| 隠し砦の三悪人 | |
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(1958/日本/139分) [監督] 黒澤明 [脚本] 菊島隆三 / 小国英雄 / 橋本忍 / 黒澤明 [撮影] 山崎市雄 [音楽] 佐藤勝 [出演] 三船敏郎、千秋実、藤原釜足、藤田進、志村喬、上原美佐、三好栄子、樋口年子 [評価] ★★★☆☆ 百姓の又七と太平はふとしたことから山賊の男にこき使われる羽目に。が、実は秋月家の敗将・真壁六郎太。そこには百姓姿のじゃじゃ馬娘も。が、これも秋月家再興の切り札・雪姫。やがて四人は、軍用金と共に同盟国目指して敵中突破を図るのだが ・・・。戦国時代を舞台にした痛快冒険活劇。コミカルなつくりは黒澤映画随一。 |
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ストーリー 戦国時代。隣国秋月領に戦に出てきた百姓・太平と又七。しかし秋月家は山名家との戦に敗れ散り散りに。仕方なく太平は故郷のある早川領に帰ろうと国境へ向かいますが山名軍が関所を築いて通れず、ついに見つかり捕まってしまいます。一方町に向かった又七も山名の兵に見つかり捕虜にされてしまいます。そして二人が金堀に借り出されたところ、捕虜たちの集団脱走が始まり、再会した二人は、混乱に乗じて逃げることに成功します。 しかし国境を通れず困り果てていた二人。そんな時、野宿をしていると、偶然拾った薪の中に金が入っていることに気付きます。他にもないかと探していると、そこに現れたのは望月六郎太という山賊風の男。実は秋月家きっての侍大将。金は秋月家再興のための軍用金。二人は隠し砦に連れて行かれてこき使われる羽目に。そんな中、近くで百姓風の若い娘を見つけた二人。手を出そうとするのでしたがとんでもないじゃじゃ馬で反撃にあってしまいます。が、実は女も再興の機を窺う秋月家の雪姫。 やがて六郎太と雪姫は、軍用金と共に同盟国・早川領を目指すことに。太平と又七も金を運ばされますが、隙を狙って金を持ち逃げしようと躍起。が、すべて失敗。ほどなく、六郎太の機転で山名領への関所は無事通過。途中、人買いに使われていた秋月領の百姓女を助けると一行に加えます。が、ある時、ついに探索中の山名兵に気付かれてしまいます。味方に知らせに逃げた山名兵を急いで追う六郎太。その先にいたのは知己の敵将・田所兵衛。二人は命を賭けた決闘を始めたのですが ・・・。 コメント "なかよくすべぇなぁ"、と半泣きで言う太平。"うんうん" とこれも湿っぽくうなづく又七。しかし次の瞬間には、子供のような喧嘩をする二人。まるでギャグ映画のような演技で終始コミカルな雰囲気をつくっているのが本作の最大の特徴。とはいえ、次々と様相を変える展開、ほろリ、とまではいきませんがちょっと感じ入ってしまうシーンも。まさにエンターテイメント一色の黒澤明中期作品。展開を追っていくだけで楽しめるシンプルなつくり。黒澤作品には珍しい冒険モノと言えるでしょうか。 時は戦国。秋月家は山名家との戦に敗れ、残すは雪姫のみ。これを守るのは猛者・真壁六郎太ただ一人。さらに六郎太を山賊と思い込んでこき使われる百姓・太平と又七。四人が同盟国である早川領へ逃げ延びようとする様を描いた冒険活劇。 今回は主役ながらも三船敏郎(六郎太)はやや控えめ。代わりにいつもは脇を締める千秋実(太平)と藤原釜足(又七)がコンビを組んで前面に出てきては笑いをさらいます。さらに雪姫役の上原美佐が美しくも強烈なキャラクターを演じ、ストーリーの情緒的な側面を支えます。さらに雪姫に助けられ、その後命がけで姫を守ろうとする百姓娘・樋口年子、最後に痛快な役どころを演じる田所兵衛・藤田進など、娯楽作品ではキャラクターのデフォルメにこだわる黒澤監督の特徴が顕著に出ています。シンプルなストーリーにもかかわらず深い印象を残すのは、このようなキャラクターへの思い入れの成果ではないでしょうか。 一方で二時間を越える長い作品。こだわりのモチーフは引っ張ったり繰り返したり、という特徴もあって展開以上の長さとなりました。六郎太と田所兵衛との決闘も見所ではありますが、かなりの尺。殺陣の興味のない人にはちょっと退屈になるシーンではあります。晩年の作品により顕著になりますが、これも黒澤作品の特色のひとつといえるでしょう。 とはいえ、黒澤娯楽作品には他を寄せ付けないおもしろさがあります。「用心棒」の懐の深さや「椿三十朗」の華やかさには及ばない(と、個人的には思うのですが)ものの、単純明快な冒険活劇として、引けをとらないおもしろさを備えていると思うのです。そして一連のラストの痛快さはこれらをも上回るかもしれません。太平と又七のコミカルなオチも加わり、満ち足りた気分で見終えることのできる映画ではないでしょうか。 | |