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ココニイルコト(2001年/日本/112分)
cinema review ![]() STORY
東京に本社を構える広告代理店のクリエイターだった相場志乃が大阪支社へ転勤となる。不慣れな土地、しかも配属先は営業部。初日からとまどう志乃の前に、もう一人の新入社員が遅刻して現れる。中途採用の前野悦郎だった。
仕事に精が入らず、同僚たちとはかたくなに馴染もうとしない志乃。終業後は宿泊しているホテルへと入っていく。実は志乃は、上司との不倫が相手の奥方にばれ、手切れ金を渡された上での転勤だった。志乃は、この手切れ金を使い切るまで、とホテル住まいをし、退職しようと決意していたのだ。が、傷ついた心はいつまでも癒されることはなかった。 そんな志乃の心を少しずつ溶かしていったのは前野悦郎だった。誰とも付き合おうとしない志乃のわがままも、「まあ、ええんとちゃいまっか」とちゃかすように受け止める悦郎。最初は煙たかったが、決して突き放さず、かといって近づきすぎず、いい加減そうであたたかなその態度を、志乃は徐々に受け入れるようになる。 やがて悦郎やまわりにも徐々に心を開きはじめた志乃。上司のはからいで広告の仕事も任されるようになり、生気を取り戻していく。が、そんな中、悦郎が突然何日間も欠勤をする。悦郎には長年患っている心臓の持病があったのだった ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
キャリアウーマンの挫折と再生を描いた女性映画。長澤作品らしい繊細を持った癒しの物語でもあります。しかし繊細すぎるということがないのがごく自然。一方、作中では不倫や心臓病といった重いモチーフも扱っています。それを悲劇的な感傷へと誘導するのではなく、漠然とした希望・新たな未来を予感させるような、やんわりとしたラストに帰結させています。ほどよいユーモラスさも好感の持てるつくり。見る側で一歩踏み込む必要はあるかもしれませんが、個人的には美しいバランスの映画ではないかと思います
物語の主人公は広告の制作をするキャリアウーマン・志乃(真中瞳)。しかし上司との不倫の末、捨てられた上に大阪へ左遷されてしまいます。自暴自棄となっていた志乃は、仕事もやる気はなく職場にも馴染もうとせず、辞職願を出すのを待つだけの日々。が、同じ日に入ってきた悦郎は、そんな志乃の心の中に入っていきます。最初はうっとうしいと思う志乃ですが、徐々に心を開いていくことになるわけです。 展開は終始淡々と進みます。二人の関係は恋人、というところまでには至りません。正直、歯がゆさを感じないでもありませんが、それは物語の結末を悲しくすることにもなってしまいます。ラストの爽快感と引き替えにラブストーリーは控えめにしたと見れるかもしれません。 職場で孤立する志乃。やる気もなく付き合いもしない彼女に、時にまわりは冷たい態度をとります。しかし、紆余曲折を経て最後には互いに理解し合う。結局皆いいひとで終えるところはいかにもヒーリング・ストーリーといった感じ。見ていてホッとできる展開。この心地良さは最後まで変わりません。 ただし、泣ける、というほどではありません。まあ、あからさまにお涙頂戴のドラマが幅を利かせる中、非常に好感の持てるつくりではあるでしょう。ヤマ場があいまいでやや平坦な展開であることも否めませんが、むしろそれが、自然、和み、優しさ、といったイメージを浮き立たせているようにも思います。 作中、悦郎がの部屋のベッドから見上げるとそこには即席の宇宙が広がっていた、というシーンがあります。人生は何事も考え方次第、気の持ちようでどうにでもなるのさ、そんな暗示が込められているのではないでしょうか。そしてラスト、同じように悦郎が見た宇宙を見上げる志乃。その表情は穏やか。それは再生した人間の姿というよりも、ありのままの人間の姿と呼べるのかもしれません。 |
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本作は長澤雅彦の長編初監督作品。岩井俊二監督とのかかわりも深いようで、そのせいかどうか、どことなく雰囲気は似通っています。「卒業」(2003)では内向的な心理的な描写で、より繊細な物語をつくり上げています。一方では「13階段」(2003)のようはハードなドラマも。こちらは対照に鬼気迫る人間描写が印象的でした。
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