| 巌流島 | |
|---|---|
|
(2003/日本/75分) [監督・原作・脚本] 千葉誠治 [撮影] 佐光朗 [音楽] 大坪直樹 [出演] 本木雅弘、西村雅彦、田村淳、吉岡美穂、金子昇、筧利夫、羽賀研二、藤村俊二 [評価] ★★★☆☆ 大事な決闘の朝、手ごめにした娘に一服盛られて苦しむ宮本武蔵。何とか漁師の助蔵に船を出させて巌流島へ。が、隙を狙っていた助蔵に殴られると失神。島に着くと決闘相手の佐々木小次郎に事情を説明しようとした助蔵だったが・・・。巌流島の決闘を奇想天外な発想で描いた歴史パロディ。どっちつかずのつくりだが滑稽な人物たちは秀逸。 |
|
ストーリー 慶長十七年のある朝、みすぼらしい小屋から逃げ出す娘。続いて中から出てきたのは娘を手ごめにした剣豪・宮本武蔵。ほどなく怒ってやってきた娘の兄二人。がまったく歯が立たず、ひとりは返り討ち、もうひとりの助蔵は奴隷同然にこき使われる羽目に。そこに握り飯を持って戻ってきた娘。それを食べた武蔵はたちまち腹を下してしまいます。娘が復讐にと握り飯に一服持っていたのでした。 その頃、舟島では武蔵を待つ武士三人が海岸にたたずんでいました。剣豪・佐々木小次郎と細川藩の立会人、今井と吉本。そこで、長い刀の方が勝つ、と武蔵を打ち破るイメージトレーニングを繰り返す小次郎。しかし今井は、これが小次郎を暗殺しようとする藩の陰謀であることを打ち明けるのでした。 一方、武蔵は助蔵に船を出させて決闘場の舟島へ急ぎます。。が、途中で刀も持たず船に乗り込んだことに気付き、仕方なく手元にあった櫂を刀代わりにすることに。ところがひそかに隙を狙っていた助増。振り下ろした櫂が当たると武蔵はのびてしまいます。やがて舟島へ。助蔵は小次郎たちに事情を説明しようとしたのですが・・・。 コメント 歴史の盲点、というほどのことではないかもしれません。が、実際、佐々木小次郎についてはよく分かっていないのだそうで、年齢も不明。一説には老人ではなかったかとも。宮本武蔵についても多分に聖人化している節があり、長い年月の間に伝説化した部分も少なくないだろうと思います。また、何せ戦国乱世が終わって間もない時代。剣よりは槍、槍よりは銃、という時代ですから、果たしてどこまで剣術が重宝されたのかはちょっと疑問ではあります。 余談はともかく、本作はその二人が対決した巌流島の決闘のパロディ。笑いを取りたいのか真剣にテーマを訴えたいのかどっちつかずなところは否めませんが、終始ユーモラスな雰囲気ではあります。物語は、巌流島の決闘の日の武蔵(本木雅弘)と小次郎(西村雅彦)のそれぞれの物語を描いたもの。とはいっても、対決するはずの二人が "ちゃんと会うことはない" という不思議な物語でもあります。実は小次郎が臆病者の漁師の助蔵(田村淳)を武蔵と勘違いしたことから話はややこしくなっていきます。 そして終盤はスピーディで迫力ある殺陣が長時間にわたって展開。まあ、さすがに二刀流の極意、というところまではいきません。贅沢を言わせてもらえば、長々としたシーンにするならもうちょっと二刀流ならではの殺陣が見たかったところ。このあたりはスタイルを優先させる現代時代劇の特質なのか単に軽視したのか分かりませんが残念なところ。 武蔵はここではとんでもない不良。女は手ごめにするは人は簡単に殺すは、と手がつけられない乱暴者。良くも悪くも怪演が多い本木雅弘ですが、本作では "ふたりの" 武蔵を見事に演じ分け実力のほどを実感させます。助蔵役の田村淳は意外な才能といえるのでしょうか。芸人さん特有のわざとらしさもなく(やや浮いてはいますが)いい味を出しています。また、他の脇役陣のキャラクターづくりは決して誇張しすぎず好感が持てます。せりふやせりふまわしなどはやや現代寄り。かといって偏り過ぎずほどよい感じ。 もうひとつ。本作の75分という時間は実は微妙なところ。つくりは短編の流れなので、展開に重厚さはありません。が、テンポや勢いで乗り切るにはちょっと長め。このあたりもやや中途半端感を感じた一因なのですが、まあ、これはより個人的な印象かもしれません。一方では、現代臭をほどよく加味。あまり歴史ものや時代劇を意識しなくても楽しめる娯楽作。多くを望みさえしなければ幅広い層で単純に楽しめる映画ではないでしょうか。 | |