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花のお江戸の無責任(1964年/日本/89分)
cinema review ![]() STORY
江戸時代。古屋助六の許に、父の仇が江戸へ向かったとの報せが入る。敵討ちには気が乗らない助六だったが、江戸と聞いて表情を変える。一度花のお江戸で遊んでみたかったのだ。そして母から敵討ちの費用を貰い受けると早速出発。しかし相手の目印は、背中に刀傷があることだけだった。
その途中、助六は母の薬代を失くして身投げしようとする娘に出くわす。思わず持ち金の大半を娘に渡し、さらに夜、かごかきに乱暴されそうになっている男を発見。その男、平井村の権八はケチで、かご代を値切ったためにもめたのだが、助六はその場を収めるために有り金をかごかきに渡してしまう。するとその様子を見ていた通りがかりの男が助六の態度に感心し、金がなくて難儀だろうからと、二人を家に招くと申し出る。この男こそ、噂に高い江戸の侠客・播隋院長兵衛だった。 そうして播隋院一家の居候となった助六と権八。しかし助六の後先ない無謀さと権八のケチは相変わらず。長兵衛の女房・おぎんからはうさんくさい目で見られ、唐犬の権兵衛はじめとする子分たちからも厄介者扱いされる。そんなある時、遊戯場の用心棒を任された二人だったが、たかりにやって来た無頼の旗本たち・白柄組と争い退治してしまう。以来、助六はその頭領・加賀爪四郎に目の仇にされる羽目に。 店をめちゃくちゃにして長兵衛にも叱られた二人は、今度は吉原で芋屋をさせられる。そこで、白柄組の親玉・水野十郎左衛門が、江戸で威勢を誇る髭の意休と談合する現場を目撃。意休がぜんまい仕掛けの珍宝・金鶏鳥を探していると知る。意休と十郎左衛門は、金鶏鳥を献上して更なる権勢をつかもうと画策していたのだ。 少しして、その十郎左衛門の家来・青山播磨が、自分が目をつけた町娘・お菊をさらう事件が発生する。その父親から助けを求められて助六は一肌脱ごうと決意。水野屋敷に乗り込み、権八が盗んできた鶏を金鶏鳥と偽って取引しようとするのだったが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
「ホラ吹き太閤記」に続くクレージーキャッツの時代劇作品二本目。クレイジーキャッツには「無責任」がタイトルに付く映画が多いのですが、どうも本作は無責任シリーズには数えないようです。時代劇ということもあって、番外編との見方が強いのも事実でしょうか。その意味では、クレイジー作品の中では異色作と呼べるかもしれません。
また本作は、歴史パロディとしての味わいも十分となっています。元ネタは歌舞伎「助六」で、これに播隋院長兵衛の話を絡めています。双方時代が異なるのですが、時代背景はおおむね17世紀半ばと見ることができるでしょうか。播隋院長兵衛とくれば宿敵・水野十郎左衛門というわけで、作中ではこの二人の争いを巧みにモチーフに利用しています。また、助六の敵といえば髭の意休であり、これも本作で登場。さらには助六の恋人で花魁の揚巻(あげまき)も、その名前のまま登場しています。特にこれらの知識が前提となるわけではありませんが、時代劇ファンなら一層楽しめるつくりと言えそうです。 主人公は父親の仇を江戸に追う助六(植木等)。実は助六の父がなぜ討たれたかは明らかにされていません。後半に入って、どうも理不尽な事情で討たれたことはおぼろげに分るのですが、今ひとつはっきりとはしません。また、助六自身の身分も定かではなく、ちょっと端折りすぎの感はあります。この点があいまいなので、後に登場する仇役・髭の意休(進藤英太郎)の非道さがやや希薄となってしまった感があります。髭の意休は悪者、という先入観に頼った結果となってしまいました。ここは展開上不可欠ではなかったかと感じます。 しかし相変わらず主人公は能天気なキャラクターで、仇討ちの暗さは微塵もありません。助六は人助けをしたばかりに無一文となり、しかし江戸で名高い町奴・播隋院長兵衛(ハナ肇)に偶然拾われるわけです。そして同じく拾われたドケチな旅人・権八(谷啓)とコンビを組み、旗本・水野十郎左衛門(田崎潤)とその手下・加賀爪四郎(藤木悠)の悪事を暴いていくこととなります。 このハナ肇の播隋院長兵衛が秀逸で、何ともはまり役。頼られれば助けずに入られない性分ながら、女房(草笛光子)にはからっきし。いつも脇役にまわるハナ肇ですが、そのつどキャラクターをつくり上げており、その名優振りが改めて実感されます。ともかくも基本的にはハチャメチャ時代劇、なのですが、長兵衛や助六の情に篤い面が強調され、情感はかなり豊かです。マドンナ役は花魁の揚巻(団令子)。助六の仇討ちを助けようと奔走。そしてもうひとり、町娘のお菊(藤山陽子)。恋の行方も気になる展開となっており、物語を大いに盛り上げます。 そして終盤は思わぬ展開。助六がシリアスに敵討ちに臨む構図になります。相手が進藤英太郎や田崎潤ですからさぞかし重厚な殺陣を、とも思ったのですが、そこはコメディ。残念ながら殺陣そのものは余興程度に抑えられています。 作中では、サイドストーリーとして、権八と遊女・小紫(池内淳子)とのおかしな恋物語も進行。実はこれも播隋院長兵衛の話に登場する人物たちなのだとか。筆者は詳しくありませんが、少なくとも権八の方は実在の人物でもあったようです。いずれにせよ、様々なモチーフで楽しむことができ、単純娯楽時代劇として見るだけでも十分なおもしろさです。90分間、見所満載の映画であることは確かでしょう。ただし、歴史上の人物が登場する割には時代考証は軽視されており、リアリティは希薄です。歴史ものというアタマがあると、ちょっと物足りない気もしますが、まあ、そこは見る側大多数が期待するところではないかもしれません。 |
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