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ふたり(1991年/日本/150分)
cinema review ![]() STORY
中学二年生の北尾実加は不慮の事故で姉・千津子を亡くしたばかり。それでも、仲の良かった姉の死からようやく立ち直りかけていた。何事においても優等生だった姉。それに比べ実加は勉強もスポーツもおちこぼれ。夢見がちな少女でもあった。しかし神経の細い母・治子はさらに深刻だった。いまだに千津子の死を受け入れられず、生きていると思い込んでいるのだ。そしてそんな母を、家族思いの父・雄一は優しく支えていた。
その日、何とか外に出る決意をした実加は、久しぶりにピアノ教室へ通うことに。が、その途中、変質者に襲われてしまう。首を絞められて意識が遠のいていく実加。が、そこにふわりと現れた少女が。少女は石を指差し実加に反撃するよう促す。実加はその石をつかんで変質者を殴り倒し、事なきを得る。その時、救ってくれた少女の姿はすでになかった。しかし実加は気付いていた。それが姉・千津子であることを。 この事件は実加の武勇伝となり、これを機に、北尾家は徐々に普段の生活を取り戻しつつあった。そんな時,入浴中の実加の前に、再び姉・千津子が現れる。以来、実加のピンチの時に姿を見せては助け舟を出すようになるのだった。 やがて年末。実加は親友の真子から第九のコンサートに誘われる。気が乗らない美香だったが千津子のすすめで行ってみることに。そこで美香を千津子と見誤って声をかけてきた男がいた。昨年のコンサートで千津子と出逢い、一年後の再会を約束していた神永智也だった。千津子の死を伝え、ショックを受ける神永。しかし、その中で二人は互いに惹かれあうものを感じていた。 しばらくしたある日、学校で実加の書いたラブレタ−が紛失する事件が起きる。それは神永に宛てた出すつもりのない手紙だ。しかも手紙の中身がばらされ、実加は皆の笑いものにされてしまう。ほどなく、犯人はクラス一の優等生・万理子だとわかる。万理子は神永の従兄で、神永と親しくする実加を快く思っていなかった。これに激怒したのは実加よりも真子だ。真子は実加を引き連れて万理子の家に談判へ向かうのだったが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
大林監督の新尾道三部作の一作目。こののち「あした」、「あの、夏の日」がつくられることになります。「尾道三部作」と同様、いずれも尾道が舞台の叙情的なストーリーですが、各話は完全に独立しています。本作はNHKでもドラマとして放映されています。また、後年連続ドラマとして民法でも制作されています。主演は奥菜恵。原作は赤川次郎で、ユーモア・ミステリー以外でも才能を発揮させた一本でもありました。
物語の主人公は中学二年生の夢見る少女・実加(石田ひかり)。高校生の姉・千津子(中嶋朋子)は優等生でスポーツも万能。対する実加はのろまな妹として扱われてきました。ある日、千津子は突然事故死。姉を頼っていた母(富司純子)はノイローゼに。実加は姉の分までがんばろうと決意。が、その矢先、変質者に襲われ殺されかけてしまいます。そこに現れたのが、何と幽霊となった千津子。それから、実加が困った時に現れては励ますようになるのです。 中盤からは様々なモチーフをオムニバス風につなげていき、飽きることのない展開。その中で、幽霊の姉に頼りながらも少しづつ成長してゆく実加の姿を描き続けているわけです。二時間半は長丁場ですが、この点、中だるみすることなく、見事に描ききったと見れると思います。唯一単調に感じるのは、しつこく繰り返されるBGM(「草の想い」)でしょうか。大林監督自身の作らしく、なかなかの曲で時には涙を誘うのですが、さすがに入れすぎだろうとも思います。 登場人物は他に、家族思いの父・雄一(岸部一徳)。出張を断って実加の卒業式に出るほど。しかしそのせいで小樽に左遷されてしまいます。終盤では愛人の存在が発覚。しかも愛人(増田恵子)が家までやって来るという事態に。父への殺意を抱く実加。物語最大のクライマックスとなっています。 もうひとり重要なのが親友として実加を支え続けてきた真子(柴山智加)。姉じゃなく自分が死ねばよかった、とつぶやく実加の頬を叩いて励まします。あなたは二人分生きなきゃならない、幸せも不幸も二人分、と。そんな実加の本質をただひとり理解していたのはやはり千津子でした。実加は外から自分を眺められる子、と。本当は助けなどいらない。実加をそこへと導くために、千津子は幽霊となったのかもしれません。しかし千津子もこうつぶやきます。わたしには終わったことばかり。物語は、喜怒哀楽の表現が見事なバランスで配置されていて、実によく観る者へと伝えられています。大林監督の真骨頂と言えるでしょう。 一方、個人的に大林作品には好きな映画が多いのですが、あまり巧さを感じたことはなく、本作でも、いかにも甘えた少女である実加が、ひどく大人びるシーンがあって異質に感じられてしまいます。特に想いを寄せる智也(尾美としのり)とのシーンで見られるのですが、人物像のあいまいさだけは何回観ても馴染めないところでしょうか。これは仕事を犠牲にしてまでも家族を大切に思いながらも愛人を作る父・雄一にも見受けられます。まあ、展開優先と思えばこの程度は大したことではないかもしれません。 いずれにしても、各モチーフの情緒色は実に豊かで、感動的な作品に仕上がっていることには違いありません。少女映画としては名作中の名作に上げたいところです。 |
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