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この子の七つのお祝いに(1982年/日本/111分)
cinema review ![]() STORY
大物政治家・磯辺の秘書・秦一毅(はたいっき)の豪邸で家政婦をしていた池端良子が、自宅マンションで殺されます。警察は、その夜被害者と会う約束をしていた月刊公論の記者・母田(おもだ)を事情聴取しますが、アリバイがあり釈放。その時、東洋新報の記者・須藤が、かつての先輩の姿を認めて声をかけます。すると母田は二人で会いたいと言ってくるのでした。
その夜、須藤行きつけのバー・往来(ゆき)で再会。母田は、秦一毅の内縁の妻・青蛾(せいが)が手相占いの名人で、政財界の大物が依頼するほどだと言います。ところがこの青蛾の過去や正体は不明。そんな時家政婦の池端良子がクビになったと知り母田は接触。青蛾は占いの際に相手の手形を取るのだそうで、よく当たるにはからくりがあるのだと良子は母田に告げていました。さらに、青蛾が人を探しているらしいと教え、盗んできた手形の紙を母田は受け取っていました。二人は口封じのために青蛾が良子を殺したと推理。協力して取材することに。 やがて母田は、青蛾が7年前まで麗子という名でママをしていたバーを突き止め、持主に会いに行きます。そこで、占いをしていたのはホステスの麻矢で、閉店の後会津へ帰省したと言います。その頃母田は往来の気難し屋のママ・ゆき子と愛し合うようになっていました。会津への出張から帰った夜、母田はゆき子に青蛾の正体が分ったと告げます。が、翌日、母田は死体となって発見。自殺と見る警察に対し、須藤は殺されたと確信。母田の取材を引き継ぐべく、会津へと向かうのでしたが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
本原作は第1回横溝正史賞(1981)を受賞。本格ミステリー・ブーム真っ只中のことでもあり、さすがに精度の高い作品。一方、ミステリー然としたサイコ・サスペンスに、日本古来の「呪い」的なおどろおどろしさを加味。娯楽性に富んだ推理映画に仕上がっています。
冒頭は母娘の情景から始まります。幼い娘・麻矢に、自分たちを捨てた父・道夫に復讐するよう言い含める母・眞弓(岸田今日子)。やがて娘が7歳になった正月に母は自殺。娘は父への復讐を生きがいとするようになるのです。それから30年以上もの後。謎の女占い師・青蛾の元家政婦の死を皮切りに壮絶な復讐劇が描かれることになります。 事件を追う記者母田(杉浦直樹)。青蛾の占いの秘密というのも興味をそそる一点。物語の神秘性を大いに増しています。また、事件と同時に母田とバーのママ・ゆき子(岩下志麻)とのラブストーリーも進行させ、叙情色も加えていきます。が、やがて母田も真実に迫ったがために殺され、後輩の須藤(根津甚八)が後を引き継ぐことに。一体復讐者は誰なのか。その正体は間もなく明らかとなりますが、物語は更なるどんでん返しを用意。母が娘に託した復讐には致命的な落とし穴があったのです。その真実は、30年の空白を経てホテル王となっていた父・佳哉(=道夫, 芦田伸介)から語られることになります。 物語にはもう一面、警察側からの描写が含まれます。刑事役は室田日出男と小林稔侍のコンビ。活躍を期待させる配役でしたが、このモチーフでの展開はほとんどなく、やや死にモチーフに近いのが残念。このため物語の幅が狭まり閉塞性を強めていますが、反面分りやすさは出ています。どちらを評価するかは微妙なところかもしれません。 作中、母・眞弓が写真の父の顔に針を刺す当たりはサイコ・ホラー的な恐怖感を醸成。終盤でも針山に無数の針を一心不乱に刺すシーンがあります。決してホラー作品ではないのですが、いまだに本作を話題にすると、岸田今日子(眞弓)の怖さに行き着いているのはおもしろいところです。 |
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本作は増村保造の監督最終作。代表作は「兵隊やくざ」(1965)、「陸軍中野学校」(1966)など。日本映画の黄金期を支えた一人でもあります。また、活躍は映画ばかりでなく、人気TVシリーズ「ザ・ガードマン」に脚本を提供、「赤いシリーズ」の演出も手がけています。
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