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man-hole(2000年/日本/109分)
cinema review ![]() STORY
札幌、豊水橋(ほうすいばし)交番。正義感は強いが堅物の新米警官・小林正義は赴任したばかり。年長の村田はパチンコに夢中。奥さんに逃げられるも近所のマダム・園田につきまとわれて困惑顔。もうひとりの吉岡は、仕事はそこそこに昇進試験の勉強に精を出す毎日。しかも、かつて自殺を救った女性を恋人にして入り浸っている始末。
ある時、小林は女子高生のバッグをひったくった男を追いかけ、格闘の上逮捕。が、当の女子高生・希はバッグを取り返すと去って行ってしまいます。希は同じ高校の教師の父と母との3人暮らし。が、かたちばかりの家族で心はばらばら状態。希も自分を見失い、塾をサボってデートクラブでアルバイトをする日々を送ります。 ところがある夜、希の客の奥さんが事務所に乗り込んできて包丁を振り回す事件が発生。警察沙汰となってしまいます。希は出動してきた小林とばったり。逃げ出しますが、途中で学生手帳を落としてしまいます。一方、逃げた希の学生手帳を拾った小林は、彼女が援助交際をしていると勘違い。更生させようと正義感に燃え、付けまわすようになります。 希は尾行する小林に気付き、しかも、小林自身のホームページ "正義派宣言" に自分のことをしたり顔で書き込んでいることを知り怒り心頭。復讐しようと小林に嫌がらせをはじめます。そして希の流したデマのせいで小林は謹慎処分に。その頃希は、噂になっていた夢のマンホールのことを思い出していました。それは、札幌のどこかにあるというマンホールに紙を流すと夢がかなうというものだったのですが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
北海道にこだわったシチュエーションやキャスティングで当時話題となりました。確かに独特の雰囲気をかもし出してはいますが、言われるほどローカル色が濃いわけではありません。むしろ普遍性を湛えたテーマであり、あえて北海道を意識させるモチーフもありません。この点は先入観不要といえるでしょう。
物語は少女・希の回想シーンから入ります。後に女子高生となり、自分が見い出せないままの希(三輪明日美)は、この時の記憶と夢のマンホールの噂とを結び付けるようになります。そして、同じように確かな自分を持っていなかった警官・小林正義(安田顕)とともにこのマンホールを探しに出かけることになるのです。この二人の主人公の名前が、そのまま人物像を現しているのもわかりやすいところ。本作のテーマは、そんな彼らの自己発見のプロセスにあると言えます。 そして二人はついにマンホールを見つけ、紙の船を流して帰るわけですが、最後、船の行き着いた先は袋小路。それとは反対に、小林と希の吹っ切れた姿が映し出されます。その変化は、はたして夢のマンホールのおかげなのかどうか。しかし二人の成長が、自分を知るという点に至った爽快さを描いて、物語は幕を閉じます。確かな自分というよりは、人間のもつあいまいさを認める姿を描いたことで、見る者にはほどよい余韻がもたらされ、抜群の好感度を生んでいると言えるのではないでしょうか。 一方、作中では、偶然に頼る展開や無機質なカットなど、強引なところも見られるのはちょっと残念なところ。逆に個性豊かな脇役たちが物語のおもしろさを支えています。ところが、交番の警官たち(北村一輝、中本賢)や希の家族(本田博太郎、金久美子)、デートクラブの面々(大泉洋)など。彼らの人間性もどこか不安定なところがあり、つまりは欠点を常に併せ持つのが人間なのだ、ということを描出しています。この点、多彩な人物をひとつのテーマで結び付けているようなところがあって、暗に統一感を演出していると見てとれるでしょうか。 パーソナリティやヒューマニズムをからっとした感覚で描いたとも言える本作ですが、感覚的には同期しやすい作品ではないでしょうか。おおらかさ、あいまいさ、ゆったりとしたリズムが見る者を心地良くさせています。このバランス感覚は見事と言えると思います。 |
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鈴井貴之監督は第二作も北海道にこだわった映画を撮っています。こちら「river」(2003) はシニカルなサスペンス風ドラマ。本作でも出演している大泉洋、安田顕が主演。そして第三作「銀のエンゼル」(2004)も舞台は北海道。小日向文世主演の心温まるヒューマンドラマです。
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