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ニッポン無責任時代(1962年/日本/86分)
cinema review ![]() STORY
平均は競馬でしくじり会社をクビ。いまや下宿代も払えない身分。ある夜、バーMADRIDで飲んでいる時、黒田なる男が、太平洋酒の株を買い占めているとホステスの京子に話すのを漏れ聞く。黒田は乗っ取り屋で、経営不振の太平洋酒を乗っ取ろうとしていたのだ。そこに偶然入ってきたのは太平洋酒の総務部長・谷田とその部下・大塚。均は二人に近付き口八丁で会社の情報を聞き出し、早速社長の氏家に取り入るべく家へ押しかける。
氏家は不在だったが翌日に先輩の葬式に出ると知ると、斎場へ出かけていく。そして氏家を見つけると、故人の知り合いを装って、遺言で社長のことを気にかけていたと嘘を並べ信頼を取り付け、まんまと入社を決めてしまう。しかし目ざとい社長秘書の佐野愛子は均のうさんくささにすぐに勘付く。ほどなくして均を連れ出して問い詰めるが、逆に言いくるめられて最後にはなぜか意気投合してしまっていた。 その頃、谷田は株買い占めの犯人が黒田で、黒幕が山海食品であることを突き止めていた。それを聞いた均は、大株主に株を売らないよう頼めばいいと提案。早速大株主の富山(とみやま)社長を接待する。その甲斐あって、富山社長は株を売らないことを約束するのだった。 が、しばらくして、すっかり安心していた均の許にMADRIDの京子が尋ねて来る。困っているだろうから太平洋酒の株を売りに来たというのだ。聞けば、黒田が富山社長から株を買ったという。結局接待は失敗。均はあっさりクビ。会社は黒田に乗っ取られてしまう ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
東宝クレージー第一作にして植木等映画初主演作品。本作で今なお有名な無責任男のキャラクターが誕生。また、本作の成功がきっかけで、古沢憲吾×植木等の名コンビで多数の喜劇作品が東宝でつくられることになります。二人がつくり上げたキャラクターは、努力・忠誠といったそれまでのサラリーマンの美徳を風刺するとともに、無責任男が出世するという痛快なもの。しかしそれはバイタリティあふれるキャラクターでもあり、今見ても新鮮さを感じるほど面白いものでした。
物語の主人公・平均(植木等)は三流大中退。三十代の独身で一軒家に下宿住まい。太平洋酒をクビになり、ここは長く続いた方だ、などと言っているのでいくつもの会社をクビになったダメサラリーマンのようです。そのくせ、サラリーマンは辞表を出したらおしまい、と辞めようとする谷田を引き止めたりしていますので、お気楽なように見えて、案外自分のダメぶりには自覚があるのかもしれません。 舞台は太平洋酒なるお酒の会社。ひょんなことから氏家社長(ハナ肇)に取り入ることに成功。乗っ取り屋の黒田(田崎潤)から会社を守る任務を言い付かりますが大失敗。クビになって会社は乗っ取られてしまいます。しかし今度は新社長となった黒田に取り入ることに成功。部長の抜擢を受けますが、そこには黒田の罠が潜んでいたというわけです。 平均は誰が見てもういさん臭く、総務部長の谷田(谷啓)や社長秘書の佐野愛子(重山規子)は真っ先に気付きます。しかしそんな均をあっさり信じてしまう氏家がなんとも滑稽。が、最後、会社を追い出された氏家を救うべく、均は奔走するわけです。このあたりはちょっとした人情ものの趣。単に無責任なだけではないのがこのキャラクターの親しみやすさといえる気がします。 今回のマドンナ役は社長秘書役の重山規子。ほかにも、バー・MADRIDのホステス(中島そのみ)と料亭・まん丸の女将(団令子)。いずれも現代女性らしい、というか現代女性以上にたくましく、出世に金に、と自由で大胆。こんなところも当時は斬新であったようです。 そして本作のもう一つの楽しみは歌と踊り。使われている挿入歌は、おなじみ青島幸男作詞・萩原哲昌作曲によるもので、オープニングにも使われている「無責任一代男」、ほかに、「ハイそれ迄ヨ」、「スーダラ節」、「ドント節」、「やせ我慢節」、「五万節」。歌詞のおかしさとテンポの良さは今でも健在ではないでしょうか。一連のクレージー作品は、ハリウッド・ミュージカルとは一線を画した、和風ミュージカルの一時代を築くきっかけでもありました。 物語の方は、この世で一番無責任男、と歌う割には、最後はまわりをハッピーにして幕。均の一計で、氏家は社長に返り咲き、京子は店を持ち、まん丸の女将は車を手に入れます。さらには、氏家社長の息子(峰健二。現・峰岸徹)と山海食品の娘(藤山陽子)とのキューピッド役になったり、と、痛快なエピソードが満載。が、肝心の均は再びクビになっていずこへと立ち去ってゆきます。が、そこはコメディ。ラストのラストに大どんでん返しが待ち受けているというわけです。 ただ、労働組合のくだりや均が山海食品の社長を脅迫するくだりなど、若干尻切れトンボ的であり、消化不良と言えなくもありません。当時のコメディ作品は今から見るとやや古いプロットに感じます。そのかわり、次から次へとゲスト出演者が登場。盛りだくさんかつ多彩な雰囲気を醸成しています。しかも、いずれのキャラクターも頭にこびりつくほど強烈。第一作のせいかどうか、シチュエーションが妙にリアルなのも特徴と呼べるでしょうか。世代を超えた面白さかどうかは微妙ですが、今見ても十分面白いことは確か。いずれにせよ、これぞ日本のエンターテイメント・ムービー、とは誰が見ても異存のないところではないでしょうか。 |
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