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怪談新耳袋 劇場版

(2004年/日本/92分)

[監督]吉田秋生「夜警の報告書」 / 鈴木浩介「残煙」「重いッ!」 / 佐々木浩久「手袋」 / 三宅隆太「姿見」 / 豊島圭介「視線」 / 雨宮慶太「約束」 / 平野俊一「ヒサオ」
[原作] 木原浩勝 / 中山市朗
[脚本]三宅隆太
[撮影]近江正彦
[音楽]遠藤浩二
[出演]「夜警の報告書」 竹中直人 / 林泰文 / 嶋大輔
「残煙」 坂井真紀 / 坂上香織 / 佐藤康恵
「手袋」 高岡早紀 / 大沢樹生
「重いッ!」 井上晴美 / 北村一輝
「姿見」 内野謙太 / 上条誠
「視線」 堀北真希 / 乃木樟介
「約束」 曽根英樹 / 小野寺昭
「ヒサオ」 烏丸せつこ

[内容]

 廃ビルを巡回中、警備員井上は幽霊を目撃。一緒に回っている吉沢も見ているはずだが気のせいだと言って取り合わない。が、それが何日も続き、ついに井上は辞表を提出。困った上司はベテラン警備員の中谷を呼び寄せ、代わりに派遣するのだったが ・・・ (夜警の報告書)。人気TVシリーズ「怪談新耳袋」の劇場版。全八本のオムニバス。短編を活かした瞬発力のあるつくり。各監督の個性も発揮されて見応えは十分。恐怖感もTV以上。
[評価]★★★★☆

cinema review

STORY

【夜警の報告書】
 ある解体中のビル。警備員井上は、先輩の吉沢と巡回中に幽霊を目撃。吉沢は気のせいだと言うが、それが何日も続き、ついに井上は辞表を提出。困った上司はベテラン警備員の中谷を呼び寄せ、代わりに派遣するのだったが ・・・。
【残煙】
 宴会を抜け出してドライブに出かけたOL三人組。が、山道を走っているうちに迷ってしまう。車を降りて休憩した時に何かを感じる三人。ほどなく、一人が煙と共に消えてしまう ・・・。
【手袋】
 仕事からアパートに帰ってきたあるOL。待っていたのは昔同棲していた彼氏。彼は一晩泊まって帰っていくが、その夜から、何者かに首を絞められる体験が続くことに。彼の仕業と思い、ある時、やって来た彼を問い詰めてみたのだが ・・・
【重いッ!】
 女が子どもと布団を並べて寝ている。が、母親の布団の上に男がのしかかる。一時は退散させたかに見えたが、男はふたたび現れ、今度は母親を押さえつけに掛かる。母親は必死で消えろ、と念じるのだったが ・・・。
【姿見】
 卒業を間近に控えた学生二人。体育館でバスケをしているとボールが倉庫室へ。取りに行くと、そこには噂で有名な姿見が。二人は意を決して被いを外すが何も起こらない。が、一人が出て行き一人が倉庫室に残されたとき ・・・。
【視線】
 ある時、自分の将来を語るビデオを撮影していた由加里。が、そこに霊らしき影を見つけてしまう。相談した先生からは誰にも言うなと忠告されるが、クラスメートにも見つかり、学園祭で上映することに。最初は嫌がってた由香里だったが、皆の注目を浴びて嬉しさを感じるようになる ・・・。
【約束】
 叔父の出張で、マンションに留守番することになった青年。叔父からはひとつだけ約束を守るように言われる。それは、名前を呼ばれたら必ず返事をすること。やがて、どこからか女性の声で、かずのりさん、と呼ぶ声が聞こえてくる ・・・。
【ヒサオ】
 いじめで殺された息子ヒサオ。しかし母親はまるで生きているかのようにヒサオに話しかける。が、ほどなく母親はヒサオを殴って川に沈めた二人の男のことを思い出す。そして包丁を取り出し、二人の許に行こうとするのだったが ・・・。

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COMMENT

 元ネタは、作家の木原浩勝と中山市朗が集めた実話だそうです。それがBSでドラマ化され放送。すべて数分間のショートショート。怖いものばかりでなく、コミカルなもの、中には連作構成にしたものもあって実に多彩。地上波でも深夜に放送されて好評だったようです。本作はその劇場版。このために新たに八話を製作してオムニバスにしたもの。いずれも監督の個性が出ているのはおもしろいところです。
 最初を飾る「夜警の報告書」はちょっと長め。ある廃ビルで夜警が次々と辞職。理由は幽霊。吉沢という警備員が幽霊を見ながらも気のせいと言って決して認めようとしないのが何とも滑稽。ユーモラスな一方では恐怖感を見事に創出。実に安定した映像で、ベテラン監督らしい渋みが感じられます。
 「残煙」は、人間が煙と共に消出してしまうという話。男の霊にのしかかられるという「重いッ!」も鈴木浩介監督。いずれも理路不全な物語でいわゆる不条理ホラー。ややマニアックな傾向とも取られがちなつくりで、ちょっと好悪が出たかもしれません。逆に、「手袋」は、寝ていて首を絞められる現象に悩まされる女性の話で、プロット、映像、と、極めてオーソドックスなつくり。インパクトもやや低く、個人的には佐々木浩久監督のカルトの部分に期待したかったところです。まあ、短編集でそれは贅沢というものかもしれません。
 「視線」はとても怖い話。霊が写ったビデオ。が、ある時、映像の中の霊が動いていることを発見してしまうというもの。主演の堀北真希が何とも可憐でキュート。撮る方もこれでもかとアップを多用しています。ナース姿の幽霊が実に怖い。怪談の真髄をもっとも表現した話ではないでしょうか。
 つづく「約束」は実にふしぎな話。叔父の部屋で留守番をしていると誰かが名前を呼びます。叔父からは必ず返事をするように言われていた青年。やがて声の主が何者であるかを悟るというもの。雨宮慶太監督得意の特撮が最後に出てきて個性をアピール。一味違ったホラー作品に仕上がっています。「ヒサオ」は、いじめで亡くなった子どもを想う母親の話。何とも切ない話が最後。人物描写に長けた平野監督ならではですが、一人芝居の烏丸せつ子には思わず見入ってしまいます。
 いずれも話の真偽は定かではありません。有名な話ですが、四人が霊が出るという場所に行って、実際に恐ろしい目に遭い四人とも死亡。それでは誰が彼らの体験談を伝えたのか? つまりは明らかなつくり話、ということなのですが、本作でも「残煙」はその類の話。これは映画なのであって然るべき演出ですが、テレビの心霊ドキュメンタリーでは平気でこの点を無視することがあるのでご注意を。怪談は話半分にしておいた方が良さそうです。

(キングレコード)
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 2005年にはオリジナル長編として映画化(「怪談新耳袋 幽霊マンション」)。元々はBSで放送。すべて数分のショートショート。多彩な代わりに出来不出来も激しいのが玉に瑕。とはいえ、ビデオで続けて観るとかなりのテンポ感。ぜひまとめて観ることをおすすめします。

www.sasaraan.net

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