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赤毛(1969/日本/116分)
cinema review ![]() STORY
慶応四年(1868)、相良総三率いる官軍・赤報隊は東山道を進撃中。年貢半減を謳いながら沿道の村や町を鎮撫。途中、隊士の一人権三は沢渡宿の鎮撫を志願します。沢渡宿は権三の故郷。十年ぶりの故郷に錦を飾りたいと、相良隊長から隊長の証である赤毛を借りてひとり出かけていきます。
途中、駆け落ちしようとしていたチンピラ・三次を助け、追っ手が駒虎親分と聞くと俄然息巻いて乗り込んでいきます。実は十年前恋人だったとみと別れさせられた上、簀巻きにされた恨みがあったのです。権三が官軍の隊長と知ると逆らうわけもいかず、言われるがまま女郎たちの証文を渡します。その足で女郎屋に向かうと女郎たちを解放。恋人のとみとも再会して連れ帰ります。 翌日、恩師の玄斎先生のもとを訪れた権三。ちょうど若者たちが悪どい代官を襲うのだと集まっていたところ。権三はこれも世直しと、一緒になって代官所に乗り込み米を没収。民衆に分け与え、権三は一気に英雄に祭り上げられます。そんな権三に母は調子に乗るなと諌めますが、やがて代官は恭順。強欲な金貸し木曾屋も献金を送ってきます。 しかし町には、権三の暗殺を請け負った駒虎の用心棒・半蔵や遊撃一番隊という元幕府の秘密組織が虎視眈々。そんな時、町を離れた権三の隙を狙って代官が町を掌握。権三は偽官軍だと言い始めると民衆は動揺。いつの間にか子分になっていた三次は権三を信じるよう皆を説得しようとしたのですが・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
岡本喜八監督の幕末ものでは、幕末の暗い世相を反映させることが多く、本作も同様。が、中盤までは痛快娯楽作品としての趣が強く、終盤にきてのペシミスティックな展開ややアンバランスと言えるかもしれません。しかし一方で、陰惨さは幕末の事実であり、明るく飾り立てる事を避け、娯楽性の中にも歴史の流れを正面から捉えた作品とも言えるでしょう。
物語は百姓上がりの官軍兵士・権三(三船敏郎)が十年ぶりに故郷に帰ってくるところから始まります。民衆鎮撫の任を背負ってきた権三。しかし勝手に始めた "世直し" から起こる大騒動が描かれていきます。この主人公の権三。字も読めず多くのことに頭が回らない、しかし情に篤く正義感も強い。そんな姿は愛らしく、そして大いに感情移入できる存在。強さと弱さをさらけ出したこの人物描写は、演技のすごさも加わってさすがと言えるでしょう。 物語は序盤から飛ばしていきます。権三の痛快な世直しが次々と描かれ、対照的に、貪欲な悪代官ややくざの親分たちの権力におもねる姿が滑稽に描かれます。これらのシーンは時にユーモラス。しかし権三はじめとする町の人間、正義の味方も悪者も皆最後には、革命という怪物に飲み込まれていきます。それらの姿は滑稽さを通り越して哀れを誘うもの。はたして革命の本質とは何だったのか。そんな言葉がふさわしい終盤ではないでしょうか。 幕末から明治に変わる時代は乱世というようよりも世紀末。そんな中、 "葵が菊に変わるだけ" 、という用心棒・半蔵(高橋悦史)は、この革命の本質を読みきった一人と言えるでしょうか。しかしそんな半蔵ですら滅びを迎えます。はたして本作の歴史観は明治革命を否定するものなのか否か。ちょっと考えさせられる物語ではあります。 さて、評価の方ですが、全体的に、様々なモチーフを大量に配置してのごちゃっと感はやはり否めないかと思います。しかしストーリーの軸は終始ぶれることなく権三に当てられます。そこは的を射たもの。さらに、バッド・エンドと言ってもいいラストは好みが別れそうな本作。最後にスカッとはいきませんが、この一連のラストによって、テーマの深みを増したことも事実でしょう。 世紀末の象徴であった、"ええじゃないか " と叫んで踊る民衆たち。しかしこの運動が、幕府が倒れてもなお非情な革命の象徴であり続けた点は何とも切ないところ。このええじゃないかに焦点が当てられていることも本作の大きな特徴。社会不安や世直しへの期待。しかし最後、ええじゃないかを踊る民衆は、この革命が自分たちのものではないことを体現しています。そして権三。その三日天下は明智光秀に通じ、源の何某と名乗る権三の赤毛の赤は平氏の象徴。皮肉なのは白毛隊の白の方が源氏の象徴であること。もしかしたらこんなところにも権力の矛盾やはかなさが描かれていたのかもしれません。 |
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岡本喜八監督の歴史ものといえば「日本のいちばん長い日」(1967)。太平洋戦争最後の日を描いた長大な歴史ドラマ。こちらの主演も三船敏郎で阿南陸軍大臣役。監督の代表作でもあります。
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