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座頭市

(2003/日本/115分)

[監督]北野武
[原作]子母沢寛
[脚本]北野武
[撮影]柳島克己
[音楽]鈴木慶一
[出演]ビートたけし、浅野忠信、ガダルカナル・タカ、大楠道代、夏川結衣、大家由祐子、橘大五朗、柄本明、岸辺一徳、石倉三郎

[内容]

 ある宿場町に流れ着いた座頭市。町では非情な銀蔵一家が町を牛耳ろうと躍起。そこに凄腕の用心棒・服部が銀蔵に雇われ、さらに強力に。一方市は家族を殺されて復讐の旅に出ている姉妹と遭遇。やがて復讐の相手が銀蔵であると分るのだが ・・・。勝新に代わり北野武が座頭市となって復活。悪党一味に座頭市が立ち向かう、スピード感抜群の痛快時代劇。斬新な殺陣は見応え十分。
[評価]★★★☆☆

cinema review

STORY

 二組のやくざがしのぎを削っているとある宿場町。そこに盲目の居合いの達人座頭市が流れ着きます。賭場で遊び人新吉と知り合いますが、そこでいかさまを見破りたちまち賭場のやくざたちを切り捨ててしまいます。
 一方、ある宿に入ったのは、こちらも剣ならめっぽう強い服部源之助の夫婦。服部は藩士でしたが、御前試合で浪人者に敗れた末、浪人に落ちたという過去をもつ身でした。妻おしのは病気を患っていて宿に入るなり臥せってしまいます。
 その服部源之助は、早速、町で勢力を伸ばしていた銀蔵一家の用心棒に納まります。市と新吉の方は、おせいとおきぬの芸者姉妹と知り合いますが、この二人は男をだまして金を盗んで生きてきたのでした。それを市に見抜かれた姉妹は、何の罪もない両親を殺した男を捜して復讐するために旅をしているのだと打ち明けます。
 やがて銀蔵一家が、源之助の剣にものいわせて町を牛耳ることに成功します。ほどなく、その銀蔵一家とつるんでいる商人扇屋の主を親の敵と疑うおせいとおきぬ。一方、市は世話になっている農家おうめの家を銀蔵一家に焼かれてしまいます。そして銀蔵一家に立ち向かうべく、町へ乗り込みますが、そこには源之助が待ち構えていたのでした ・・・。

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COMMENT

 勝新太郎版座頭市(1989)から14年。リメイクというよりは、斬新な発想でスマートによみがえった座頭市、といった印象。本作は、北野監督持ち前のコメディ性、原点的なテーマであるバイオレンス性、近年の作品で目立ち始めた人情的なドラマ性を融合。北野監督のこれまでの足跡を集成したつくりともいえます。
 物語中、二組のやくざたちがしのぎを削る、というのは座頭市の伝統のようなシチュエーション。賭場が展開上のターニングポイントとなるのも同様。そしてライバルとなる用心棒との対決。シリーズのおなじみのおもしろさを継承しつつ、物語は進んでゆきます。さらに今回は、復讐の旅に出ている姉妹が展開の鍵を握り、この縁が元で、座頭市は町を仕切る銀蔵一家と対決することになるのです。
 北野作品ではバイオレンスシーンはつきものですが、時代劇という非日常に物語を置いたことで、殺伐さはやや和らいだかもしれません。その中心である本作の殺陣は極めて斬新。刀が体を切りつけるとき、衣服を裂いて肌に傷口が入るのをしっかりと映していきます。そして傷口に即座に血しぶき乗せるという演出。迫力は抜群。斬る時のスピード感と、斬られた後の静止との対比も絶妙。でも斬られた方はあまりにも痛そう。さすがに生々しすぎる、という感も。殺陣のシーンがかなり多いだけに、ちょっと刺激が強いシーンではあります。
 ところで、北野座頭市は、殺陣では大活躍なのですが、それ以外のストーリーでは一歩引いた形になっています。心理描写も余りありません。その代わり、復讐に燃える姉妹や落ちぶれた剣豪その他の脇役にはしっかりとしたストーリーや状況描写をつけています。このあたりは、市の人間味を重視した勝新版とやや趣を異にしていて、おもしろいところです。
 一方、気になったこと。現在と過去のシーンが唐突に飛ぶことがしばしばあります。中にはストーリーの流れから独立したものも混じっています。見る方としては切り替えるのに少しストレスを感じてしまうかもしれません。が、これも座頭市シリーズの特徴でした。無論意識したわけではないのでしょうが、逆に見ればテンポの良さの裏返しでもあります。
 ともあれ、初期の北野作品は大変荒削りでしたが、徐々にその作品の完成度も増していっているようです。本作の完成度は座頭市シリーズ中随一といえるかもしれません。そして北野監督作品の新しい名物、といえば、映像美。これまた泥臭い勝新版から一新。どの点を取ってもこれまでの時代劇の感性ではない、"たけし流" 痛快娯楽時代劇であることは間違いありません。

(バンダイビジュアル)
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(HANA-BI、TAKESHIS')
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(誰がために、鮫肌男と桃尻女)

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 ダーティ・ヒーローと言われる座頭市ですが、一時は正義の味方化していました。北野座頭市のダーティぶりも注目したいところです。その勝新座頭市は全26作。1989年の作品が最後になっていました。こちらはいかにも泥臭い座頭市。見比べると一層楽しみが増します。

www.sasaraan.net

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