映画鑑賞記

ケイゾク/映画
preview 副題 : Beatiful Dreamer(2000/日本/119分)
[監督] 堤幸彦
[脚本] 西荻弓絵
[撮影] 唐沢悟
[音楽] 見岳章

[出演]
中谷美紀、渡部篤郎、大河内奈々子、鈴木紗理奈、小雪、竜雷太、生瀬勝久、徳井優、泉谷しげる、高木将太、村井克行、峯村リエ、田口トモロヲ、片桐はいり、酒井敏也、大川浩樹、三角八朗、野添義弘、伊丹幸雄、矢島健一、有福正志、西尾まり、梨本謙次郎、多田亜沙美

[評価] ★★★☆☆
何でも消えてしまう不思議な島。未解決殺人事件の関係者が集まるが、柴田と真山の目の前で新たな殺人が起きてしまう。犯人と思われる人物には確固たるアリバイがあるのだが・・・。柴田真山の名コンビが映える推理コメディ。ただし後半はイメージビデオ同然。癖のあるつくりだが今風でもあるのか。
ストーリー
 未解決事件を専門に担当する捜査一課二係。その実は、使えない厄介者ばかりを集めた形ばかりの部署。定年をあとわずかに控えた野々村係長。退職金を計算して楽しみにしていたのですが、いきなり辞令が下り降格。期待していた退職金が減って気を落とす野々村の代わりに赴任してきたのは、かつての部下、柴田純でした。
 そんな時、磯山早苗と章子と名乗る親娘が訪れてきます。母早苗は15年前に事故を起こした第七神竜丸の生き残り。この事故では霧島という夫妻が亡くなっていて、殺人の疑いもあったのですが、証拠がなく未解決事件になっていて、間もなく時効を迎えようとしていたのでした。その霧島夫妻の遺児七海から、自分の住まいがある厄神島への招待状が届いたのです。しかしそこは、付近で消失事故が続発する魔の地域の只中にある島。章子は情緒不安定の母の代わりに行こうと思いますが、何が起こるか不安。そのため警察に相談しに来たのです。魔の海域と知ってなぜか喜ぶ柴田。章子に同行することを約束します。
 島に招待されたのは磯山章子はじめ七人。いずれも第七神竜丸の生き残りでした。さらに柴田と真山が同行。霧島七海は両親の死の真相を明らかにしたいと申し出ますが皆に無視されます。やがて招待された一人が毒を盛られて死んでしまいます。七海が復讐のため殺したのだと疑いますが、七海が毒を盛った証拠はまったくありません。それどころか毒を盛れたチャンスすらなかったのです。七海を捕まえることができないまま、やがて第二の殺人事件が起きてしまい、この時にも七海にはアリバイが。一見不可能のように思えた犯行でしたが・・・。

コメント
 テレビのヒットシリーズ「ケイゾク」の映画版。個性的なキャラクターの登場人物たちが繰り広げるコミカルなやり取りと、シニカルで時にペシミスティックに事件を解決に導いていくミステリー仕立てのプロットが特徴。映画版では前半と後半の二部構成になっており、テレビ以上に癖のある作品になっています。
 前半はミステリー仕立ての部分で70分ほどでしょうか。前半だけで一応、独立した物語として成立します。15年目に起こった海難事故に絡む殺人事件と、現在進行形で起こる連続殺人事件の謎を柴田純が解いていきます。舞台は絶海の孤島。中世ヨーロッパ風の城に怪しげな森、と雰囲気づくりも十分凝ったものになっています。
 ただし、トリックについて。テレビシリーズの頃から、大変失礼ですが、お粗末なものが多く、どれも偶然起こる条件が必要で、さらにこれらがいくつも重ならなければ成立し得ないものばかり。ある程度は仕方がない、とも思いますが、許容できる範囲はおのずとあるもの。まだ、アニメの「金田一…」や、「…コナン」の方がよくできている、と言わざるを得ません。本作でも同様で、本格推理もの、という点での魅力は残念ながらありません。
 後半はほぼイメージ映像に近い感じ。前半とのつながりはありません。確固たるストーリーすらありません。テレビシリーズをすべて見終わっていなければ、さらにちんぷんかんぷんでしょう。まともに脈絡を追って理屈で考えていくと、「なんで?」の連続となります。この部分はマニアック、あるいはフィーリング勝負の45分間、といっていいでしょう。
 逆にキャラクターのつくりこみはさすが、というところを見せています。柴田純(中谷美紀)のとぼけた感じや真山徹(渡部篤朗)のやる気のない感じ。シリーズで人気のあった壺坂刑事役泉谷しげるや野々村係長役竜雷太も、出番は少ないながら引き続き登場。その他脇役の一人一人に至るまで、これでもか、というほど派手な個性づけをしています。そして登場人物たちのコミカルなやり取りも楽しみの一つ。特に柴田真山コンビは本シリーズの立派な名物で、これだけでも本作品を見る価値は十分あります。
 理論優先の前半、イメージ優先の後半。この対極的な二つのモチーフをあわせ持つ構成について、問題だと感じる人も出てくるでしょう。テレビ時代よりもより二つのシーンを明白に分けたことで、結果、全体が癖のある作品になっています。ただし、"見る人は考えないものだ"という現市場の風潮に合致することには違いないのでしょう。
* 評価やコメントは、あくまでも、"もりじょう"の個人的な感性に基づくものです。
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