映画鑑賞記

金田一耕助の冒険
(1979/日本/113分)
[監督] 大林宣彦
[原作] 横溝正史
[脚本] 斎藤耕一 / 中野顕彰 / つかこうへい(ダイアログ・ライター)
[撮影] 木村大作
[音楽] 小林克己

[出演]
古谷一行、田中邦衛、仲谷昇、山本麟一、熊谷美由紀、吉田日出子、樹木希林、坂上二郎、江木俊夫、東千代之介

[評価] ★★☆☆☆
 謎の美女に唯一の未解決事件を解決するようはっぱをかけられた名探偵・金田一耕助。事件の鍵と思われる "不二子像" の首を預かり捜査を再会。が、首は何者かが強奪。行方を追ううち、先々で次々と殺人事件が起こってしまう ・・・。当時流行した金田一耕助もののパロディ。アンチ・ミステリー的な要素もあるが、ドタバタコメディに近いつくり。当時を懐かしめる人限定。
ストーリー
 金田一耕助は等々力警部と共に映画や本の宣伝のためにポスター撮影に。このところ世間に名前が知れ渡って得意げな金田一。一方、等々力警部は美術品泥棒で大忙し。その首領・謎の美女マリアが、若者たちを率いて盗賊をはたらいていたのです。
 そんなある日、病院坂を一人歩いていた金田一はマリアたちに捕まりアジトへ連れて行かれます。そこで、金田一が唯一解決していない事件・短編「金田一耕助の冒険」の中の「瞳の中の女」事件を解決するよう言われます。そして盗み出した美術品の中にあった不二子像の首を金田一に預けます。それは本来は事件の舞台・灰田邸にあるはずの全身像。ところが何者かが金田一から強奪。そして手がかりを求めて今では古垣邸となっている旧灰田邸へ。保管してある不二子像を見に行くと案の定首のない状態。
 その頃、首は泥棒・五右衛門から古美術商の明智小十郎のもとへ。マリアがそれを突き止め金田一に教えると、早速明智美術店へ。しかし小十郎がおらず妻・文江に会いに行きます。そこで首の代わりに女性の死体を発見してしまいます。自分が殺したと無邪気に話す文江をいぶかりながらも等々力は連行。一方首はすでに何者かに持ち去られた後。
 首が転々と居所を変える裏で、行方を追う金田一。マリア一味も首を捜し始めますが、死体が増えるばかり。そんな中、金田一は、灰田の門下生・森が入っている老人ホームを突き止めて訪ねたのですが ・・・。

コメント
 大林宣彦監督はとにかく出来不出来が激しいという印象があります。本作は後者の印象。当時、映画で金田一と言えば石坂浩二、テレビシリーズでは古谷一行。いずれも横溝正史の重厚な本格推におどろおどろしい雰囲気を加えて評判を取った名シリーズ。が、本作は荒唐無稽なパロディもの。一方では通常のミステリアスなモチーフも進行させ、ちょっと変わったつくりとなっています。
 物語は、金田一耕助が二十年前に解決できなかった事件に再び挑むというもの。シチュエーションに無理はあるものの、ミステリーの部分はそれなりに形になっています。が、その合間合間にいちいちパロディ・シーンがはさまれていきます。一方では、次々と自白する犯人たち。周りの手助けが何もできない金田一。金田一の行く先々で用意される死体。全員死ななければ解決できない事件。等々、アンチ・ミステリーの雰囲気がたっぷり。ミステリーファンにはそんな楽しみ方もいいかもしれません。
 一方で、途中からはパロディシーンなのか、シリアスなシーンなのかがごっちゃになってしまい混乱し通し。時代も過去と現在を行ったり来たりとハチャメチャ。一方ではただでさえ複雑なストーリーなのに、終盤に来てちゃんとミステリーの筋を追うことができている人はどのくらいいるのだろう、などと気になってしまいます。が、そんな謎解きの部分もアンチ・ミステリーのネタ振りに過ぎず、結局肩すかし。苦労しながら見た人にとっては不毛な結果に嘆いた人も多かったのではないでしょうか。
 極めつけなのは、当時の世相を懐かしめる人ならともかく、多くの人にはちんぷんかんぷんのモチーフが多々含まれていること。三船敏郎の金田一や、金田一シリーズや他の角川映画のパロディ、特に角川映画の出演者が実際に参加したりして、映画ファンはちょっと注目してしまうところもあります。他方、当時のコマーシャルや映画、テレビ番組など、思い出せれば、 "ああ、そういえばそんなことが" などとうなづけますが、さすがにピンポイントのパロディの連続はタイムリーに過ぎる気がします。結局、公開後二、三年のみの流行映画と割り切ってつくったのかもしれません。タイムリーさが活きるテレビならまだしも、映画としてはちょっと苦しいつくりと思ってしまうのですがどうでしょう。
* 評価やコメントは、あくまでも、"もりじょう"の個人的な感性に基づくものです。
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