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転校生(1982年/日本/112分)
cinema review ![]() STORY
尾道の中学校に通う斉藤一夫は、男らしい父・明夫と男勝りの母・直子を持つ平凡な中学生。ある時、一夫のクラスに神戸から斉藤一美という転校生がやってくる。が、一美は一夫の幼稚園時代の同級生だった。そして一美は次々と一夫の幼稚園時代の醜態を暴露。おまけに一美は一夫のとんでもない秘密を握っていた。それは、一夫が、一美の祖母に殺虫剤を振りかけたら死んでしまったというもの。懐かしがってつきまとう一美だったが、ばつの悪い一夫は知らんぷりを決め込むことにする。
その日の放課後、帰り道の境内の階段から落ちそうになった一美。それを助けようとした一夫だが、一緒に下に落ちてしまう。無事を確かめ合って帰宅する二人。が、一夫は部屋の鏡を見て驚く。何と一美の姿になっていたのだ。急いで一美の家に行くとそこには泣きじゃくっている一夫がいた。しかし中身は紛れもなく一美だった。二人は中身が入れ替わってしまったのだ。 仕方なくそれぞれの家に帰り、一夫は一美として、一美は一夫として生活を始めるが家族は様子の違うわが子に首をひねる。学校でも、急に優等生となりオカマっぽくなった一夫にまわりは目を白黒。一方、相手が男でも平気でけんかする、あまりに男っぽい一美の姿にびっくり。そんな中、一夫の父・明夫の横浜への栄転が決まり一夫は転校することに。いつ元に戻るとも知れない二人の悩みは徐々に深刻になっていく ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
尾道三部作と呼ばれる大林宣彦監督の名シリーズの一本目。とはいえ、ストーリーは別もので、いずれも尾道(広島県)の叙情あふれる舞台と、そこに展開する青春劇をモチーフとしたもの。一方ではいずれも異なる雰囲気とテーマを持ち、各々に根強いファンがいるようです。本作は二人の男女の中身が入れ替わるという意外なシチュエーションとコミカルなつくり。その上に様々なイベントを重ねていく大林作品の典型的な展開となっていて、監督の出世作となった映画と言えます。
物語は幼なじみの中学生、一夫(尾美としのり)と一美(小林聡美)の体がふとしたことから入れ替わってしまうというもの。一美の母・千恵(入江若葉)に訴えるも無論信じてもらえず、急にしおらしくなった息子と急に乱暴になった娘にそれぞれの家族は首をひねるばかり。やがて一美の家族は一夫のせい、一夫の家族は一美のせいだと思い込んでしまいます。 荒唐無稽なシチュエーションながらも終始コミカルな雰囲気で乗り切った感があり、本作の娯楽性の高さをうかがわせます。小便をするとき紙で拭くか拭かないか、など二人が男と女の違いに戸惑うあたりも何となくギャグめいています。が、中盤では深刻さが増していきます。一夫は父の転勤とともに転校が決まり、一方、一美は状況に耐え切れず学校を休み始めてしまうのです。 まあ、それも一時のことで、そんな中でも一美のデートをめちゃくちゃにしたり二人が入れ替わっていることがクラスメイトにばれたり、とコメディ劇を畳み掛けてきます。そのせいか、一つ一つのモチーフはややぶつ切り的ですが、主人公二人の勢いに引っ張られてしまう馬力があります。さほど深刻さを感じさせない中途半端感と、だからこそ成し得た娯楽性・好感度とのバランスは微妙ですが、絶妙のようにも見えます。 とにかくも、巧いかどうかは別にして、伝えられる感動の大きさがモノをいった作品。出来不出来が大きいと言われる大林監督ですが、本作をはじめとする尾道三部作には不思議な魅力を感じずにはいられません。転校生がやってくるオープニングから自分が転校生となって町を去るラスト。しかしその間二人が得た愛と成長は、単純で朴訥ながらも、いまだに見る者の心を打ち続けています。おもしろいことに、この後につくられた青春映画でさえ古さを感じさせるものが多いのに、本作にはそれが希薄です。これもまた、感動の本質をぶらせることのない大林監督の見事さと呼べます。 |
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