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白い巨塔(劇場版)(1966年/日本/150分)
cinema review ![]() STORY
浪速大学病院第一外科助教授・財前五郎の特集記事が雑誌に掲載。これを見た東教授は激怒します。折しも東は退官間近。かねてから財前の傲慢ぶりに腹を据えかねていた東は財前を呼び、このままでは教授に推薦できないと怒りを露わにしたのです。一方、早くに父親を失い貧しいながらも、有力者の後援で苦労少なくのし上がってきた財前。今では裕福な開業医財前又一の娘婿に納まり、教授になることが最大の目標。
ほどなく東は東都大の船尾教授に協力を請います。船尾は金沢にいる元教え子菊川教授を推薦すると、東は学内で集票工作を始めます。しかし東の動きを悟った財前は義父又一と謀り、又一は大阪医師会を動かして五郎のバックアップを取り付けます。そして金に物を言わせ、ついに内科の鵜飼教授に取り入ることに成功。次々と他の教授たちを取り込んでいきます。 その頃、内科の里美助教授ががん患者・佐々木庸平の手術を財前に依頼。手術は成功するも術後の経過が悪く、しかし教授戦に忙殺される財前は、里美の要請にもかかわらず患者を見ようとせず、術後肺炎と予断し治療の指示を出します。が、ほどなく佐々木庸平は亡くなってしまいます。 やがて教授戦。三十一名の教授が集まり、三人の候補者の名が上がります。が、投票直前、東は同情票を得るため土壇場で棄権という策を採ります。そんな中、庸平の死を納得できない遺族は財前を告訴することを決意。裁判の準備を進めるのでしたが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
白い巨塔とはまさに権威の象徴。柔らか味を加えた後のテレビシリーズとは違い、あくまでも社会派で押し通したのが劇場版。本作では感傷や感動を抑える反面、大学病院の裏側の醜さ、人間の汚さを浮き彫りにしています。財前役田宮二郎のギラギラした演技が作品の本質を象徴。東教授も決して善人としては描かれず、他の人物たちもデフォルメに近い思い切った人間描写。これらを通して現代に巣食う絶望的な社会悪があぶり出されます。
物語の前半は大学の教授戦の醜い裏側を描いたもの。いかにも倣岸不遜な財前を嫌った東教授(東野栄治郎)が外部の菊川助教授(船越英二)を推薦。しかし財前は開業医の義父又一(石山健二郎)に協力を求め、又一は賄賂をばら撒いて票を集めていきます。患者をないがしろにして手段を選ばない教授戦に没頭する医師たちの姿はショッキングですらあります。 その一方、純粋に治療や研究に思いを馳せる里見助教授(田村高広)、財や権威に惑わされない大河内教授(加藤嘉)は作中の救いといえるもの。が、彼らの心配をよそに、教授戦の最中、財前はミスによってひとりの患者を死なせてしまいます。そして物語は医療裁判へと発展していきます。後半は息詰まる法廷での攻防戦。さすがにやや駆け足感は否めないのですが、目が離せないどんでん返しが続き、見応えは十分といえます。 終盤、財前の敵であるはずの船尾教授(滝沢修)が証言台に立ちます。が、それは敵味方の概念ですらも権威の前にはひれ伏す、おそるべき内容の証言。 "権威は人間性を否定する" 最後、何事もなかったかのように総回診を行う財前教授の姿が映し出されるという、絶望的なシーンで物語は幕を閉じます。 二時間半という長大な作品。進行をまとめるためのナレーションはやや唐突ではありますが、分りやすくもあります。が、何よりも、家族や患者、弁護士等周囲の描写を極力簡潔にし、病院の人間模様に絞り込んだつくりに注目したいところ。それでも膨大な数の登場人物はさすがに描ききれることはなく、財前の愛人や東教授の娘など、ポイントに登場しながら存在感はいまひとつ。それでも展開的には、総がかり的な描写でポイントが絞れなくなる長編日本映画の欠点は本作では希薄と言えます。 ともあれ、直感的なテーマ表現は社会派を地でいくつくり。が、感傷と感動を重視したテレビ版とは異なり、硬派で貫いた劇場版。ちょっと好みが分かれるところではないでしょうか。 |
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何度も映像化されている本作。映画の翌年には佐藤慶主演でドラマ化。1978年は映画と同じ田宮二郎主演で再ドラマ化。2003年には唐沢寿明主演で再々ドラマ化。高視聴率をマークしたのは記憶に新しいところ。泥臭さを維持しながらも人物描写が顕著化。現代風にアレンジした唐沢版は筆者もおすすめのTVドラマです。
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