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妖星ゴラス

(1962年/日本/89分)

[監督]本多猪四郎
[原作]丘見丈二郎
[脚本]木村武
[撮影]小泉一、円谷英二(特撮)
[音楽]石井歓
[出演]池部良、白川由美、久保明、水野久美、太刀川寛、平田昭彦、佐原健二、田崎潤、上原謙、 志村喬、河津清三郎、三島耕、堺左千夫、佐々木孝丸、西村晃、小沢栄太郎

[内容]

 ある時、強大な引力を持った妖星ゴラスが地球に接近することが判明。人類滅亡の危機を迎える。日本はゴラス破壊の道を探るため宇宙艇鳳号をゴラスに派遣。一方国連は南極に巨大ロケット基地を建設。地球を移動させてゴラスの軌道から離すよう試みる ・・・。地球に他の星が接近するパニックSF。やや雑ぱく感は残るが抜群のストーリー運び。日本が世界に誇る地球パニック・エンターテイメント。
[評価]★★★☆☆

cinema review

STORY

 宇宙艇隼号は土星調査に出発。その途中、国連から、地球に接近する正体不明の星ゴラスを調査するよう要請が入る。園田艇長は独断で調査を開始。それは地球の3/4の大きさにもかかわらず、6000倍もの質量を有する妖星だった。しかも強大な引力を持ち、隼号はそのために脱出が不可能となり、ついにはゴラスの中に引き込まれてしまう。
 地球では隼号の資料を基に分析。ゴラスは老年期の太陽であると結論付ける。しかも地球はゴラスの軌道上にあった。国連では、地球の危機を救うため国連科学委員会を招集。日本からも田沢・河野両博士が参加する。
 会議では、ゴラスは太陽系に侵入して49日で地球に接近、その時強力な引力に水や空気が吸い取られ人類は滅亡との見解が示される。そこでゴラス破壊の道を探るため、日本の宇宙艇鳳号の派遣が決定。一方、地球を移動させるために南極にロケット基地を建設することも決議される。ゴラスの引力を避けるためには、660億メガトンの推力で40万キロもの距離を移動させる必要があった。
 地球滅亡まであと700日。鳳号がいよいよ出航する。が、やがて、ゴラスの質量が地球の6200倍に増えていることが判明。ゴラスは他の星を吸収して成長する星だったのだ。さらに、隊員の金井がカプセルでゴラスに接近を試みることに。が、ゴラスの怪しい力に惑わされ、カプセルは遭難してしまう ・・・。

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COMMENT

 隕石や他の星が地球に衝突する、という地球パニックもの。ハリウッド発の超大作、「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」が頭に浮かびますが、この手の映画では本作が先駆的な存在。ラブストーリーがあったり怪獣が出てきたり詰め込みすぎ、一方では科学的に首をかしげるところもないではないですが、まあ、いずれもご愛嬌と言えるほどのおもしろさではあります。
 時代背景は1980年代前半。冒頭は、宇宙艇隼号の英雄的な遭難。死と引き替えに得たゴラスのデータが、地球を救うヒントとなります。そのゴラスは老年期の太陽。日本の宇宙艇鳳号がゴラス爆破の可能性を探るべく宇宙に旅立ち、一方、地球の軌道を変えるべく南極に巨大ロケット基地の建設が始まるわけです。はたして地球はロケットで動くのか? 、はちょっと疑問で滑稽さも混じってしまいますが、このあたりは時代の古さと見るしかありません。
 物語は人間ドラマにも一応手をつけています。隼号の園田艇長(田崎潤)の娘・智子(白川由美)と科学者・田沢(池辺良)とのラブストーリー。智子の妹・滝子(水野久美)と鳳号の隊員・金井(久保明)とのラブストーリーなど。まあ、通り一遍といった描写ですが、ほどよいアクセントとはなっています。
 後半には、突然変異で巨大化したオットセイ(だと思う)が登場。地球の移動によって起こる生態系の異変も扱っています。今ならもっと緻密な地球の変化を描くところでしょう。一方では円谷特撮の本領も発揮。東京が海水に沈むシーンなどもあります。
 しかし、コンパクトに納めた分、詰め込み過ぎで雑ぱく感が生じてしまう日本映画の欠点も顕著となりました。いずれのモチーフも広く浅く、といった風で、いわゆる連続ドラマのダイジェス版に近いつくり。そのため、人物描写の浅さも気になるところとなっています。が、1時間半という時間は非常に見やすい長さで、面白味十分のストーリーに支えられ、勢いで一気に乗り切ってしまっている感もあります。すぐれたストーリー・テリングとともに、魅力的な宇宙映像を創造した円谷特技監督の手腕のたまものと呼べるかもしれません。
 個人的には日本のSF映画の筆頭に上げたいところ。当時は怪獣もの中心の日本のSF映画。後に、より大規模な地球パニック超大作がつくられるようにはなりますが、本作とは逆にいずれも肥大しすぎた感があります。その点本作は、広く浅く、とはいっても、むしろおもしろいところを集めた印象が強いのではないでしょうか。いまだに多くのファンから支持を受けているのは十分納得できます。

(東宝)
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本多猪四郎関連作
(ゴジラ、マタンゴ)
池部良関連作
(宇宙大戦争、雪国)
白川由美関連作
(地球防衛軍、美女と液体人間)

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「ゴジラ」(1954)でその名を高めた本多猪四郎(いしろう)監督。本作からも分るとおり奇抜な着想が抜群の冴え。日本エンターテイメント映画の傑人で、筆者も子供の頃は夢中になって見たものでした。主な作品は他に「地球防衛軍」、「マタンゴ」、「海底軍艦」、「美女と液体人間」、「モスラ」など。ほとんどの作品が現代でも語り継がれています。

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