずのコーラを飲んで大奮闘してしまう、という痛快なストーリー。
 この田中太郎=植木等の変わりぶりが実に秀逸。やる気のないと時と元気がみなぎっている時との演じ分けが鮮やか。モノクロとカラーを巧みにフェードさせる効果もしっかり効いています。もっともあまりスムーズではありませんがそこはご愛嬌。いずれにしても、二役、と言ってもいいほどの見事さ。その名優ぶりにあらためて感心してしまいました。
 終盤、ハッスルコーラにエキスがないと知った田中太郎。これで元の無気力人間に逆戻り、と嘆くところは切なさがにじみ出ています。が、恵子が"勇気と自身"があれば何でもできる、と励ますのです。斜に構えて見れば精神論になってしまいますが、なかなかジーンとさせる場面ではないでしょうか。そしてラストは銀行頭取(東野英治郎)が何とも胸のすく決断。あの穏やかな笑顔は"水戸黄門"を彷彿とさせますな。いずれにせよ何とも痛快。
 後の作品に比べてテンポの良さ、という点では今ひとつ。まあ、シリーズにはテンポがよすぎるものも多いので、比べてしまってはいけないかもしれません。さらにシチュエーション自体も荒唐無稽なのですが、ハチャメチャぶりを押え、人間の気力を追ったテーマ性と人情味を加えたことで感慨深い作品になっているのではないでしょうか。
 タイトルの"くたばれ!無責任"とは、会社の経営陣に対しての言葉。が、一歩踏み込めば、自分の無気力さに対しての言葉でもあります。と気づくと自己反省。そしてやる気が出てくる、かもしれません。
* 評価やコメントは、あくまでも、"もりじょう"の個人的な感性に基づくものです。
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