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さびしんぼう(1985年/日本/112分)
cinema review ![]() STORY
尾道西高に通う井上ひろきはカメラが趣味の高校二年生。家は丘の上の寺で、父はそこの住職・道了(どうりょう)。寡黙で年中念仏ばかり唱えている。母タツ子は逆に口やかましく、年中勉強しろとひろきをけしかけていた。その上なぜか、ショパンの「別れの曲」を弾けともせっつくのだった。
そんなひろきには憧れの女性がいた。近くの女子高に通い、いつも放課後一人でピアノを弾いている少女。そのさびしげなようすと、見ていてさびしくなることから、ひそかに少女を「さびしんぼう」と呼んでいた。毎日、ひろきは少女をズームレンズでのぞくのが楽しみだった。 そんなある日、毎月恒例のお堂の大掃除に借り出されたひろき。昔のタツ子のアルバムを落として写真をバラバラにしてしまう。すると夕方、ひろきの前に変な格好をした少女が現れる。少女はだぶっとした服に古びた帽子を被っていて、さびしんぼう、と名乗り、以来、何かとひろきにつきまとうようになる。さらにタツ子の前に現れては大騒動を引き起こす。"さびしんぼう"はなぜかタツ子の昔の話をよく知っていた。 それからほどなくして、ひろきは憧れの少女が自転車が壊れて立ち往生している姿を見つける。思い切って声をかけ、彼女が橘百合子という名前で、想像した通りの優しい少女であることを知る。その翌日、百合子に会いに船着場に行ったひろき。が、百合子はなぜかひろきを無視して通り過ぎてしまう ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
大林宣彦監督の尾道三部作の三作目。「転校生」(1982)、「時をかける少女」(1983)に続く作品ですが、ストーリーはまったく別もの。いずれも美しく懐かしげな尾道を舞台にした青春映画で、奇想なアイディアが抜群のおもしろさを醸成しています。ジャンルもバラバラで、一作目が不条理コメディ、二作目がSFラブ・ストーリーと来て、今回は青春ファンタジー。三本の中ではやや地味な存在とも言われますが、謎の少女 "さびしんぼう" と翳のある少女・百合子の難役二役をこなした富田靖子の評価は高いようです。
物語の主人公は高校二年生のひろき(尾見としのり)。寺の住職で無口な父(小林稔侍)、口やかましい母・タツ子(藤田弓子)。そのひろきの前に突然、変な格好をした少女 "さびしんぼう" (富田靖子)が現れます。"さびしんぼう" はいつもどこからともなく現れ、ちょっとした騒動を起こして去っていくのです。 一方、ひろきはある日、憧れの女子高生・百合子(富田靖子=二役)と知り合う機会を得ます。が、親しくなりかけた時、突然百合子は、もうこれきりにしてください、と手紙を渡して来ます。複雑な家庭の事情を悟るひろき。そんな中、"さびしんぼう" も、間もなく去らなければならない、と告げに来るのです。最初は邪険に感じていた "さびしんぼう" に、ひろきは不思議な親しみを持つようになっていました。 物語は学園内のたわいのない風景も描かれます。多くがナンセンス・ギャグに近いモチーフでおもしろみは十分ですが、本筋からは逸れた話。これが本作の雑ぱく感を生む一因となっています。出来不出来が激しいと言われる大林監督の一面が、この遊び心であるとも言えます。このためかどうか、メイン・モチーフの掘り下げがもう一段あっても良いように感じてしまうのも事実です。ひろきと百合子とのラブ・ストーリー。 "さびしんぼう"が暗示したタツ子の過去の恋物語。タツ子と道了とのなれそめ、など、どれもはっきりとした事実経過は描かれていません。特にショパンの「別れの曲」にまつわる因果は謎のまま。この点、前二作に比べやや感動が薄くなったのは仕方のないことと言えるかもしれません。 本来は内面的な繊細さが表に出ていい物語なのかもしれません。一方では大林監督のサービス精神旺盛な姿勢も随処に垣間見え、これらのバランスをどう見るかは難しいところです。が、本作もいまだ根強い人気があります。映画の物理的な内容というよりは、やはり、見る側の感性、が大林作品では大きなポイントとなるようです。 |
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