映画鑑賞記

座頭市と用心棒
preview (1970/日本/116分)
[監督] 岡本喜八
[原作] 子母沢寛
[脚本] 岡本喜八 / 吉田哲郎
[撮影] 宮川一夫
[音楽] 伊福部昭

[出演]
勝新太郎、三船敏郎、米倉斉加年、滝沢修、若尾文子、岸田森、嵐寛寿郎、寺田農、神山繁、細川俊之、常田富士男、草野大悟、木村元、砂塚秀夫

[評価] ★★★☆☆
 市が久しぶりに訪れた里に昔の面影はなくやくざの者の巣に。そこで名うての用心棒佐々と知り合う。ほどなく里の有力者弥助が金を隠していると分かり、手を組んで探すことにした二人だったが・・・。ややとっ散らかってはいるが娯楽性は抜群。"座頭市"と"用心棒"の組み合わせは魅力だがさすがに二倍おいしい、とまではいかないか。
ストーリー
 座頭の市が三年ぶりに訪れた蓮華沢の里。しかし、静かだったかつての面影はなく、やくざ者があふれる騒々しい場所へと変わっていました。その原因は小仏の政五郎。市が凶状持ちと知ると用心棒の佐々大作に百両で殺しを依頼します。が、佐々はあんまを殺すと化けて出る、と乗り気でない様子。
 一方、市が宿で偶然知り合ったあんまと名乗る男。しかし通りを歩いていると何者かに襲われ、男は、市に"用心"と言い残して殺されてしまうのでした。男が偽あんまだと気付いていた市は他にも不穏なものを感じ取ります。
 その後佐々と出会い酒を付き合わされることになった市。訪れたのは昔優しくしてくれた梅乃の小料理屋。今では佐々と情を通じ合っている仲のよう。しかし、番屋から来た役人に捕まってしまいます。一晩を牢で過ごした市でしたが、翌日には放免。里の有力者、烏帽子屋弥助の計らいによるもの。早速弥助のもとを訪れると用心棒を頼まれるのでしたが、市は再び旅に出るつもりでした。
 ほどなく、佐々が烏帽子屋を訪れると煙をたいて家の者を追い出します。実は弥助が隠してある金を探し当てるためだったのですが失敗。弥助は政五郎の父で、政五郎は父が隠す金を狙っていたのです。やがて九頭竜と呼ばれる助っ人が烏帽子屋へ、さらに、金を横領していた弥助のもう一人の息子、後藤三右衛門も江戸から逃げてきます。一方、市は、佐々の誘いで弥助が隠した金を見つけようと手を組むことにしたのですが・・・。

コメント
 座頭市をばけもの、と呼ぶ用心棒佐々。佐々をけだもの、と呼ぶ市。荒漠とした里の有様をバックにハードボイルドな時代劇が展開します。黒澤明の「用心棒」とは別物にしろ、三船敏郎に "用心棒" とくれば、さすがにネームバリューが違います。しかも人気シリーズ座頭市でのお目見えですから、期待がふくらむのは無理からぬことではないでしょう。さらに、一筋縄ではいかない作品もありますが、監督岡本喜八という安心感はやはり大きいでしょう。
 物語は、二大勢力が席巻した里を市が訪れるところから始まります。が、争っている頭はもともとは実の親子。後に、一方の頭弥助が金を隠していることが分かり骨肉相食む騒動へと発展していきます。やがて短筒を得物にした別の用心棒九頭竜が登場。ストーリーや登場人物に黒澤明の「用心棒」に通ずるところがあるのはちょっと残念ですが、金はどこにあるのか、また、途中公儀隠密が度々絡んだりしてきて、サスペンス色がたっぷりと味わえます。
 市(勝新太郎)と佐々(三船敏郎)との対決は、いつくるのかいつくるのか、と、終始物語に緊張感を与えています。一方では信頼し合っていそうで反発し合う二人の姿も。このあたりは、アウトローとしての二人の生き様がよく出ていて魅力ある人物に描かれています。そしてもう一つの見所は佐々と梅乃(若尾文子)のラブストーリーでしょうか。一筋縄ではいかないこのサイドストーリーも十分に見応えがあります。
 逆に、様々な要素を盛り込んだ結果なのでしょうか。脈絡が不透明だったり唐突だったり、また、物語にあまり影響しない人物をクローズアップするなど、やや散漫な構成ではあります。それでも、分かりやすい展開と表現で、見る者を混乱させるようなことはありません。娯楽作品として十分に意識されたつくりといえると思います。
 実質二人主人公とし、シリーズ中でも大ヒットとなった本作、シリーズの性質上、痛快、とはいきませんが、飽きることのない二時間。特に時代劇好きにはもうたまりませんね。
* 評価やコメントは、あくまでも、"もりじょう"の個人的な感性に基づくものです。
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