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「50年代SFの逆襲」・・・ 黄金のカルトSFふたたび ・・・
1950年代、アメリカでは多くの意欲的なSF映画がつくられました。今、そのほとんどはカルト的な趣となってしまいましたが、リメイクされる作品もちらほらと出ています。さすがにのちの特撮技術との差は歴然で、インパクト自体は較べるべくもありません。しかし、いずれもが四半世紀にわたる人気を誇っていた作品ばかり。ここでは、そんな50年代のSF映画を振り返ってみます。
◆「宇宙戦争」
「宇宙戦争」(1953)[監督] バイロン・ハスキン [出演] ジーン・バリー、アン・ロビンソン、レス・トレメイン SF小説の大家、H・G・ウェルズ原作の映画化。ウェルズには他にも「タイム・マシン」、「透明人間」など繰返し映像化されている作品があります。本作も人気の一本。原作(The War Of The Worlds)の発表は実に1898年といいますから、ウェルズがいかに並外れた想像力を持っていたかがわかります。 物語は、正体不明の物体が落下するくだりからはじまります。野次馬たちが見に行くとそれは宇宙船。しかし宇宙船は怪光線を発して人間たちを殺戮。やがて世界中に宇宙船が現れ、破壊の限りを尽くしていく、というもの。最初の映画化は1953年。わずかに火星人の姿も登場しています。人類よりもはるかに進んだ科学力を持った生命体に侵略される、とは、当時はかなりショッキングなストーリーだったようです。 「宇宙戦争」(2005) [監督] スティーブン・スピルバーグ [出演] トム・クルーズ、ダコタ・ファニング 2005年にはスティーブン・スピルバーグがリメイク。1億3000万ドル以上の製作費を費やしたとか。かなりシチュエーションを変更し、ドラマの部分にも力が入っています。ちなみに前作主演のジーン・バリーは物理学博士という設定。宇宙人の弱点をつかもうと奔走。ついに宇宙人の血液を入手します。一方リメイクでは、トム・クルーズが平凡な労働者役の主演。子供嫌いの父親ですが、次々と危機に見舞われながら、徐々に子供たちとの絆を深めていきます。やはりストーリーも現代風にアレンジ。ドラマとしての鑑賞にも耐えうるつくりを施したと見れるでしょうか。また、余計なお世話ですが、やたらと「博士」が登場することの多いスピルバーグ作品ですから、ちょっと意外でもありました。 さらに余談。本作のシチュエーションをブラック・コメディ化した作品が「マーズ・アタック!」(1996年)。監督はティム・バートン。出演はジャック・ニコルソンやピアース・ブロスナンなど。いずれにせよ、後のUFOモノに多大な影響を与えたことは確かです。 ◆「ザ・フライ(ハエ男の恐怖)」
「蝿男の恐怖」(1958)[監督] カート・ニューマン [出演] アル・ヘディソン、ヴィンセント・プライス ジョルジュ・ランジュランの短編集「蝿」の中の同名の一篇が原作。ほとんど知られていない作家ですが、映画化されたせいか、本作のみが有名となりました。映画化は1958年。原題は原作(The Fly)のままですが、邦題は「蝿男の恐怖」。 ストーリーの発端は、ある男が物質の転送装置を発明し、みずからの体で人体実験を試みたこと。が、装置の中に一匹のハエが混じっていたことから、男はハエ人間と化してしまうのです。変わり果てた姿となったことに苦悩し、家族にも姿を現せない男。物語はショッキングなシチュエーションと共に悲劇的な人間ドラマとしても捉えられ、本作は極めて高い評価を得ることとなりました。 「ザ・フライ」(1986) [監督] デビッド・クローネンバーグ [出演] ジェフ・ゴールドブラム、ジーナ・デイビス 1986年にはデビッド・クローネンバーグ監督で再映画化。ストーリにも若干の変更が加えられています。ここでは、実験後徐々にハエ男に変わっていく過程を生々しく描きます。さらに、ハエ男の子供を宿した恋人の存在も見えない恐怖となって見る者を圧迫。とにかくもクローネンバーグらしいグロテスクな描写が最大の特徴。映像自体、生理的に受け付けない人もいるかもしれません。 ちなみに、「蝿男の恐怖」は1959年に続編「蝿男の逆襲」が製作。蝿男として死んでいった男の息子が、陰謀により蝿男にされてしまうという話。一方、1986年版にも続編「ザ・フライ2/二世誕生」(1989年)がつくられました。こちらは蝿男の子供が成長し、徐々に蝿男に変貌していく話。ストーリーは異なりますが、いずれも力作となりました。 「蝿男の逆襲」 (1959) 「ザ・フライ2/二世誕生」(1989) ◆「遊星からの物体X」
「遊星よりの物体X」(1951)[監督] ハワード・ホークス [出演] ケネス・トビー、マーガレット・シェリダン ジョン・W・キャンベル・Jrの「影が行く」(Who Goes There?)の映画化。キャンベルは作家としてよりも、SF雑誌編集長としての貢献者の方が有名のようです。本編は1951年、「遊星よりの物体X」(The Thing From Another World)として製作。製作は名匠ハワード・ホークス。ただし、監督は無名のクリスチャン・ナイビー。実際は相当部分にホークスの手が入っているようです。 物語は、UFOが落下、そこから謎の生命体が抜け出し人間を襲うというもの。この1951年版はかなり有名で、ホラーもスリラーもまだまだ発展途上の時代にもかかわらず、相当の緊迫感を見事に醸成しています。ただし、さすがに未知の生命体は血を吸う宇宙生物ということでモンスターに近い描写。早すぎた映画化、という感も否めません。 「遊星からの物体X」(1982) [監督] ジョン・カーペンター [出演] カート・ラッセル、ウィルフォード・ブリムリー 1982年にはジョン・カーペンター監督でリメイク(「遊星からの物体X」The Thing)。ロブ・ボッティンのグロテスクな特殊メイクも話題となりました。カーペンター特有の過剰描写は賛否が別れるところですが、SFホラーとしては完成に近い形と呼べるでしょうか。のちの同系作品に少なからず影響を与えたと言われています。 こちらのポイントは、未知の生命体が生物に取り付きまったく同じ姿に同化してしまう恐怖に重点を置いたこと。やがて基地の人間が次々と取り付かれ、互いに疑心暗鬼となり、殺し合いに発展していくことになります。 おもしろいことに、この二作はいずれもが名作と呼ばれながら、好みが出やすいつくりとなっています。はまればコワイことは請け合いですが、それも見る人の感性が鍵を握ることになりそうです。 ◆「禁断の惑星」「人喰いアメーバの恐怖」
「禁断の惑星」[監督] フレッド・マクレオド・ウィルコックス [出演] ウォルター・ピジョン、アン・フランシス、レスリー・ニールセン リメイクされても、と思う作品もあります。「禁断の惑星」(1956年/Forbidden Planet)はSF映画の金字塔でありながらいまだリメイクされていないようです。SF冒険もの傾向が強いのですが、謎の怪物も登場し、スリラーとしての要素も含みます。物語は、ある惑星に到着した探検隊が、かつて遭難事件の生き残りの博士に出会うというもの。そこで博士は先住民の高度な文明のあとを発見。しかし星には、人間を襲う得体の知れない生き物が存在していたのです。 ここに登場するロボット・ロビーはあまりにも有名となりました。そして「イドの怪物」の謎も後々まで語り草となります。未知の惑星で体験した恐怖が、実は人間の心の醜さが原因であったというからくりも見事ではなかったでしょうか。 「マックィーンの絶対の危機」 [監督] アーヴィン・ショーテス・イヤワース [出演] スティーブ・マックィーン、アール・ロウ もう一本、「人喰いアメーバの恐怖」(1958年/The Blob)は、今では「マックィーンの絶対の危機 (ピンチ)」とタイトルを変えたようです。スティーブ・マックイーン出演作ということで、営業上そこをウリにしたのでしょう。内容は、未知の惑星からやってきた水あめのような物体が、生き物を食べながら徐々に巨大化していくというもの。 もともとはB級SFに過ぎず低評価の作品ですが、その割りには長い期間話題となり、たびたびテレビ放送も行われました。評価は別にして常にそこそこの話題性を保っていた不思議な作品でもあります。 当時どれほど想像力にすぐれた名作と呼ばれていても、今見る50年代SFにはリアリティは感じられません。だからこそリメイクし甲斐のある作品だとも言えるでしょう。とかく製作側の個性が出やすい内容なだけに、ぜひとも強烈な再映画化を待ちたいと思います。 |
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【主な監督作品】 「ミュンヘン」(2005) 「マイノリティ・リポート」(2002) 「ロスト・ワールド」(1997) 「シンドラーのリスト」(1993) 「ジュラシック・パーク」(1993) 「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」(1989) 「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」(1984) 「E.T.」(1982) 「レイダース」(1981) 「未知との遭遇」(1977) 「ジョーズ」(1975) (アメリカ/1962〜)
【主な出演作品】 「宇宙戦争」(2005) 「ラストサムライ」(2003) 「マイノリティ・リポート」(2002) 「マグノリア」(2001) 「ザ・エージェント」(1996) 「ミッション:インポッシブル」(1996) 「ザ・ファーム 」(1993) 「ア・フュー・グッドメン」(1992) 「7月4日に生まれて」(1989) 「レインマン」(1988) 「ハスラー2」(1986) 「トップガン」(1986) 「卒業白書」(1983) (カナダ/1943〜)
【主な監督作品】 「 ヒストリー・オブ・バイオレンス」(2005) 「スパイダー」(2002) 「イグジステンズ」(1999) 「クラッシュ」(1996) 「裸のランチ」(1991) 「ザ・フライ」(1986) 「デッドゾーン」(1983) 「スキャナーズ」(1981) (アメリカ/1896〜1977)
【主な監督作品】 「エル・ドラド」(1966) 「ハタリ!」(1961) 「リオ・ブラボー」(1959) 「紳士は金髪がお好き」(1953) 「遊星よりの物体X」(1951) 「赤い河」(1948) 「三つ数えろ」(1946) 「ヨーク軍曹」(1941) 「暗黒街の顔役」(1932) (アメリカ/1948〜)
【主な監督作品】 「エスケープ・フロム・L.A.」(1996) 「透明人間」(1992) 「ゼイリブ」(1988) 「スターマン」(1984) 「遊星からの物体X」(1982) 「ニューヨーク1997」(1981) 「ザ・フォッグ」(1979) 「ハロウィン」(1978) (アメリカ/1930〜1980)
【主な出演作品】 「荒野の七人」(1960) 「大脱走」(1963) 「砲艦サンパブロ」(1966) 「華麗なる賭け」(1968) 「ブリット」(1968) 「栄光のル・マン」(1971) 「ゲッタウェイ」(1972) 「パピヨン」(1973) 「タワーリング・インフェルノ」(1974) |
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