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さよならジュピター

(1984年/日本/129分)

[監督]橋本幸治、小松左京(総監督)
[脚本]小松左京、橋本幸治
[撮影]原一民、川北紘一(特撮)
[音楽]羽田健太郎
[出演]三浦友和、ディアンヌ・ダンジェリー、小野みゆき、レイチェル・ヒューゲット、ポール・大河、キム・バス、マーク・パンソナ、ロン・アーウィン、ウィリアム・タピア、平田昭彦、岡田真澄、森繁久彌

[内容]

 2125年。人類はエネルギー源確保のために木星太陽化計画を進めていた。が、ある日、ブラックホールが接近。太陽を直撃することが判明する。そうなれば人類はエネルギー源を失い滅亡する。そこで木星を爆破してホールの軌道を変えようとするのだったが ・・・。小松左京原作のSF超大作。非常に稚拙なつくりで当時悪評を極めた作品。しかし自然の支配と再帰、宇宙への進出と危険、未来のエネルギー問題など、内在するテーマには考えさせられるものが多い。普通につくっていれば世界的名画となった、かも?
[評価]★★☆☆☆

cinema review

STORY

 2125年、地球は人口180億、他の惑星人口は5億に達していた。太陽から遠い星のエネルギー源は乏しく、そこで木星を太陽に変換するJS計画が発動。木星軌道上のミネルヴァ基地で準備が進められていた。一方、火星ではナスカと同じ地上絵が発見される。それは、5万年前に宇宙人によって作られた、何らかのメッセージであると判明する。
 ミネルヴァ基地調査主任の本田英二の許に親友のキン大尉が訪ねて来る。が、旧交を温める間もなく、彗星源探査のために1兆キロの彼方へ旅立つという。冥王星からの彗星が異常に減少。調査に送った無人探査船は消息を絶ったというのだ。同じ日、宇宙言語学者のウィレムが訪れる。火星の地上絵の秘密が木星の大気中にあると推測。JS計画を中断して調査に協力してほしいとのことだった。それを裏付けるかのように、木星には昔から謎の動く物体が観測されており、ジュピター・ゴーストと呼ばれていた。
 その頃、自然崇拝を掲げる宗教団体、ジュピター教団が基地を襲撃。教祖のピーターは穏やかな人物だが、一部の過激分子が木星を守るためと称してテロ活動を推し進めていた。犯人たちは捕まるが、その中の一人を見た本田は驚く。幼なじみでかつての恋人、マリアだったからだ。
 しばらくして、キン大尉の乗ったスペース・アロー号が遭難。調査を進めた彗星源探査本部のマンスール博士は、一連の事故の原因がブラックホールであることを突き止める。しかもホールは太陽を直撃するコースをたどっていた。そうなれば太陽のガスが吸い込まれて活動が低下。人類は太陽系に住めなくなってしまう。
 地球連邦は直ちに避難船の製造を開始。が、乗れるのはわずか一億人。そこで本田がある計画を提案する。それは、木星を爆発させてブラックホールの軌道を変えるというものだった ・・・。

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COMMENT

 小松左京原作のSF超大作。小松左京自身が総監督として製作に参加。が、その意気込みが裏目に出たのかどうか、稚拙さが目立ってしまい、散々な評価を受けました。舞台のほとんどを宇宙空間にしての意欲作ですが、脚本にも精彩がありません。終盤には光線銃での派手な撃ち合いがあったり、と、どうもアクションSFとしての娯楽性を盛り込もうとしたことがわかります。が、かえって冗漫となってしまった感は残ります。
 物語は火星の地上絵の発見から始まります。それが宇宙人のメッセージであり、どうやら木星に関係しているらしい(両者の因果関係があいまいなのは残念)ことがわかり、木星太陽化計画が中断。木星探査が始まります。が、同じ頃、ブラックホールの接近が判明。太陽直撃を避けるため、木星を爆発させて犠牲にする決定が下るわけです。実に壮大なストーリーではあります。
 物語は三つの立場から語られます。主人公本田の木星太陽化計画の調査チーム、本田のもと恋人マリア(ディアンヌ・ダンジェリー)のいるそれを阻止しようとする宗教団体、そしてウィレム(レイチェル・ヒューゲット)が調査する火星の地上絵の謎を追うモチーフ。それぞれが、人類の存続、自然への畏れ、未知への探求、というテーマを象徴しているようです。シチュエーション自体には確固たる石を感じます。
 しかし、冒頭から拙いカットが続きます。TOKYO3、スペースアロー、ミューズ12、などやたら宇宙施設の名前が連なります。が、これらの名前は物語上まったく重要ではありません。普通なら映像だけで流してしまうところですが、日本映画のテロップの多さは分りやすさを演出する長所でもあり、本筋をあいまいにしてしまう短所でもあります。続いては主人公・本田英二(三浦友和)と親友・キン大尉との殴り合いの再会のシーン、ややあってから本田とマリアの気をてらったベッドシーン、と、あからさまにインパクトをねらったシーン。当時三浦友和がCMをしていたCABIN(タバコ)をアップにしたり、と、後世に残る作品とは思えない安直なシーン、カットが重なってしまっています。名前に関しては、作中登場するイルカの名がジュピター、ジュピター教団にジュピター・ビーチ、ジュピター・ゴーストと何にでもジュピターとつける安易さも気になるところ。当時の悪評を知らなくても首を傾げてしまうのではないでしょうか。
 また、本作では外国人俳優も多数出演。しかしすべて無名の俳優でした。それはいいとしても、日本語を話すという設定ですが、英語を話す声との声質が明らかに違う弊害も露呈。雑なつくりは終始つきまとってしまっています。
 ストーリー面ではあまりいいところがない本作ですが、地球人口の爆発と宇宙開発、そこでエネルギー問題が欠かせない議論となることは必至でしょう。第二の地球を見つけるよりは、ある惑星を太陽化することの方が、もしかしたら現実的な選択肢となるかもしれません。このあたりは小松左京お得意の分野でもあり、知識と感慨を深められる部分でもあります。
 もっとオーソドックスにつくっていれば、と思うのが正直なところ。SF王道的なストーリーとテーマを内包しているわけですから、観客にもスポンサーにも媚びることなく堂々とつくってほしかったと筆者は思います。あるいは世界的な名声を得られた可能性は十分に垣間見ることができます。

(ジェネオン エンタテインメント)
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小松左京
「日本沈没」
「首都消失」
三浦友和
「霧の旗」
「赤い疑惑」(TV)
「赤い衝撃」(TV)

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 本作総監督の小松左京は日本SF小説界の重鎮。本作は映画の定評とは対照的に、ノベライズ小説が高い評価を受けています。小説「さよならジュピター」は第14回星雲賞を受賞。実に6回目の受賞となりました。ちなみに「日本沈没」も同賞を受賞しています。
●小松左京原作映画
「日本沈没」(1973, 2005)
「エスパイ」(1974)
「復活の日」(1980)
「さよならジュピター」(1984)
「首都消失」(1987)

www.sasaraan.net

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(c) morijoh