| ISOLA 多重人格少女 | |
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(2000/日本/94分) [監督] 水谷俊之 [原作] 貴志祐介 [脚本] 水谷俊之 / 木下麦太 [撮影] 栗山修司 [音楽] David Matthews / 見良津建雄 [出演] 木村佳乃 、黒澤優、石黒賢、手塚理美、渡辺真紀子 [評価] ★★★☆☆ 震災直後の神戸。ボランティアに訪れた由香里は13もの人格を持つ少女千尋と出会う。その13番目の人格 ISOLA は独立した謎の人格であった。その頃千尋を傷つけたクラスメートや教師が変死。由香里は千尋の仕業と疑い近付いてゆくのだったが ・・・。多重人格少女・千尋の恐怖を描いた超常ホラー。もたつく展開も見られるが、多重人格に臨死体験、エスパスといった超常現象が加わり素材の豊かさが際立つ。 |
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ストーリー 大震災直後の神戸。東京から単身ボランティアで被災地に赴いた由香里。途中、野良犬に吠えられている女子高生を見かけます。が、ほどなく、その犬の無残な死骸に。一方、被災者が集まる体育館に入って突然息苦しさを覚える由香里。実は人の心を読み取る不思議な能力を持ち、時折、勝手にまわりの人たちの感情が流れ込んで苦しくなるのでした。 そんな由香里に興味を覚えた女子高の心理カウンセラー・野村浩子は、泊まるところのないという由香里を自宅に呼ぶことに。翌日、浩子の高校を訪れた由香里は、犬に吠えられていた女子高生を見かけます。浩子に聞くと、千尋というその生徒は13もの人格を持つ多重人格者なのだと言います。が、その中には、ただ一人、謎の人格 ISOLA が混じっていました。そして、それは雨月物語の登場人物・磯良から来たのだと聞きます。一方その頃、被災地では千尋をいじめていたクラスメートや教師が不可解な死を遂げ、千尋のたたりだといううわさが拡がっていました。 事件が千尋の生霊の仕業と疑い始めた由香里。そんなある夜、由香里は別人のような千尋を見かけ声をかけると、いきなり手首を切って病院に運ばれることに。しかし養父と名乗る男が現れ、由香里を高野弥生という教授の助手と疑い、強引に千尋を連れ去ってしまいます。後日、由香里が高野弥生を調べ、大学を訪ねると、震災時に旧校舎で亡くなったとのこと。そして廃虚同然の研究室へ行ってみると、共同研究者の真部という男に出会います。すると真部は、弥生は幽体離脱の実験中に死亡したことを告白。さらに由香里は、ISOLA の本当の意味に気付くのでしたが ・・・。 コメント 原作は貴志祐介のベストセラー「十三番目の人格」。猟奇ホラーである「黒い家」も怖かったのですが、こちらは超常ホラー。また違った恐怖が体験できます。が、いずれも生身の人間の怖さがデフォルメされて描かれていると言え、本作のシチュエーションはSF的ですが、実は案外身近にある恐怖であることを実感できるのではないでしょうか。 物語の主人公は賀茂由香里(木村佳乃)。人の心を読むことができる一方、その能力ゆえ、人の醜さが見えてしまうことに悩み、自分を見失っている人物でもあります。そして自分を確立する糸口をボランティア活動に求め、震災直後の被災地へやって来るわけです。もう一方も主人公は多重人格の女子高生・千尋(黒澤優)。内在する13もの人格。しかし由香里は唯一独立している謎の人格・ISOLA が存在することを知るのです。 ISOLA とは一体何者なのか。周りで起きる不可解な死亡事件は千尋の生霊の仕業ではないのか。千尋の各人格は名前の文字の意味に象徴されており、雨月物語の磯良が復讐の幽霊であることから、ISOLA は復讐の人格ではないかと思わせます。由香里もそう疑い始め、みずからの能力を使って真相を探り始めるのです。が、やがて ISOLA が、想像をはるかに絶する存在であることを悟ります。そして対決することに。その中で、由香里は自分を再生していくことになるわけです 冒頭、神戸大震災の生々しい映像が痛ましさを感じさせます。物語自体が現実の神戸震災を背景にしているわけですから、やはり抵抗感を感じてしまうのはいたしかたのないことかもしれません。それはともかく本筋の方では、臨死体験、幽体離脱、エスパス、と、モチーフには超常要素が際立ちます。由香里が人の心を読む超能力者であるというのがミソで、が、他方で能力者であることの悲哀を描き、情緒性の豊かさを演出しています。 シンプルな展開の中に、さらには猟奇性や怪奇性までをもバランスよく散りばめ、飽きさせないつくりではないでしょうか。それだけに、弥生と対決するもたつき気味の終盤は気になるところではあります。感動的に盛り上げようとしたものか。しかしストーリーの停滞と引き換えにしたという印象は拭えません。さらに、背景の現実上の生々しさ、過度なメイクの非現実性はちょっとアンバランスさを感じてしまいます。 多重人格の恐怖を描くサスペンスやホラーは現在では珍しくはありません。それを超常現象に結び付けたところが本作の巧緻なところ。土台たる原作のよさが分かる映画でもあります。 | |