映画鑑賞記

喜劇 団体列車
preview (1967/日本/91分)
[監督] 瀬川昌治
[脚本] 舟橋和郎
[撮影] 坪井誠
[音楽] 木下忠司

[出演]
渥美清、佐久間良子、ミヤコ蝶々、笠智衆、城野ゆき、大辻伺郎、市村俊幸、沢彰謙、由利徹、河野秋武

[評価] ★★★★☆
 国鉄の駅員・彦一が迷子を届けに行くと未亡人の母・小百合に一目ぼれ。一方で、母の企みでそれと知らずにお見合いを。相手の父娘とすっかり意気投合。が、小百合が忘れられず、家まで行って助役試験の先生を頼むだが・・・。人は好いがどこか間抜けな男の恋の騒動を描いた人情喜劇。さすがにつくりは古いが涙と笑いにあふれた90分。
ストーリー
 四国の伊予和田駅に勤める山川彦一。ある時、迷子の子供を届けるため母親のいる宇和島へ。そこで会った未亡人の母親・小百合に一目ぼれしてしまいます。やがてお礼の手紙が来ると、お返しに、と小百合の家を訪ね、助役試験の家庭教師を頼みます。彦一は助役試験には三回も落ちて間もなく四回目を迎えようとしていたのでした。
 一方、彦一の母お杉と叔父の八五郎は見合いをさせようと相手を見つけてきたところ。しかし彦一にそんな気はありません。そこで一計を案じたお杉。ひそかに見合い場所の了賢和尚の家まで誘導して相手の邦子に合わせてしまいます。が、最後まで見合いとは気付かない彦一。助役試験に八回も落ちたと言う元国鉄の父・友造の方とすっかり意気投合してしまいます。その上、好きな人がいると告白してしまう始末。
 そんな彦一。小百合の指南の甲斐あって一次試験に合格。喜び勇んで報告に訪れたところ小百合は不在。しかも子供が急病で付きっ切りで看病することに。朝を迎えようやく快方に向かった容態でしたが、その日は大切な面接試験の日。彦一は寝不足で頭がボーっとしたまま面接会場に向かうのでしたが・・・。

コメント
 喜劇列車シリーズの第二弾。人情味あふれる物語と渥美清の見事な演技で笑いと感動の喜劇に仕上がっています。主演渥美清の演技はまさに、映画の中の、というよりは物語の中でとる笑い。見ていて自然に顔がほころんでいるのがわかります。クレージーキャッツやドリフターズの笑いはやはりコント。この違いはとても大きいと思うのです。俳優渥美清の評価が極めて高い理由はこんなところにもあるのでしょう。
 物語は、人は好いが助役試験には三回も落ち、ちょっと抜けたところがある駅員・彦一の恋の話。おもしろいのは、彦一(渥美清)が小百合(佐久間良子)に思いを寄せるのを知らない母お杉が、友造(笠智衆)・邦子(城野ゆき)父娘に見合いとして会わせてしまうというところ。その彦一が見合いだとは気付かないことから、誤解が誤解を呼んで大騒動になっていくのです。しかも邦子は彦一を好きになってしまい、これが三角関係となって後半は一段ともつれてしまいます。
 彦一と母お杉(ミヤコ蝶々)とのやり取りがおかしいのですが、これが自然な感じ。いつの間にか笑ってしまっています。一方で感動的なのは彦一と友造との絆、彦一と小百合母子との交流でしょう。個人的に好きなシーンは、中盤、試験に落ちた彦一が試験に受かったことをひけらかす若い職員・太宰を諭すところ。八回も試験に落ちついに助役になれずじまいの友造の家に連れて行き、人命救助などの四枚の表彰状を見せるのです。何度見てもほろっときてしまいます。
 さすがに古いつくりで、展開にも一つ一つのシーンにも緻密さはありませんが、笑ったり泣いたり、と、ここまで楽しませてくれればもうご愛嬌と云うほかありません。おすすめ、という以上にもりじょうお気に入りの一本でもあります。
* 評価やコメントは、あくまでも、"もりじょう"の個人的な感性に基づくものです。
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