Index

HOME > 映画TOP > 鑑賞記(邦画)

Information



着信アリ Final

(2006年/日本/105分)

[監督]麻生学
[原作]秋元康
[脚本]大良美波子、真二郎
[撮影]田中一成
[音楽]遠藤浩二
[出演]堀北真希、黒木メイサ、ジャン・グンソク、野田よし子、板尾創路

[内容]

 高校生・えみりは修学旅行で韓国に向かう。が、死の着メロが次々と鳴り3人が絶命。首吊り自殺を図ったクラスメイト・パムの呪いとの噂が立つ。えみりは真相を確認すべく、酷いいじめを受けて旅行を休んだクラスメイト・明日香に電話する。が、明日香は驚くべきことをえみりに告げる ・・・。死の予告電話の恐怖を描いたシリーズ第三弾。キャストを一新し独立したエピソードで臨む。続篇というよりは番外編の趣。ホラー部分はマンネリ化が進み希薄となったが、ドラマ部分はまとまりが良く叙情色も醸出。クライマックスの荒唐無稽ささえなければ興ざめせずに済んだのだが ・・・。
[評価]★★★☆☆

cinema review

STORY

 クラスでいじめを受けていた女子高生・松田明日香は、その夜、校内の鶏小屋の前に佇んでいた。その時携帯の着メロの音が聞こえ、音をたどると、そこには首を吊っていたクラスメイト、パムの姿が。そして地面に落ちていた携帯を拾い上げる。開いてみると、画面には、「転送スレバ死ナナイ」との文字が浮かんでいた。
 ある夜、修学旅行の高校生たちを乗せた船が韓国に向かっていた。その中の一人、草間えみりはクラスメイトたちと船の一室で楽しんでいた。その最中、梓の携帯から聞いたことのない着メロが鳴る。とってみると聞こえてきたのは梓自身の声。なぜか発信元は自分で着信時間は明日の昼。さらに添付写真には、首を吊って動かない梓の姿が写っていた。
 翌朝。韓国に着くと、皆グループに分かれて出発。が、途中、梓はえみりたちとはぐれて一人になってしまう。そしてある市場の中。呼ぶ声に誘われて入った路地裏で首を絞められて命を落とす。同時刻、その様子を明日香はパソコン画面で見ていた。明日香は修学旅行に行かず日本にいたのだ。梓の死を確認した明日香は笑みを浮かべ、振り返るとこう問いかけるのだった。「パム、次は誰にする?」と。
 その日の昼。えみりたちは集合場所に到着。すると今度は輝也の携帯から例の着メロが。見てみると「転送スレバ死ナナイ」のメッセージがあることに気付く。しかし輝也は転送に失敗し、5分後に事故死してしまう。ほどなく梓の死体も発見。どこからともなく「パムの呪い」との噂がたつ。しかし首吊り自殺を図ったパムは一命を取り止めて昏睡状態のはずだった。さらに夜になると友香の携帯から死の着メロが。しかし友香は瑞江に転送。瑞江はその場で命を落としてしまう。
 これは本当にパムの呪いなのか?えみりはパムの生死を確認すべく、意を決して明日香に電話をかける。すると不思議にも、明日香は3人の死をすでに知っていた。続く明日香の言葉にえみりは戦慄する。パムは今、自分の部屋にいると言うのだ ・・・。

・・・

COMMENT

 シリーズ第三弾。続篇ということですが登場人物は総入れ替え。エピソードも独立しているため、必ずしも前作までの知識を必要とはしません。しかし後半には前作までのモチーフも登場しており、説明も記憶を呼び覚ます程度なので、やはり前二作を覚えているかどうかが満足度に影響することは確かでしょう。また、完結編ということのようですが、完結感には乏しく、むしろ番外編の趣が強い作品となりました。
 物語の舞台はある高校。修学旅行で韓国へ向かいますが、えみり(黒木メイサ)のクラスメイトたちの携帯に次々と死の着メロが鳴ります。そして予告通りに落命。一方では転送すれば助かることが判明。互いに転送を止めようと争い大パニックとなります。一方、これがいじめを受けて首吊り自殺を図ったクラスメイト・パムの呪いではとのうわさが立ち、えみりが生死を確かめることに。が、昏睡状態のはずのパムこと明日香(堀北真希)の携帯にかけてみると、驚くべきことに出たのは明日香本人。えみりは、これが明日香の仕業であることを悟るというわけです。
 実は、いじめられていた明日香とえみりはかつて仲良しで、しかし今ではいじめを止めずに無視していたということが物語を切ないものにしています。さらに物語にはえみりの韓国人の恋人・アン・ジヌ(ジャン・グンソク)も登場。二人の絆を元にした叙情色を添えるとともに、死の予告電話による事件が以前にも起こっていたことを伝える重要な役どころとなります。
 前二作に比べても一層ホラー色は希薄となりました。ホラー体験を期待を期待するファンも多いでしょうから、この点では期待はずれと見られても仕方ないでしょうか。さらに、相変わらず瞬発力のあるシーン構成なのですが、これも相変わらず整合性には乏しいため、見終わった後の満足感はさほど大きなものではありません。その場その場で興味をひければよい、といった具合。最後などは、葬ったはずの美々子が理由もなく復活して幕、などとなっています。このシリーズ共通の欠点は最後まで払拭されませんでした。
 特に、美々子がパソコンにとり憑いているのでは考えたアンとえみりは、インターネット上でメールをパソコンに送るよう呼びかけるシーンがあります。ここは作品のクライマックスなのですが、当然のことながら、メールを大量に送ることでパソコンが爆発することはありません。そのために、現実にはあり得ないとの実感が強く、感動のはずが逆に興ざめに映ってしまったことは残念です。ここまで、限られた登場人物で密度の高いドラマを展開させてきただけに、不特定多数の人物たちを唐突に登場させたことは、集中力を弱め、違和感を残してしまう結果となったようです。本作が評価を落とした一因であろうかと思います。
 そのかわり、後半になって強めた叙情色はドラマの部分を巧みに盛り上げました。えみりは明日香へのいじめを止めなかったことを後悔し、一方の明日香はそんな明日香を責めず、むしろ守ろうとするわけです。感情移入しやすいプロットではなかったでしょうか。また、誰もがいじめる側に、あるいはいじめられる側になり得るという現代のいじめの本質にも迫っています。人間のむき出しのエゴを描出した面もあって、ドラマ部分の面白さは十分に堪能できたように感じます。ホラー部分ではマンネリ化が進み、一方では学園モノの印象が強く小粒になってしまいましたが、エンターテイメント・ホラーらしく、全編を一気に見れる勢いはあったのではないでしょうか。三作中最もホラー色は希薄となりましたが、最もまとまった作品であることは確かだと思います。

(角川エンタテインメント)
アマゾン検索
麻生学
「千里眼」
「穴」
「ミステリー民俗学者 八雲樹」
堀北真希
「生徒諸君!」
「トリック-劇場版2-」
「野ブタ。をプロデュース」
黒木メイサ
「きみのゆびさき」
「同じ月を見ている」
「拝啓、父上様」

more review ...
映画「着信アリ」シリーズ
「着信アリ」(2003)
「着信アリ2」(2005)
「着信アリ Final」(2006)

www.sasaraan.net

・・・

(c) morijoh