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river(2003年/日本/109分)
cinema review ![]() STORY
北海道。ある夜、通り魔事件が発生する。犯人は逃走し警官・佐々木耕一が追跡。が、行き着いた公園で、偶然そこにいた若い女性を犯人は人質にとる。佐々木は拳銃を犯人に向けながらも撃つことができず、みすみす犯人の逃走を許してしまう。佐々木は弾を込めていなかったのだ。そして犯人は捕まらないまま、翌日女性は死体となって発見される。
2ヵ月後。佐々木は謹慎処分が解けたばかりだった。しかし後悔に苛まれ続け生きる気力を失っていた。一方、殺された女性の婚約者・藤沢聡もまた、失意のうちにあり、彼女のビデオを見ては悲しみにくれていた。そんな藤沢の憎しみは犯人のみならず、犯人を見逃した警官にも向けられた。藤沢は警官の名前を知るべく探偵まで雇ったのだ。 ほどなく、小学校時代の同窓会が催される。その中に佐々木と藤沢の姿があった。会が終わると、二人は横井茂から飲みに誘われる。横井が連れて行ったのは小さなバー。その経営者はやはり同級生の九重達也だった。達也はスキーのジャンプでオリンピック代表に選ばれながらも事故で足を悪くして夢を絶たれていた。 そして翌日、佐々木、藤沢、九重の携帯に不思議なメッセージが送られてくる。さる製薬会社から、違法に開発された記憶を消す薬を盗み出してほしいというのだ。さらにメールには、三人の心を見透かしたように、嫌な記憶は盗んだ薬で消せると記されていた。佐々木はこの不審なメールは横井に関係しているのではと疑う。そこで同窓会の幹事に聞くと、横井は同窓会に呼んでいないと言う。横井は春に転校してきて、半年足らずでまた転校していたのだ。が、佐々木は罠を予感しつつも盗難計画のめりこんでいく ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
鈴井貴之監督映画第二作。心の闇が生んだ運命の悲劇をシニカルに描きます。前作「man-hole」や次作「銀のエンゼル」ではリリカルな面を見せましたが、ここでは残酷なまでのストーリーを打ち立てています。また、サスペンス風の雰囲気を醸成して緊迫度の高いドラマを創出。ただ、シチュエーションやプロットに凝り過ぎた感が強く、かえってわざとらしさが目立ち、リアリティを削いてしまったようにも思います。
物語の冒頭は、廃校になった小学校の映像を映し出します。続くナレーションでこう説明が入ります。放流された鮭の稚魚はふるさとの川に必ず戻る、と。以降、若干このナレーションが多いように思うのですが、この冒頭は重要な意味を持ちます。それは物語の最後、ふるさとに戻ることは死を意味する、と、この冒頭を受けた形で結ばれるからです。本タイトル「river」が、展開を象徴していることがわかります。 物語の主人公は使命感の強い警察官・佐々木耕一(大泉洋)。ある夜、目の前で通り魔犯が若い女性を人質にとり殺害。佐々木の記憶によみがえるのは女性の、助けて、とのあえぎ声。以来、罪悪感に苛まれることになります。一方、女性の婚約者・藤沢聡(安田顕)は突然の悲劇に打ちひしがれます。そして憎悪は犯人と犯人を見逃した警官に向けられることになるわけです。 序盤、物語はこの二人の絶望感を丁寧に描き、人間再生のドラマを思わせます。が、小学校の同窓会で再会した男・横井茂(音尾琢真)の登場を機に、物語はサスペンスへと誘われていきます。実は佐々木と藤沢は同窓生。が、互いに通り魔事件の関係者であることは知りません。そして突如、謎の人物からメッセージが届きます。ある製薬会社から記憶を消す薬を盗み出してほしいとの依頼。それから二人は、同じように過去に忘れたい過去を持つ同窓生・九重達也(佐藤重幸)と共に、盗難計画を実行に移してゆくわけです。それぞれ、忌わしい過去を取り除きたい一心で。 物語はもうひとつ、小学校時代の四人が並行して描かれています。現実と過去、二つの物語が進行し、最後に種明かしが行われる、という仕組。凝った構成ですが、断片的な挿入の仕方で、さらに様々な視点から描かれているために散漫になりがちで、さほどのインパクトはありません。 いずれにしても終盤、事件はある人物の復讐のための罠であることが明らかとなります。そして最後、警官・佐々木はその犯人の人質となり、みずから助けて、と喘ぐことになります。そして最後の最後、一人残された(と思われる)女性の姿。それは佐々木の恋人(中村麻美)。奇しくも藤沢と同じ立場になることを暗示して幕は閉じられます。が、冒頭の通り魔事件に呼応したこれらのシーンは、やはりやりすぎではないでしょうか。かえってつくりものの印象を与えてしまい、リアルを削いでしまったように思えます。実は物語全体に、偶然の出来事を強調するようなところがあって、ご都合主義、ととられかねないつくりではあります。藤沢と佐々木が偶然にも同じ探偵(佐藤誓)に依頼するのもその一つ。この点、巧緻なプロットと見るか興ざめに映るか微妙なところでしょう。 ただ、スタイルとしては新しい感性なのかもしれません。筆者としてはサスペンスなのか、犯罪映画なのか、人間ドラマなのか、スタンスがはっきりしていた方が好みではあります。平凡な映画でないことだけは確かですが、好みはちょっと別れるのではないでしょうか。 |
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