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ホラ吹き太閤記

(1964年/日本/98分)

[監督]古澤憲吾
[脚本]笠原良三
[撮影]西垣六郎
[音楽]宮川泰、萩原哲昌
[出演]植木等、ハナ肇、谷啓、浜美枝、藤山陽子、草笛光子、有島一郎、藤木悠、青島幸男、藤田進、東野英治郎

[内容]

 ある夜、行商人の日吉丸は野武士の頭目・蜂須賀小六と出会い、口八丁手八丁で名刀・村正を貰い受けることに成功。刀を手に入れると念願の武士になるべく織田信長の許へ。が、取り立てられたのは草履取り。さらに懐で草履を温めたことから勘気を被り、厩番に落とされてしまう ・・・。植木等主演の歴史コメディ。高度成長時代、サラリーマン社会に重ね合わせての太閤記のパロディ。ただし、展開されるのはその生涯のほんの一部。ちょっと中途半端な気もするが娯楽性は十分。
[評価]★★★☆☆

cinema review

STORY

 戦国時代、三河。ある夜、行商人・日吉丸が野宿をしようとしていたところ、野武士の集団が通りがかる。聞けばその頭領・蜂須賀小六は、これから岡崎の武家屋敷に夜討ちをかけに行くのだという。ひょんなことから小六の家来となった日吉は夜討ちに参加。志願して単身侵入するが、泥棒、と叫ぶとたちまち双方斬り合いとなる。しかしその隙にまんまと千両箱を盗み出してしまうのだった。
 3日後、小六の許にいた日吉は、かねて名将と見込む織田信長に仕えようと決意する。そして小六から、お気に入りの名刀・備前村正を口八丁手八丁で貰い受け、尾張へと旅立つ。信長に謁した日吉は運良く草履取りに取り立てられることに成功。以後、木下藤吉郎と名乗ることになる。ところがある寒い夜、信長の草履を懐で温めて出したものの、これが裏目に。余計なことだと怒られて厩番に降格させられてしまう。めげずに厩へ行ってみると、そこで信長の愛馬・鳴神が病気にかかっていることを知り、一計を思いつく。
 朝鮮人参を食べさせれば治ると考えた日吉は、名刀村正を質に入れて薬代を工面。これが功を奏して鳴神は回復。喜んだ信長は、一転、藤吉郎を台所役に昇格させる。はれて藤吉郎は正式な家臣となったのだ。この間、厩番頭・藤井又右衛門の娘・ねねに言い寄られいい仲に。そんなある日、藤吉郎は、城壁の修築に手間取っていることを知る。そして、一ヶ月で半分しか進んでいない工事を3日で仕上げると信長に豪語するのだったが ・・・。

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COMMENT

 クレージーキャッツ、植木等主演の戦国コメディ。太閤記をモチーフにしており、つまりは豊臣秀吉の物語。高度成長時代の映画の傾向であった、サラリーマンの出世物語風になっているのが時代を感じさせます。ここでは織田家は新進の株式会社、織田信長はその青年社長というわけで、秀吉はその下で働き、下働きから正社員となり、そして係長となる、といった具合に展開されるわけです。まあ、今見るとちょっと違和感はあるかもしれません。
 ただし、物語は、日吉丸が木下藤吉郎となり、さらに羽柴秀吉と改めるところで終わります。天下を取るにはだいぶ手前で幕。そこまでいけばしまりが良いと言えるのでしょうが、さすがに90分では無理があります。この点、消化不良の感は否めませんが、その分無理のないスムーズな流れとなっていることは確かでしょう。序盤に登場したきりだった蜂須賀小六が最後に再登場して終わるあたりは、むしろ構成美と呼べるかもしれません。まあ、今なら3時間の超大作になっていてもおかしくない気がします。当時の方がかえって節操のあるつくり方をしていたようにも思えます。
 物語は日吉(植木等)が行商をしていた時分から始まります。ある日、夜盗同然の野武士集団を率いる蜂須賀小六(東野英治郎)と出会ったことから仲良くなり、名刀・村正を手に入れることに。そして念願の武士になるべく、織田信長(ハナ肇)の許へ。さっそく草履取りに取り立てられ、以後、奇抜な方法でとんとん拍子に出世をして行く、というわけです。
 作中には歴史上のイベントも描かれます。クライマックスは「桶狭間の戦い」。しかしリアリティは希薄で、ここでは秀吉が桶狭間に信長を誘導したことになっており、今川義元(藤田進)を討ったのも秀吉の部隊。このあたりはあくまでも娯楽優先のご都合主義の展開となっています。
 また、登場人物もほとんど歴史上の人物をまねています。今回のマドンナ役は後に秀吉の妻となるねね役の浜美枝。ほかに前田利家役に藤木悠。悪役が多いと思いましたが、本編では珍しく植木等の親友として登場しています。徳川家康役には谷啓。柴田勝家は人見明が演じ、「バカ」というお決まりの文句も聞くことができます。
 お気楽コメディ、ということで、そう割り切れば史実と比較するだけ野暮と言えるでしょうか。その分文句なく楽しめる映画ではあります。が、物語は墨俣築城に向かう秀吉の姿で幕。ここだけはどうしても中途半端さが残る終わり方に見えるのですが、どうなんでしょう。その後の秀吉の活躍をなまじ知っているだけに、後半の楽しみを煽られつつお預けを食った気分になってしまいます。どうせなら続編をつくってほしかったところです。

(東宝)
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