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穴(2004年/日本/94分)
cinema review ![]() STORY
【胸に開いた底なしの穴】 ある夕暮れ。帰宅途中のOL・みさとは、空き地で人の手が地面から突き出ているのを発見。手のひらには穴が開いていて、近付くと手をつかまれる。と、そこで夢から覚めたみさと。起き出すと母と姉が朝食をとっていた。ところがそこに扉を叩く音が聞こえてくる。母と姉はなぜか知らん振り。さらに気配を感じてトイレへと向かってみると ・・・。
【青春の穴】 一台の車が森に到着。チンピラの頭はクラゲ、シラオと共に、殺したもう一人を奥へと運んでいく。奥には先に入ったケイスケが穴を掘って待っているはずだ。ほどなく穴を見つけ、死体を穴に放り込む一行。が、突如見知らぬ黒人が現れ、シラオを殺して走り去る。そこにケイスケが現れ、これは自分の掘った穴ではないと言い出す ・・・。 【夢穴】 高校時代、野球部員だったコウスケは、マネージャーのすみれから、野村が告白してきたと相談される。コウスケもすみれが好きだったが言い出せず、その後二人は結婚してしまう。それから数十年来後悔し続けるコウスケ。医師となった野村に対してコウスケは証券会社をリストラされ工事現場の交通整理。がある日、突然、すみれから会いたいと電話が ・・・。 【怪奇穴人間】 ある化学会社の研究員・穴戸良一は内向的で研究所では仲間はずれ。そんな穴戸だが同じ研究員で所長の娘・はなえに片想いをしていた。ある時、穴戸は事故で大量のガンマ線を浴び、穴から穴へと移動できる超能力を身につける。折しも会社は業績不振で研究所は閉鎖の危機。はなえと研究所を救おうと、穴戸は金庫破りを始める。一方、小さな換気口からしか出入りできないはずの金庫室を次々と破られ、クニマタ警部は頭を痛める。そして名探偵・一日市(いっかいち)肇に協力を求めたのだが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
穴にまつわる不思議な話を集めたオムニバス。20分ほどの短編四話。第一話は「胸に開いた底なしの穴」。冒頭は血まみれで走る主人公の女性の姿。それはなぜなのか。物語は謎を追いつつ展開していきます。いわゆるシリアス・ホラー仕立てのつくりですが、同じシーンの繰返しがあったり時間が前後する箇所もあったりと、やや癖の強い構成ではあります。そしてタイトルの意味。胸に開いた ・・・ とは、のちに主人公の姉の胸のアザを指すのだと分ります。が、展開はさらにもう一段どんでん返しを用意しています。が、論理的傾向は希薄で、何が真実で何が虚構だったのかは最後まで明かされません。むしろ不条理モノとも呼べるかもしれません。
第二話は「青春の穴」。青春モノかと思いきや、意外にもナンセンス・コメディ。序盤、死体を運搬中の三人の若者が昔何になりたかったか、を話し出します。このさりげない会話が実は本編の核心。やがてもうひとりと合流した彼ら。穴に死体を入れると黒人が突如出現。実は殺されたもうひとりの変身した姿。黒人は仲間を次々殺し、それも穴に入ったあと、ある者は自分のまま、ある者は老人に、そしてある者はグラビアアイドルとなって蘇ります。こうして進んでいくうち、タイトルの意味が徐々に分ってくるのです。そして最後、瀕死の重傷を負った主人公は、みずから穴の中に ・・・。オチも見事に決まって幕。巧妙なプロットが目立つ一本と言えます。 第三話は「夢穴」。ファンタジーをまじえた人間ドラマ。主人公は、高校時代友人に好きな女の子を譲ってしまい後悔し続けている男・コウスケ。相手・野村はいまや医師となって成功。片や自分は落ちぶれた姿。が、ある夜の夢の中、コウスケは思い切って告白。すると翌朝、コウスケは野村となって目覚めるのです。が、野村はコウスケが思っていた、「いいやつ」、ではありませんでした。物語に「穴」はなかなか出てきません。が、最後の最後に穴は登場します。夢穴、とは一体何なのか。その意味が最後に明かされます。 四話目はサスペンス「怪奇穴人間」。モノクロームに近い映像で、いかにも昔の怪奇ドラマを連想させます。穴かな穴へ移動する男・穴戸。金庫破りを繰り返し、一方警察は打つ手なし。そこで変装の達人にして名探偵・一日市肇に協力を要請。一日市は、間もなく、これが、ガンマ線を浴びた人間の犯罪であることを突き止めます。実は穴戸の目的は、経営不振の会社が閉鎖しようとしている研究所の援助。そこには穴戸の片想いの相手・すみれがいたのです。ちょっと切ない恋物語、と思っていると、これには大きな落とし穴が。見る者すら見事にだまされる映像のトリックに、最後には感心させられてしまいます。思いきってデフォルメが加えられた描写も、むしろ楽しい仕上がりと言えるでしょう。 非常に力作ぞろい、というのが本作の印象。予算が少なく安っぽくなったり、妙に冒険的な試みがあったりというオムニバスも多いだけに、幅広い層に安心しておすすめできる作品のような気はします。ただ、同じタイトルの映画がすでに何本もあるのが玉に瑕。これだけはもう少し工夫してほしかったところ。もっとも、オムニバスということで、多少平凡なタイトルとなることは致し方ないかもしれません。一方では、各話のタイトルが実に意味深なのですから、おもしろいところです。 |
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