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怪談累が渕かいだんかさねがふち(1970年/日本/83分)
cinema review ![]() STORY
ある夜、金貸しの座頭、宗悦が、旗本・深見新左衛門の屋敷へ借金の取立てに訪れる。新左衛門は妾のおくまと情を通じている最中。利息だけでも払ってもらうと宗悦が息巻くと、妻・沢野に言えと追い出される。仕方なく沢野の元へ行くと体で払うと言い出す。が、宗悦が沢野を抱いているところに新左衛門が現れ、不義者として二人を斬ってしまう。
そしてやくざ者の甚蔵と仙太が新左衛門に命じられ二人の死体を累が渕に沈める。その頃、新左衛門の前に沢野と宗悦の怨霊が現れ半狂乱となる。そして、ついに発狂し自刃して果てる。一方、甚蔵と仙太は宗悦の家に押し入っていた。一緒に住んでいた娘・お園に金のありかを白状させようとする。が、お園は知らない。すると二人はお園を散々に嬲りものにしてしまう。 新左衛門の息子・新五郎が死体検めに訪れる。新五郎は素行が悪く勘当された身だった。父の死にもまったく悲しむ様子はない。同じ日、お園の姉・お志賀が父・宗悦の家を訪れていた。が、二人ともいない。お志賀はこの隙に、と、宗悦の隠し金を持ち帰ってしまう。お志賀はその金で奉公先のおかみの借金を払い、証文を手に入れる。そして店に帰るとおかみのお関を脅し、まんまと店を乗っ取ってしまうのであった。 お志賀を激しく憎むお関は新五郎に店への嫌がらせを依頼。新五郎は店に乗り込んで騒ぎ立てる。が、お志賀も動じない。新五郎を逆に買収しようと説き始める。そして二人は、いつしか情を通じ合うようになって行く ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
もとは初代三遊亭円朝の怪談噺。映像化では中川信夫監督のものが有名ですが、本作ではさらにアレンジが加えられ、実に荒んだストーリーにまとめられています。怪談としてのシーンはさほど多いわけではなく、ホラーとしては物足りなさを感じますが、この不毛とも呼べる物語にはかなり見応えがあります。
物語は親子二代に亘る因果と、各々の業がまねく悲劇を描きます。まずは因業で知られる金貸しの座頭・宗悦(石山健二郎)が、借金取立ての際、旗本・深見新左衛門(伊達三郎)に謀られ慙死。が、新左衛門も、宗悦と、ともに斬った妻の怨霊のために狂死してしまいます。この新左衛門というのが妻の隣で妾と情を通じるほどの人非人。さらに妾・おくま(笠原玲子)は死んだ宗悦の金をネコババ。しかしこれをさらに奪い取ってしまうのが、新左衛門の勘当された息子・新五郎(石山律)。一方、宗悦がいないことをいいことに、宗悦の家の隠し金を盗っていってしまうのが、宗悦の娘・お志賀(北島マヤ)。お志賀はそれを元手に奉公先の店を非常な手段で乗っ取ってしまうのです。 とにかくも出てくる登場人物が皆救いようのない悪党。そしてこれらの悪党は、みずからが背負った業によって次々と滅んでいくことになるわけです。ただ一人、同情できるのは宗悦の娘・お園(丘夏子)くらい。が、そのお園もやくざ二人に犯された上女郎屋に売られ、そこで情を通じ合った客(新五郎)が、父の仇の息子と知って自害してしまいます。実に救いのない展開と言えます。 親の因果が子に ・・・、というのは後半の展開。ふとしたことからお志賀は父の敵の子と知らずに新五郎と好き合うようになります。が、お志賀は自分が乗っ取った店の元おかみに襲われ、二度と戻らない醜い顔にされてしまいます。一方、新五郎も、自分が金を奪ったおくまに出くわして責められるとこれを刺し殺してしまい、追われる身となってしまうのです。ここでもうひとり、お志賀の奉公人、おひさ(水上竜子)が登場。献身的に重傷を負ったお志賀を看病、と思いきや、ねらいはお志賀の隠し金。これまたお志賀に劣らぬしたたかな悪女と言えます。 結局皆死んでしまうという荒れた結末。累が渕は、そんな業の深い人間たちを飲み込む象徴として描かれていることになります。幽霊が出るシーンは随処に挿入されていますが、さほどのコワさはありません。近年のホラー映画がいかに怖くつくられているかがわかります。そんな近年のホラーに目が慣れてしまったせいかもしれません。しかしこの救いのないストーリーはやはり秀逸であるように思います。冒頭からたちまちにして引き込まれ、最後まで荒みきった物語に飽きる暇がありません。いずれにせよ、三大怪談のひとつに挙げられることの多い「怪談累が渕」。怪談ファンなら必見の作品と言えます。 |
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初代三遊亭円朝は幕末から明治時代にかけての名落語家。自作の怪談は今なお語り継がれており、特に有名なのが本作(「真景累が淵」)と「怪談牡丹灯籠」。いずれも「四谷怪談」とともに三大怪談と呼ばれることもあり、様々なアレンジの映画・ドラマがつくられています。
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