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LOFTロフト (2005年/日本/115分)
cinema review ![]() STORY
芥川賞作家・春名礼子は、出版社の木島幸一の依頼で初めて恋愛小説を執筆することになる。しかし筆は進まず、幻覚と吐き気に悩まされるようになっていた。ある時木島に、引越しをして環境を変えれば書けそうだと相談。すると木島は、茨城にある一軒家を紹介するのだった。
礼子は早速引越し、閑静な環境に満足する。周りに住民はなく、ただ、裏には、コンクリート造りの廃屋が建っていた。夜、礼子が廃屋へ行ってみると、そこには、何かを建物の中に運んでいる男がいた。翌日、興味を抱いて聞き込むと、廃屋は相模大学の研修所であったという。さらに調べてみると、昨年、大学の考古学グループが女性のミイラを発見したとの記事を発見する。そこにはまた、責任者の吉岡誠なる教授の写真が載せられていた。それは、あの夜廃屋で見かけたのと同じ男だった。 ほどなく、礼子はふと廃屋に忍び込んでしまう。中には布にくるまれた物体があった。布を取ると、それはまさしくミイラだった。しかしその時吉岡が入ってきて、礼子は家へ走り去る。が、その姿を吉岡が追っていた。 吉岡は、自分でもなぜミイラを研修所にひそかに運び込んだのか分らなかった。大学の友人・日野からは、博物館展示のため、早く保存処置をしてほしいと急かされていたところだった。ミイラには謎が多く、引き上げた場所は、80年前にもミイラが引き上げられたある沼だった。しかしミイラが80年前と同じものかどうかはわからず、同じものとしても、なぜ再び沼に沈めたのかも不明だったのだ。 やがて吉岡の許に、大学から研修生が派遣されることになる。ミイラがあることを知られたくない吉岡は、礼子の家を訪ね、数日間ミイラを預かって欲しいと依頼する。礼子は承諾してミイラを二階へと運び入れることに。が、その日から、生きているとは思われない若い女性が現れるようになる ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
映画の冒頭、ちょっとした説明が流れます。- 永遠の美を求めてミイラとなった女は千年後に目覚め、永遠の愛という名の呪いをかけた。 - というようなこと。ミイラと聞いて、懐かしい、などと思った人はよほどのオールドファンかホラーマニアでしょう。かつてはホラー映画定番のモチーフでしたが、それは欧米映画でのこと。現代の日本映画では珍しいモチーフを採り上げたと言えます。個人的には、昔の怪奇映画的な匂いがして、特にラストは「怪奇映画そのもののオチだ」、とうれしくなってしまいました。一方では古さはまったく感じられません。実際にはサスペンスの要素も濃厚で、むしろスタイリッシュと感じるべきかもしれません。閑散とした背景+登場人物も少なく、やや地味なのは玉に瑕ではありますが、見応え十分のホラーではなかったでしょうか。
物語の主人公は、小説家・礼子(中谷美紀)。出版社の木島(西島秀俊)に手配してもらい、執筆のため都会から田舎へと引越します。そこは裏手に廃屋があるだけの辺鄙な家。そして夜、その廃屋で何者かが大きな荷物を運び込む姿を目撃。興味を抱いて調べてみると、廃屋はある大学の研修所で、目撃した男は教授の吉岡(豊川悦司)。運び込んだものは、何と女性のミイラ。さらに数日後、礼子は突如吉岡の訪問を受け、ミイラを預かる羽目に。が、その日から怪奇現象に見舞われることとなるわけです。 物語は、単なるミイラをめぐる怪奇ものだけではありません。引っ越した日、礼子が偶然に発見した前住人の原稿。と、これが重要な伏線となっているのは見事な構成。そして突如礼子の前に若い女性の幽霊が出現。彼女が亜矢(安達裕美)という前の住人であることが分ると、一つの疑問が生じます。“亜矢”は何者かに殺されたのではないのか? そこで礼子は、ひとり静かな捜査をはじめ、驚くべき真実へとたどり着くことになります。 ミイラの謎に殺人事件を被せての展開で、一見陳腐ではあります。ところが勝手が違うのは、ミイラがまねく殺人、ではなく、サスペンスとして別口で殺人事件を描いたところでしょうか。さらに、登場人物同士の感情の衝突が、物語を情緒面から肉付け。礼子と木島、礼子と吉岡、と、彼らの人間関係がダイナミックに変遷していく様は物語に繊細な緊張感を与えており、大きな見所となっています。ミイラという古典的なモチーフですが、意外な斬新さと呼べると思います。編集者の木島に媚びるような態度であった礼子。物語の後半、礼子はある疑問に行き着きます。木島はどうやってこの家を見つけてきたのか? しかし木島を疑い始めた時、ミイラを通じて奇妙な信頼関係を築きつつあった吉岡が、みずから殺人犯だと礼子に告げます。そして礼子の前に度々現れる亜矢の幽霊は、何を伝えようとしているのか? 二転三転する展開はまさにサスペンスそのもの。若干の鈍さを見せながらも、観る者の興味を失わせないだけの面白さは十分です。 ただ、両者(ミイラの謎と殺人事件)の接点は最後まで明らかにされず、また、ミイラが同じ所に沈められた謎、日野(大杉漣)が毎夜金縛りにあった謎など、あいまいさが目立った展開でもありました。感覚的、と言ってしまえば良いのでしょうが、サスペンスを絡めた以上、納得のいく展開は観る者の自然の欲求であると言えます。この点、不条理色の強い黒澤監督の悪い癖、と、筆者は感じましたがどうだったでしょうか。 |
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黒沢清 主な監督作品 「CURE」(1998) 「ニンゲン合格」(1999) 「大いなる幻影」(1999) 「カリスマ」(1999) 「回路」(2000) 「降霊」(2001) 「アカルイミライ」(2003) 「ドッペルゲンガー」(2003) 「LOFT」(2006) 「叫」(2007) |
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