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華麗なる一族(1974年/日本/211分)
cinema review ![]() STORY
志摩半島の高級ホテルに万俵一族が集まる。毎年正月の恒例行事だった。当主・万俵大介は預金高十位の阪神銀行の頭取。その長男・鉄平は最大傘下の阪神特殊鋼の専務で、実質の経営を取り仕切っていた。また次男・銀平は阪神銀行本店で融資課長に就いていた。一方、長女・一子は大蔵省主計局次長・美馬中と政略結婚。次女・二子(つぎこ)は独身で見合い結婚を嫌っていたが、家宰で大介の愛人・高須相子が政略結婚をさせようと目論んでいた。
この年、金融再編のうわさがささやかれ、大介は大蔵大臣に面会しその真意を確かめる。そこで預金高十位以下の銀行は合併の対象だと言われ衝撃を受ける。大介は美馬に命じ、上位銀行の経営状態の極秘資料を入手。生き残りを賭けて上位銀行を買収する陰謀を企て始めた。 一方、鉄平は帝国製鉄から銑鉄の供給を止められ頭を痛めていた。帝国製鉄からは度々嫌がらせを受けており、鉄平はかねてからの夢であった高炉建設を、他の役員たちの反対を押し切り強行する。高炉を持てば居丈高な帝国製鉄に頼らずに済む。が、それには莫大な費用と労力が必要とされた。 鉄平はアメリカ在国時代の恩師・三雲祥一が頭取を務める大同銀行に融資を依頼。三雲はこれを快諾する。しかしメインバンクの頭取である父からは、土壇場で融資額をカットされる。鉄平は、祖父似という理由で、大介がなぜか自分を疎んじていることを知っていた。 その大介には陰謀があった。鉄平と阪神特殊鋼を捨て石にして、阪神銀行よりも大きな大同銀行を乗っ取ることだ。一方、鉄平は資金難にもかかわらず高炉建設に踏み切っていた。が、その矢先、建設中の高炉で爆発事故が起きてしまう ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
山崎豊子原作の映画化。監督は名コンビの山本薩夫。金融界と政界の闇、その一角に君臨してきた万俵家の愛憎劇を生々しく描きます。当時は金融界の再編など、絵空事と思われるモチーフでしたが、その後の金融界の秩序の崩壊を見れば、いかに山崎豊子の目が確かであったかを思い知らされます。
物語の舞台は万俵(まんぴょう)家。当主は非情な経営手腕で阪神銀行を拡大させてきた頭取・大介(佐分利信)。家庭でも妻・寧子(月丘夢路)と家宰で妾の高須相子(京マチ子)を一緒に住まわせ、一夜ごとに伽をさせる倣岸な人物。妻・寧子は華族出身で優しい人物ながら実務は無能力。一方の相子は元は家庭教師でありながら、卓越した事務能力で妻以上の立場にまでのし上がっています。 と、これだけでも異常なシチュエーションなのですが、さらには跡継ぎ・鉄平(仲代達矢)と大介との確執が存在します。祖父似の鉄平をなぜか疎んずる大介。実は鉄平は祖父と寧子との間にできた子という忌わしい出生の秘密が中盤明らかにされます。その鉄平は万俵グループ最大傘下の阪神特殊鋼専務。経営安定のため、夢であった高炉建設を強行。しかし爆発事故によって頓挫し、窮地に追い込まれます。 そこに付け込んだのが大介で、折しも金融再編で銀行の存続が危ぶまれる時。大介は阪神特殊鋼への融資を大同銀行にさせた上で、阪神特殊鋼を倒産へと追い込んでゆくのです。それを知った鉄平は大介を告発しようと奔走。が、そのことごとくが、大介の陰謀や政治家の野望によって潰されていくわけです。 実に暗澹たるストーリーで、この点、かつての「白い巨塔」などのように、怒りと無力感に苛まれる200分と言えそうです。人間の醜さを徹底的に描いているわけですが、最後、野望が満たされた大介の新銀行。しかしそれもまた、政治家たちの道具に過ぎずこれから潰されてゆく運命を待つ、そんなどす黒さすらが痛快に感じてしまうほどの悲劇と呼べます。 終盤では、万俵二子(酒井和歌子)が政略結婚を蹴って恋人の待つアメリカへ旅立つというわずかながらの光を描きます。愛のみが救いである、そんなことをも暗示しているわけですが、しかし一方では、真の愛に目覚めながらも裏切られる相子の姿をも浮き彫りにします。真の愛が活きる世界、愛を拒む世界、と、山崎作品はどこまでも二つの世界のギャップが生む悲劇を物語ります。そして前者を「善」、後者を「悪」として捉えるのですが、悪が善に勝る用に展開させているところに、現代社会の腐敗と矛盾を強烈にアピールしています。メッセージという点ではあまりにも鮮烈な作品であることは事実でしょう。 ストーリーは大変おもしろいものですが、作品は3時間半以上という途方もない長さ。ちょっと暇なときにでも ・・・、とはいかない長さです。しかし、複雑な人間関係と雑多なモチーフでありながら、この長さが、巧くここから来るストレスを吸収しているように思います。やはり山本薩夫監督は超長作品の達人であると言えます。とはいえ、やはり惨憺たる内容であることは否めず、面白さに反して、どこまで満足感を得られるかは難しいところではあります。 |
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