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悪霊島(1981/日本/131分)
cinema review ![]() STORY
1969年、瀬戸内に浮かぶ刑部(おさかべ)島。ある日、島から本土へ向かうフェリーで顔を潰された男が引き揚げられ、"あの島には悪霊がいる" と言い残して息絶えます。一方、本土ではもぐりの産婆が殺される事件が発生。戦前の出来事で産婆が何者かを脅迫していたことが判明します。金田一耕助は知り合いの磯川警部に誘われ殺害現場へ。金田一は、島の出身者で富豪の越智竜平の依頼を受けて、島に派遣して行方知れずとなった青木という部下を捜しに来ていたのでした。
ほどなく島へ向かう金田一。越智竜平が戦時中、刑部家の娘・巴と恋愛。鵺の鳴き声を合図に毎夜のように逢瀬を重ねていたことを知ります。しかし刑部神社の主・大膳に身分違いを理由に仲を引き裂かれ、その後、巴は守衛と結婚。島を出た竜平はアメリカで事業に成功し、二十数年ぶりに帰郷するところだったのです。 島では、旅の途中で知り合ったヒッピー風の若者・五郎と再会。刑部大膳や巴、その双子の娘真帆と片帆にも出会います。そんな中、刑部神社の一角に小屋を見つけ、そこに巴の双子の姉・ふぶきが住んでいることを知ります。ふぶきは精神を病んで時折奇行が目立ち、忍ぶようにして住んでいたのでした。 やがて竜平が島に到着。島で祭りが始まる一方、巴の娘・片帆が行方不明に。そんなある夜、神社の一角が火事に。騒ぎが収まった時、建物の中から巴の夫・守衛の死体が。最初に発見した竜平が疑われることになったのですが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
横溝正史の本格ミステリー。1970年代に入ってブームとなった横溝正史と金田一耕助。石坂浩二と古谷一行のシリーズでテレビに映画に露出を高めていきましたが、80年前後になると、異色金田一が次々と登場。話題性を高める狙いもあったのでしょう。本作もその一本ですが、結果、内容や演技とは別のところで賛否が別れるようになってしまいました。
今回、金田一耕助には鹿賀丈史が扮し、長身、鋭い眼光、もじゃもじゃ頭、と新しいシャープな金田一像を見ることができます。個人的には様々なバリエーションの金田一耕助を見るのは楽しみなのですが、奇抜な金田一像に拒否反応を示すファンも多いでしょう。また、金田一役を務めたことのある中尾彬(本陣殺人事件)が殺される役で出演しているのもおもしろいところ。一方、背景は高度成長時代となり真新しくなりましたが、佐分利信が獄門島に続いて登場、マンネリ化した犯人像、双子のトリック、など、中身は新鮮さに欠け、唯一金田一のみが目立ったという印象があります。まあ、良くも悪くも話題に事欠かない作品ではありました。 物語は青木という男の死から始まります。一方ではもぐりの産婆が殺され、両事件の鍵が刑部島にあることが判明。金田一耕助は島へ向かいます。やがて島では刑部神社の太夫・守衛が殺される事件が発生。ばらばらだった事件が徐々に繋がっていきます。古い因習に閉じ込められた島の人々。さらには、いかにも異世界、という島の雰囲気づくりは十分。後半では、様々な関係者の不審な行動が次々と明らかになる中、さらにおどろおどろしい殺人事件へと発展していきます。 それにしても、青木の遺した奇怪な言葉、ヒッピー風の若者への不審、越智龍平の帰郷、謎の男吉太郎の登場、等々。序盤は布石の置き過ぎでおもしろさを感じる前に混乱してしまいます。特に、鵺の鳴く夜に気をつけろ、と言って男は息絶え、見る者の興味を煽ります。が、最後まで見てもあまり納得のいったせりふではありません。死んだ男が、"鵺の鳴く夜に気をつける" いわれはないように思うのですが、まあ、十分に興味をひくシーンではあります。他方、それぞれのモチーフがバラバラに進行していくので観客にとっては著しくわかりにくいつくり。最初に起きた殺人事件を追うという形になっていないのがその原因の一端。筋を追うプロセスが事件を追うプロセスと連動しないのです。そして最後は怪奇映画さながらの結末。ここでも金田一の鮮やかな解決劇、とまではいかないようで、このあたりも好みが別れるところでしょう。 本格推理の名シリーズであるという固定観念に対する不利もありますが、金田一モノであることを抜きにしても、細部のわかりにくさや整合性への疑問は確かに否めないところ。が、逆の見方をすれば、"複雑怪奇" さに拍車がかかったとも言えます。一方では、背景が高度成長時代になっても、おどろおどろしい雰囲気は健在。金田一シリーズや本格推理といった意識を薄めれば、娯楽作品として十分見応えのあるつくりなのではないでしょうか。 |
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異色・金田一耕助は他にも。「悪魔が来たりて笛を吹く」(1979)では西田敏行がユーモラスな金田一を創出。等々力警部も夏八木勲とスマート。また、「八つ墓村」(1977)では渥美清が物静かな金田一を好演。渥美清の名優ぶりが垣間見える作品でもあります。
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