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きょうのできごと(2003年/日本/110分)
cinema review ![]() STORY
3月12日午前3時。高槻サービスエリアに中沢の運転する車が止まっている。車の中には恋人の真紀と幼なじみのケイトが乗っていた。三人は、大学院に進学する正道の引っ越し祝いに京都まで出かけた帰りだった。
大阪、あるビルの屋上。レスキュー隊が退屈そうにたむろしていた。ビルとビルの間に挟まれて身動きが取れなくなった男・川崎を助けるために出そうしたのだが、ビルのオーナーが、建物に傷をつけないよう要請があり、助けられない状態だった。しかも川崎は賭博場の店員で、警察から逃げる途中であった。それでもたった一人、隊員の松本が川崎をを気遣って励ましていた。 ある海岸では巨大な鯨が浜に打ち上げられていた。それを女子高生とサーファーが発見。鯨を海に戻そうと助けを募り、綱を巻いて何十人もの人間で引っ張っていた。 その日、中沢たち三人が正道の家に着いたとき、西山やかわち、坂本がすでに到着していた。ひとしきり宴会が済むと、真紀は西山の髪を刈り始めるが酔っていてめちゃくちゃにしてしまう。その頃けいとは二枚目だが気の弱いかわちに言い寄っていた。しかし、かわちにはすでにちよという恋人がいた。しかもけんか別れをしたばかりで落ち込んでいた矢先。そんな敗色濃厚のけいとと呑み直す真紀。普段は元気を装う真紀だが、内心は、何でもわかりあう恋人中沢と幼なじみ・けいとを複雑な思いで見つめていた ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
柴崎友香のデビュー作の映画化。物語はある大学生グループの1日を軸に、三つの場所で起こる出来事を描きます。正道の借家とそこに集まる7人の仲間たち、あるビルに出動したレスキューと助けを待つ男、ある浜に打ち上げられた鯨とそれを発見した女子高生とサーファー。どれもストーリーらしい展開があるわけではなく、普段からはちょっと逸れた体験を通して、自分をわずかに見直し、あるいはつくられる思い出とともに淡々と描いています。
物語はある深夜のサービスエリアから始まります。中沢(妻夫木聡)と恋人・真紀(田中麗奈)、幼なじみ・けいと(伊藤歩)は京都からの帰り。中沢は映画づくりに夢を持つも踏ん切りがつかず、けいとは恋人ができないことに悩み、真紀は何でも知り合っているこの二人の関係をうらやましく見つめます。 そんな三人が後にした京都の正道(柏原収史)の家ではまだ友人たちが残っていました。女性にもてないといってコンプレックスを持つ西山(三浦誠己)。気が弱いかわち(松尾敏伸)はその日のデートで恋人ちよ(池脇千鶴)とけんか別れをしたばかり。一見包容力がありそうで穏やかな正道も、実はまわりに流されがち。 一方、あるビルではレスキュー隊員・松本(津田寛治)とビルの間に挟まった賭博店員・川崎(大倉孝二)との間に奇妙な連帯感が生まれていました。互いに同じ中学の先輩後輩だと分り意気投合していきます。一方、くじらが漂着した浜では女子高生とサーファーが海に戻そうと奮闘。物語は彼らのそれぞれの1日を客観的に見つめていきます。 実は時間的な経過が本作ではややあいまいで、これが観ていてちょっとしてストレス。冒頭のみ、3月12日 ・・・ という日時が示されますが、なぜかその後は示されません。しかし各エピソードはあちこちに時間が飛び、観る者みずからが頭を切り替える必要があります。しかも、個々のエピソードが断片的に描かれているにもかかわらず、物語はどこか一点に収束するわけでもなく、見終わって高い満足感を得られるというつくりではありません。 もっとも、そんな日常と非日常の間にあるあいまいさの中に物語の本質があるのだろうとも思います。そう観ていくと、むしろ個々の人物像や心情描写にこそ集中すべき映画であることに気付きます。つまりは、一日の出来事を通じて、それぞれの心に微妙な変化が生まれ、それぞれの中で最後に収束していることが見て取れます。中沢との関係に不安を抱いていた真紀、けんか別れしたちよの許に向かうかわち、大阪の恋人を呼び寄せる正道。各々は小さな物語ながら、これらが寄せ集まって、この物語がかもし出すちょっとした幸福感を生んでいるのかもしれません。 |
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現在凄まじい勢いで作品を発表している行定勲監督。すっかり日本映画の牽引者となっています。代表作は「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004)でしょうか。「GO」(2001) も忘れがたい作品。「春の雪」(2005)では再び妻夫木聡とコンビを組んでいます。
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