Index |
Information |
|||||||||||||||||
怪異談 生きてゐる小平次(1982/日本/78分)
cinema review ![]() STORY
小平次、太九郎、おちかはおさななじみ。おちかは一旦は金持ちの家に嫁ぎますが出戻って今は太九郎の女房に。三人は今でも集まっては芝居遊びに興じる仲。そして役者の小平次は囃子方の太九郎と組んで芝居をして暮らしていますがその実は緞帳(どんちょう)。
ある時、小平次は昔から好きだったおちかに告白。が、おちかは子供ができたと言って断ります。ところがおちかはやがて流産。旅芝居に出かけた折、小平次はついに太九郎に "おちかをくれ" と迫ります。太九郎を殺してでも一緒になるという小平次に、逆上した太九郎は小平次を湖に落として櫂で殴りつけてしまいます。 小平次を殺したと思い家に戻った太九郎。おちかに事情を説明して怯えていたところ、そこに現れたのは小平次。再びおちかをくれとしつこく迫る小平次を太九郎はまたもや殺してしまいます。そして捕縛を恐れて江戸を出た二人。が、太九郎は小平次の影に怯えるようになり、日に日にひどくなっていきます。そんな太九郎におちかは愛想を尽かし、みずから別れを切り出すのでしたが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
もとは昔話のひとつ。新歌舞伎の題材になり有名になったもの。以前にも映画化(1957年)はされていましたが、往年の人気監督・中川信夫が再び取り上げて映画化。いずれも新歌舞伎の鈴木泉三郎を手本としています。登場人物三人のみという設定に暗い映像の多用、と、かなり地味な雰囲気になってしまいましたが、三人の愛憎劇を見事に再現。中川監督の円熟した演出が光っています。
物語は幼なじみの小平次、太九郎、おちかが即興の言葉遊びをしているところから始まります。が、おちかと二人きりになると、小平次は一緒になってくれと言い始め、やがてはついに夫・太九郎におちかをくれと迫ります。三人の言動を丁寧に映し出す序盤の一連のシーン。歌の中ながらも、おちかを好きだという小平次と太九郎。そこには三人のふしぎな関係が暗示されています。さらに不気味なのは屈託なく告白する小平次の姿。内に繊細さを秘めながらも無心に偽るおちかには見る者も惑わされていきます。 が、そんなおちかに暴力をふるう夫・太九郎。足蹴にされると、別れろと言うおちか。が、その言葉とは裏腹に太九郎から離れることはありません。それを知ってか知らずか、あるいはおちかの矛盾した言葉と本音が誤らせたものか、小平次は執拗におちかに執着します。そんなどろどろした心情と対照的に、無邪気な芝居遊びで仲のよいところを見せる三人。この三人のみという登場人物がいかにも狭隘な世界を象徴していて、物語の異常さを際立たせています。 中盤、太九郎に殺される小平次は生きている姿そのままに太九郎の前に姿を現します。そして再びしつこくおちかをくれと迫るのです。それはおちかへの執着が太九郎への怨念と化したもの。その姿よりも、その執拗さには狂気を感じます。そして太九郎は己と小平次の両方に怯えを覚えていき、おちかにも愛想を尽かされるようになっていく訳です。 怪談というよりは、やはりタイトルにある "怪異談" がしっくりする物語。ホラー的な要素に加えて、三人の機微をじっくりと見ていきたい作品ではあります。が、個人的にはこの暗い映像が苦手で、どうにも閉口してしまいます。ちなみに、本作が中川監督の遺作となってしまいました。映画黄金期には超売れっ子の監督でもありました。日本ホラー映画史に残る傑人と言っていいでしょう。 |
amazon DVD link
more review ...
中川信夫監督は往年の売れっ子監督。代表作は「東海道四谷怪談」。一大長編の物語を見事にまとめ上げています。一方、「地獄」では恐怖に満ちた地獄の世界を描出。奇才の監督でありました。
|
|||||||||||||||||
www.sasaraan.net |
・・・ |
(c) morijoh |