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県庁の星(2006年/日本/131分)
cinema review ![]() STORY
県庁・産業政策課の係長・野村聡は大型公共事業のケアタウン・プロジェクトに参加。それは200億円をかけた老人養護施設の建設で、野村にとっては出世の一ステップであった。プライベートでも地元の有力建設会社の篠崎社長に取り入ることに成功し、令嬢の貴子とは恋人の関係。公私共に順調な人生を歩んでいた。
そんな時、県庁で民間人事交流企画が持ち上がる。名目上は民間のノウハウを学ぶことだが、真の目的はプロジェクトに反対する市民対策の一環だった。メンバーにはエリート8人が選ばれ、野村もその一人として、スーパーマーケット・チェーンの満天堂・浜町店に半年間派遣されることになる。 そこで野村の教育係となったのはベテラン・パートの二宮あき。野村は自信満々で業務に当たるが、何事もマニュアル重視で杓子定規。次々と客を怒らせてしまい失敗続き。すっかり機嫌を悪くしたあきからは、もっと客の満足を考えるよう怒られてしまう。そして、ついに客の前に出さないよう清水店長が指示。惣菜厨房へと回されてしまう。 しかしそこで、古い食材を使ったり、売れ残りの惣菜を使い回す現場を野村は見てしまう。あきや店長たちに改善するよう訴えるが皆聞く耳を持たない。実は店は経営不振でリストラ対象に挙げられていた。不正は経費節減のためだったのだ。そんな時、店に食品衛生Gメンの抜き打ち検査が入り窮地に。続く消防署の抜き打ち検査でも改善を勧告される。店の裏には大量の在庫が雑然と置かれ、もはや整理のつかない状態になっていた。 その頃、野村は経過報告のため県庁にいた。ところが、研修の間に自分がプロジェクトからはずされたことを知り愕然となる。さらに貴子からは別れを切り出され心の拠りどころも失う。そして自暴自棄となった野村は店にも出なくなってしまう。その間、店では改善のめどがまったくつかず、廃店の危機が濃くなっていた。そんな中、何とかしたいと思ったあきは、誰も見ようとしなかった野村の改善提案書を開けてみる ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
桂望実の同名小説の映画化。筆者は知りませんが、コミック化も行われており、人気作品だったようです。出世街道まっしぐらのエリート役人が民間企業への研修を機に挫折し、そして再生する物語。そして物語は、スーパーの経営再建をサイドストーリーに置きます。さらに展開は主人公二人のラブストーリーに及び、一方では、硬直化した役所に対する諧謔も込められているようです。ほどよい多彩さといえるかどうか。飽きの来ない展開で面白さは十分ですが、時間を追って雑ぱく感は増しており、結果、テーマ性がぶれたことは否めません。それが許される連ドラ向けの構成のように感じます。映画であれば、もっと明快な重点の置き方があってよかったのではないでしょうか。
物語の主人公は、ある県庁のエリート係長・野村聡(織田裕二)。ある時、研修で地元のスーパーへと派遣されますが、役所の業務同様ルールづくめの仕事ぶりで失敗の連続。元々が自尊心ばかり高く出世大事の自己中心人間。店員たちからは嫌われ、あっという間に店の厄介者となり、陰では役立たず呼ばわり。一方この間、尽力していた大型プロジェクトのメンバーから外され、さらには恋人には捨てられ建設会社とのコネも絶たれ、と散々。自分を必要とする者がいないことを悟った聡は、大きな挫折を味わうことになるのです。 国の役人ではなく県庁という地方の役人が主人公。地方公務員があそこまで思い上がった意識を持つものなのかどうか、と思うとややキャラクターは極端かもしれません。ともかくも、物語の中盤はスーパーの再建が中心となります。もうひとりの主人公は裏店長とまで呼ばれる有能なパートタイマー、二宮あき(柴咲コウ)。聡の教育係になるもたちまち犬猿の仲に。客の満足度を考えていない、と皮肉るあたりでは、県民の満足を考えているのか? への暗示が見え隠れしています。しかしこのスーパー、実は経営不振。廃店の危機にさらされることになりますが店長(井川比佐志)はなすすべが分らずお手上げ。皆が解雇の淵に立たされる状況にあきは苦悩。そして聡に助けを求め、聡は再びやる気を取り戻し店の改革に尽力するというわけです。 それぞれのプロットだけで見ればお決まりの展開、ということになるのでしょうが、両者の間に接点をつくり、互いに接近させたのがこのプロットのミソと呼べるでしょうか。最初は役立たずだった野村が後半活躍する。それをあきとの人間関係の中で描ききったことは見事なバランス感覚である気がします。不正を知りつつ放置していたあきに野村は言います。目の前の問題がら逃げ出す人は人生の問題からも逃避する人だ、と。最初は鼻持ちならない人間だった野村。しかし本質の部分では、使命感や正義感、そして人情味を備えていたことが分ります。彼を鼻持ちならないものにしていたのは、役人という衣だったと言えるでしょうか。 物語は終盤、その行政への批判を強めています。200億のプロジェクトが80億で済む。そんな提案を聡が出します。普通なら喜ぶべきところ。が、会議では怒号が飛びます。しかも知事(酒井和歌子)は議長(石坂浩二)の言うなり。権益と癒着に彩られた政治の、どうにもならない現状を感じ取ることができます。が、やはり様々なモチーフを絡めたためか、メッセージ的なインパクトは希薄となっています。ちょっともったいないようにも思います。 まあそれにしても、主人公二人はいい年してピュアすぎる、と思ったのは筆者の歳のせいかどうか。二人向き合ってもごもごするシーンはもどかしく、まるで一昔前のTVドラマの様相。ただ、このあたりは何ともほのぼのとした雰囲気で好感は持てます。いずれにしても、モチーフが散らされた分、様々な楽しみ方ができることは確かでしょう。大きな満足感というわけにはいきませんが、見終わった後の爽快感はほどよく、ツボを得たつくりであることも確かだと思います。これもまた、元ネタの力なのかもしれません。 |
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