映画鑑賞記

交渉人
preview (2003/日本/107分)
[監督] 三池崇史
[原作] 五十嵐貴久

[出演]
三上博史、鶴田真由、佐野史郎、小木茂光、中村久美、田中要次、伊武雅刀、石橋蓮司

[評価] ★★★★☆
三人組のコンビニ強盗がスタッフと患者数十名の人質と共に病院に立てこもる。交渉人石田とかつての弟子麻衣子は巧みな交渉術で犯人たちを病院から出すことに成功するのだが・・・。単なるポリス・サスペンスと思っていたら感動のドラマが。リアルさは今ひとつながらプロットのおもしろさと緊迫感は抜群。サスペンスドラマの秀作。
ストーリー
 あるコンビニに外国人と思われる三人組が強盗に入りわずかな金を奪って逃亡。ほどなく犯人の車はある病院のそばで見つかります。そしてパンクで走れなくなって病院に篭城したものと判明。何十人もの病院スタッフと患者が人質になってしまいます。
 上層部はアメリカで交渉術をマスターしている石田修平警視正を送り込むことに。そして準備が整うまでのつなぎとして、所轄署の閑職にあった遠野麻衣子に出動命令が下します。麻衣子は石田が教えた交渉人。しかし不倫関係にあるとのうわさが立って左遷されていたのでした。
 現場の刑事たちは麻衣子の登場に反発を隠しませんが、これまでの無神経な対応にいらだっていた犯人たちは、麻衣子のソフトな交渉で何とか落ち着きを取り戻すことに。その犯人、意外にも流暢な日本語。やがて石田が到着。一方、人質の名簿が整っていきます。病院関係者と入院患者が三十数名。中には、なぜか帰宅後に呼び戻された院長や、人工透析が必要な患者が含まれていました。そして麻衣子は、その中に石田の妻の名前があることを発見してしまいます。
 ほどなく石田は巧みな交渉術で少しづつ患者を解放させることに成功。が、その中に彼の妻は含まれていません。そして、犯人からは身代金の要求が。現金が運び込まれ、犯人は別々にバイクで逃走。しかも人質を一人づつ連れて。が、麻衣子にはなぜか違和感が。一方、捜査陣は、犯人たちを見逃すまいとあたり一体に万全の監視網を張り巡らせたのですが・・・。

コメント
 近年になって注目され始めた交渉人の活躍を描いた傑作サスペンス。個人的に知るところでは、ハリウッド版「交渉人」(ただし本作とは何の関係もなし)、コミックでも交渉人のタイトルがつくものがあります。古くは「マスター・キートン」の中に、リアルな人質交渉の現場が描写されていました。
 本作は多ジャンルに渡る作品を披露している五十嵐貴久の同名の原作を元にしています。前半は様々に伏線を張りつつ、交渉人と立てこもり犯との緊張感十分のせめぎあいが描かれていきます。人間心理を緻密に読んでいくところは感心してしまいますし、邪険にされていた麻衣子が交渉を成功させるところは溜飲が下がる思い。ただし、交渉人のばか丁寧な口調には少々閉口。違和感を感じてしまいましたが、他の人はどうなんでしょう。気になるところ。
 後半は事件の真相が明かされていくのですが、これがなかなかのドラマ。前半で姿を見せなかった石田の妻がキー・パーソンとなります。詳しくは言いませんが彼女をめぐる人間模様はかなりの感動もの。ここは良くつくりこんでいます。一方で、後半のそれ以外の場面では動きが止まったデメリットが出てしまっているように思います。特に犯人の真の動機が明かされるシーンはやや冗長、というか展開上のギャップなんでしょうか。特に前半の緊迫感が強いだけに、見る方はそれを引きずったままで来てしまうのです。が、欠くことのできないせりふがあるのでこのあたりはやむなし、なのかもしれません。いずれにしても微妙なところ。
 前半の見事なサスペンス劇からすると、後半には大どんでん返しを期待してしまうのですが、その勢いで見ていくと少々物足りなさを感じるかもしれません。が、もりじょうは感動ものが好きなので、むしろ本作のようなドラマティックな展開の方が良かったりします。できればみんなハッピー、という終わり方が良かったのですが、それはさすがにわがままというもんでしょう。
* 評価やコメントは、あくまでも、"もりじょう"の個人的な感性に基づくものです。
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