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怪猫お玉が池

(1960年/日本/76分)

[監督]石川義寛
[原作]橘外男
[脚本]石川義寛、藤島二郎
[撮影]河崎喜久三
[音楽]渡辺宙明
[出演]伊達正三郎 、松浦浪路、北沢典子、沼田曜一、中村虎彦、新宮寺寛、芝田新、五月藤江、山下明子、宮田文子、市川門三郎、杉寛、沢井三郎

[内容]

 南条八千丸と小笹は想いを通じ合った仲だが互いの家は敵同士。ある時、小笹の兄玄斎は、代官とその弟五郎太と謀り南条家を皆殺しにしてしまう。が、ほどなくまわりで奇怪な出来事が起こり始める。その影には、南条家で可愛がられていた黒猫・玉がいた ・・・。惨殺された主人の仇を猫が討つという怪談モノ。前半は物語を見せ後半にこれでもかと怪談シーンを畳み掛ける。ややしつこさは残るが雰囲気のつくりこみ様は見事。お化け屋敷ムービー代表作の一つ。
[評価]★★★★☆

cinema review

STORY

 結婚を約束した二人、佐川忠彦と郡山啓子が山中で道に迷う。最後にはいつも池に出てしまいやがて日も暮れてしまう。その時一匹の黒猫が現れ、二人は導かれるように後をついていく。そこには古いあばら家があった。すると啓子は原因不明の高熱を発し寝込んでしまう。そして老婆に襲われる夢にうなされるのだった。翌朝、二人は山を降り寺にたどり着く。住職に事情を話すと、それは猫の怨霊だと昔話を始める。
 さかのぼること百年余り。南条八千丸は京へ旅立つため、家族に別れを告げていた。八千丸には小笹という思いを通じ合った女性がいたが、相手の家とは代々敵同士。妹の秋野は味方だったが母や兄新兵衛からは別れるよう釘を刺されていた。
 一方、小笹の兄玄斎は代官の鬼沢刑部とその弟五郎太 と謀り、南条家を滅ぼそうとしていた。事が成れば代官は秋野、五郎太は小笹を自分のものにしようという腹だ。代官は名主である新兵衛に重い年貢を言い付け、陳情に来たところを三人で斬殺。死体をお玉が池に投げ込む。さらに南条家に火をつけ、秋野をさらうと家の者を皆殺し。しかし秋野もほどなくして自害してしまう。
 胸騒ぎがして帰って来た八千丸は家の焼け跡を見て呆然と立ち尽くす。そこに落ちていた代官の印篭を見つけ事情を悟ると、代官屋敷に乗り込む。が、逆に殺されお玉が池へ沈められてしまう。やがて小笹は五郎太と祝言を挙げさせられることに。が、そのまわりで奇怪な出来事が次々起こり始める。その影には黒猫の姿。その猫は、かつて秋野と八千丸に命を救われ、そして可愛がられていた玉だった ・・・。

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COMMENT

 絵に描いたような怪談映画の一つ。が、オープニングは意に反して現代人二人の男女が映し出されます。猫の怨霊にとり憑かれ死相が出ているとまで言われる啓子(北沢典子)。そして結婚を言い交わした仲の忠彦(伊勢正三郎)。実は二人の祖先は、偶然にも、百年以上前、仲を引き裂かれ非業の死を遂げた二人だったのです。
 物語はここから江戸時代末期に飛びます。敵同士の家柄だった二人の祖先。ある時、一方である小笹(北沢典子 = 二役)の兄玄斎(沼田曜一)が悪代官(芝田新)と組み、もう一方の八千丸(伊勢正三郎 = 二役)の家を悪どい方法で滅ぼしてしまいます。が、八千丸の家にはただ一人、飼い猫の玉が生き残っていたのです。玉は、小笹を取り殺して成り代わると、次々と復讐を繰り返すこととなります。
 前半、怪談の雰囲気を保ちながら、物語や人間関係、そして怨霊が生まれる経緯をじっくりと描いていきます。オーソドックスながらも憎悪の念はよく伝わってきて、このあたりは怪談製作のベテランをそろえた成果を十分にうかがうことができます。そして後半は一気に怪談の名シーンを連ねて畳み掛けてきます。血の池、ただれた顔、死人のかんざし。お蘭の赤ただれた顔のシーンでは、四谷怪談のお岩をほうふつとさせるメイク。カラーになった分だけより生々しさが感じられます。そして怨霊のせいで目を誤り、怨霊を斬ったつもりが身内を殺してしまう業の深さ。いわゆる、怪談映画の定番シーンを、これでもかと言わんばかりにつなげてきます。
 が、逆にそれがしつこさを生んでいるともいえます。特に、長い殺陣のシーンは三度に及び、いずれもやや冗漫さが感じられなくもありません。まあ、それでも、怪談のおいしいところを集めた作品だけに、怪談のおもしろさを十二分に堪能できることは間違いありません。
 それにしてもこの雰囲気は作りはさすが。決して豪華というセットではありませんが、そこはスタッフの職人技と呼べるのでしょう。まさに山全体がお化け屋敷そのものであり、一方では、怪談映画の成熟の表れとも見て取れるように思います。

(ハピネット・ピクチャーズ)
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