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姑獲鳥の夏うぶめのなつ (2005年/日本/123分)
cinema review ![]() STORY
昭和27年夏、東京。小説家の関口巽は、旧友で古本屋・京極堂の主、中善寺秋彦を訪ねる。そこで関口は、秋彦の妹・敦子から聞いた不思議な話を持ち出す。敦子は雑誌記者だった。噂によると、雑司が谷の久遠寺医院の娘が、20ヶ月もの間、身ごもったままだという。しかもその夫は一年半前に失そう。鍵の掛かった書庫から煙のように消えうせたというのだ。
しかし京極堂はすでに話を知っていた。さらに、失そうした夫は婿養子の牧朗で、自分と関口の旧制高校時代の先輩だと教えられて関口は驚く。そして京極堂は、私立探偵の榎木津に相談するよう告げるのだった。榎木津は関口も知っていたが、人の記憶を見る力があると言われ、奇妙な言動のために関わりたくはなかった。 それでも榎木津の事務所を訪ねてみると、偶然にも、久遠寺医院の娘・涼子が訪れてくる。涼子は、妹・梗子が20ヶ月間妊娠しているのは本当だと話す。そして失そう中の梗子の夫・牧朗を探してほしいと依頼しに来たのだ。すると、その様子を見ていた榎木津が妙なことを言い出す。涼子は関口を知っているはずだというのだ。が、涼子は否定し、関口も会った覚えはなかった。さらに涼子が帰った後、榎木津は、牧朗はすでに死んでいると言い、関口を驚かせる。 その後関口と榎木津は、敦子と共に久遠寺医院を訪れる。応対したのは院長の久遠寺嘉親と妻・菊乃だ。失そうした牧朗は、まだ学生の頃の戦前、すでに梗子に結婚を申し込みに来たが嘉親が医師になってから出直せと追い返していた。しかしその後ドイツに留学して医師となった牧朗は、戦後、再び訪れ結婚を許されたということだ。そして関口たちは牧朗の寝室へ。すると榎木津はベッドの下に血痕があるのを発見する。さらに関口は、失そう現場である隣の書庫へ招かれる。そこはひんやりとした部屋で、今では梗子の寝室となっていた。梗子に会った関口は急に思い出す。昔、梗子に恋文を渡したことを。しかしその恋文は、牧朗が梗子に渡すよう関口に頼んだと、牧朗の日記には記されていた。関口にはなぜかその記憶がない。 同じ頃、池袋東署の刑事・木場は、ある殺人事件を追っていた。被害者の女性・戸田澄江は自宅アパートで死亡。部屋からは麻薬の形跡が検出される。澄江はかつて久遠寺医院の看護婦だった。やがて木場は、澄江が勤めていた二年前、病院から赤ん坊が三人消えていたことを知る。そしてその親の一人、原澤にたどり着くのだった。原澤は澄江に会い、赤ん坊は殺されたとの告白を聞いていたのだ。さらに木場は、久遠寺家が憑き物筋の家系であることをつかむ。死んだ子供を呪いにつかうというのだ ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
京極夏彦の怪奇ミステリーの映画化。「姑獲鳥」(うぶめ、こかくちょう)とは、出産で亡くなった女性の幽霊のことだそうです。中国では幽霊は赤子を奪うと伝えられ、日本では赤子を抱いてくれと預けようとするのだとか。うぶめは「産女」(うぶめ、産婦のこと)にも引っ掛けているのかもしれません。子に恵まれぬ悲哀、そこから発する悲劇を皮肉っているようでもあります。
物語は、まず、妊娠20ヶ月の謎を提示します。その噂を知った作家・関口(永瀬正敏)は旧知の古本屋・京極堂(堤真一)に相談。この京極堂が変わっていて、神主で陰陽師である一方、この世に不思議はない、と割り切る合理主義の持ち主でもあります。さらに関口は、やはり知り合いの探偵・榎木津(阿部寛)に話を持ちかけようとします。この榎木津も、人の過去を見通せる変わった人物。とにかくも、関口はここで、偶然にも妊娠20ヶ月の妊婦・久遠寺梗子(原田知世)の姉・涼子(原田知世・二役)の出会い、梗子の夫・牧朗(恵俊明)の失そう事件に関わることとなります。牧朗は一年半前、密室の書庫から煙のように消えうせていたのでした。 物語は、さらに関口自身の久遠寺家との関わり、原因不明の記憶の欠落、久遠寺医院の元看護婦の怪死事件、久遠寺医院の連続赤子連れ去り事件、久遠寺家の呪われた歴史などが絡んできます。つまりはかなり複雑なストーリー。これを2時間に詰め込むことに無理があるのは否めません。雑然とした雰囲気は最後まで払拭されませんでした。多数にわたる特徴ある登場人物のキャラクターを強調しすぎたきらいもあります。 さらに問題となったのは、本作の展開のあり方で、物語は微妙に数日遡ったり先に飛んだりしていて、わざわざ混乱を招くようなつくりとなっています。雑然とした雰囲気のせいで、ミステリーとしても怪奇モノとしてもドラマとしても、すべてが中途半端に終わってしまった感もあります。せっかくの妊娠20ヶ月の謎や密室失そう事件の謎も、さほどのミステリーに感じられないのが実情ではないでしょうか。種明かしにいたっては、唐突に体外受精や性的不能の話が飛び出し、推理の過程が省略されたにもかかわらず、謎解きのシーンがクローズアップされてしまっています。ミステリーらしからぬ実にちぐはぐなつくりと言えます。さすがにこの脚本は、凝りすぎて自分本位となってしまった、と見ざるを得ません。 一方、目をひいたのは光の筋を強調した美しい構図で、思わず見とれてしまうほど。実相寺監督の卓越した技術が光っています。実相寺監督と言えば「ウルトラマン」なのでしょうが、筆者にはATGの頃のイメージの方が強烈です。思えば本作も、娯楽作としてではなく、アート作品として見ていけば随分と感想は違うものになる気はします。そう見直してみると、現代版ATGと呼べる雰囲気はなくもありません。だとしても、もっとストレートにわかりやすくつくって欲しかった、というのが、誰しもが持つ本音ではないでしょうか。 |
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原作
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