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「ラブストーリーの定番」・・・ ハリウッド黄金期のラブストーリーを懐かしむ ・・・
ハリウッド黄金期である1940年代から1960までの名作ラブストーリーを振り返ります。特に娯楽性の高いアメリカン・ラブストーリーは、未だ世界中の映画ファンを魅了し続けています。ベタベタなものやコミカルなもの、いずれも後のラブストーリーの礎となった作品ばかり。映画の中で引き合いに出されることもしばしば。いわばラブストーリーの定番と言えます。
"Casablanca"
◆「カサブランカ」(1942)
[監督] マイケル・カーティズ[原作] マーレイ・バーネット、ジョアン・アリスン [脚本] ジュリアス・J・エプスタイン、フィリップ・G・エプスタイン、ハワード・コホ [出演] ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリード ハンフリー・ボガート、イングリット・バーグマン主演の伝説的なラブストーリー。 "君の瞳に乾杯" とは、本作から出た名言。名曲 "As Time Goes By" も出所はこちら。作品に見事なロマンティシズムを添えています。 本当は人情家ながらもクールさを装うボガード、愛と信念を貫く正義の男ヘンリード、ふたつの愛の狭間で苦悩するバーグマン。ドラマティックな展開の中で魅力的な人物たちが躍動。ラブストーリーとして、サスペンスとして、人間ドラマとして、いずれも超一級の映画として未だ語り継がれている名作です。 舞台は第二次大戦初頭のフランス領モロッコ。ナチスから逃れるためにここ、カサブランカへと集まってきます。目的はアメリカへの渡航。しかし、ナチスの圧力で通行証の発行は制限されていました。そんな時、地下運動化のビクター・ラズロ(ポール・ヘンリード)が妻イルザ(バーグマン)と共にやってきます。目指すはカフェ・アメリカン。が、イルザは驚愕します。そこはパリで自分が振ったリック(ボガード)の店だったのです。 通行証を手に入れ、アメリカへ渡らなければ夫は殺されてしまうという緊迫した状況。しかし通行証を持っているのはかつての恋人リック。いまだイルザを愛し、そして憎んでいるリックは、それと知りつつ通行証を売ることを拒むのです。必死に許しを請うイルザ。が、イルザがリックを振ったのには理由があったのです。真実を知るリック。再燃する二人の愛。しかしビクターの愛もまた真実。リックの選んだ結末とは、そしてイルザが選んだ男とは ・・・。 本作のおもしろさを支えるのがスリリングな展開。ラブストーリーを軸にしながらも、ナチスからの命を賭けた逃亡劇、というサスペンスの部分を前面に出したことで、幅広い層のファンを満足させることとなりました。最後の最後まで予測できない展開にはらはらしながらも、登場人物たちの言動に心打たれるのです。 実は本作の背景はちょっと複雑。ナチス・ドイツはともかく、特に日本人にはなじみのないビシー政権という事情が絡んでいます。時事的なシチュエーションに時事的な展開、と、今見るには多少の予備知識が必要なはずですが、力のある展開と繊細な人物描写で終始押し切ってしまっています。このあたりが、永遠のラブストーリーたる所以なのでしょう。まさに、 "スリルとロマンス" の代名詞と呼べます。 "An Affair To Remember"
◆「めぐり逢い」(1957)
[監督] レオ・マッケリー[原作] レオ・マッケリー、ミルドレッド・クラム [脚本] デルマー・デイビス、レオ・マッケリー [出演] ケーリー・グラント、デボラ・カー アメリカのラブストーリーといえばこれ。本作はリメイク作品ながら、たびたびハリウッドのラブストーリーの代表作に挙げられます。さらに1994年にもウォーレン・ビーティとアネット・ベニング主演でリメイク。メグ・ライアンとトム・ハンクスの「めぐり逢えたら」やカトリーヌ・ドヌーヴの「逢いたくて」など、作中のモチーフに使われることもしばしば。ストレートなラブストーリーとしては決定版のひとつと言ってもいいかもしれません。 ヨーロッパからアメリカへ向かう豪華客船の中、プレイボーイで知られるニッキー(ケーリー・グラント)は美しい女性テリー(デボラ・カー)と出会います。が、テリーもまたぜいたくを好む女。互いに旅のことと思い気軽に付き合いをはじめますが、テリーはやがて気付きます。ニッキーが本当はまじめな人間であることを。その時、ニッキーもまたテリーを真剣に愛しはじめていました。 が、それぞれには恋人が。別れ際、二人は約束します。半年後、まともな人間になって再会しよう、と。場所はエンパイアステートビル。二人とも恋人とは別れ、ニッキーは売れないながらも画家として自立。テリーもクラブの歌手として慎ましやかな生活を送ります。が、半年後、展望台で一人待つニッキーの前に、テリーは現れませんでした。テリーは嬉しさのあまり走り出したため交通事故に遭い、歩けなくなっていたのです。 やがて二人は偶然再会します。テリーは彼の負担になるまいと足の事を隠し、しかし何も知らないニッキーはテリーに冷たい態度をとります。最後、テリーの前でついに真実を悟るニッキーのシーンは映画史上に残る名シーンとなりました。必涙の名作と言っていいでしょう。 途中、抜群の存在感を見せるのが、ニッキーの祖母ジャヌー(キャスリーン・ネスビット)。二人が本当は真摯な人間であることを見抜き、キューピッド役を果たすのです。ジャヌーは後に亡くなってしまうのですが、ニッキーは、ジャヌーとテリーが一緒にいる絵を描き上げます。それは三人が最も幸せだった一瞬。この絵が、最後に大きなドラマを生むことになります。 実は本作、展開自体は、主人公二人が何度も偶然出会うなどいわゆる "ベタ" さが目立つ作品。世界的なプレイボーイなど、シチュエーションのあいまいさも拭えません。が、それがかえって現実味を失わせ、ファンタスティックなイメージを創出しているとも言えます。「めぐり逢えたら」では、本作を女性映画、として男性陣が揶揄するシーンもありましたが、決してそんなことはありません。れっきとしたラブストーリーの名作であり、最高傑作のひとつですらあります。
"A Summer Place"
◆「避暑地の出来事」(1959)
[監督] デルマー・デイビス[原作] スローン・ウィルソン [脚本] デルマー・デイビス [出演] サンドラ・ディー、トロイ・ドナヒュー、リチャード・イーガン、ドロシー・マクガイア 「めぐり逢い」を手がけた名脚本家デルマー・デイビスが監督。ラブストーリーというよりも、愛の物語、と呼んだ方がふさわしいかもしれません。主人公ケンは言います。 "人は愛のために生きる" と。愛ゆえに苦悩し、阻害され、しかしそれでも貫こうとする強さ。それを生きることの美しさにまで昇華させた物語には強く心を打たれます。男女間の情熱的な愛のみならず、安らぎを求めるような、より普遍的な愛を描こうとした名作です。 ケン(リチャード・イーガン)が20年ぶりに帰郷。が、そこにはかつての恋人シルビア(ドロシー・マクガイア)が。当時、身分違いで別れさせられた二人でしたが、今や立場が逆転。しかし、事業で成功したケンは、妻との間に愛はなく、シルビアもまた、アル中の夫に愛想を尽かしていました。二人の恋は当然のように再燃していきます。 やがて二人の噂が広まりそれぞれ離婚。別の土地へと移ることになります。同時に、ケンの娘・モリー(サンドラ・ディー)は妻方へ、シルビアの息子・ジョニー(トロイ・ドナヒュー)は夫方へと引き取られていきます。が、モリーとジョニーもまた互いを愛してしまいます。そして、若さゆえに仲を裂こうとする親たちにも関わらず、モリーは妊娠してしまうのです。 前半は大人の恋、後半は若者の恋、と、二段構えの構成ですが、これが後に家族愛に通じる結末へと集約されていくわけです。若い二人の過ちを知りつつ優しいまなざしを向けるケンが最後に言います。 "愛とユーモアがあれば何も怖くはない" と。娯楽色はやや犠牲になった感がありますが、美しさという点では随一の映画ではないでしょうか。 "The Apartment"
◆「アパートの鍵貸します」(1960)
[監督] ビリー・ワイルダー[脚本] ビリー・ワイルダー、I・A・L・ダイアモンド [出演] ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン これまでのシリアスなラブストーリーとは一転、「アパートの鍵貸します」は、ラブ・コメディといわれる部類に入ります。ストーリーはハリウッドきっての名匠ビリー・ワイルダーと当時超人気の脚本家 I・A・L・ダイアモンドの競作。おもしろくないはずがありません。コミカルながらもちょっと切なくほろ苦い。人情味たっぷりに、しがないサラリーマンの恋を描きます。いまだ絶大な人気を誇る名作です。 舞台はニューヨークにある保険会社の本社ビル。ヒラ社員のバド(ジャック・レモン)は自分の安アパートの鍵を毎夜のごとく上司たちに貸し出し出世を目論見ます。当の上司たちはその部屋で安心して不倫に精を出し、いずれバドの昇進を上司に推薦するというからくり。やがてバドは念願かなってめでたく係長への昇進を果たします。 が、それも束の間。クリスマス・イヴの夜、あこがれのエレベーターガール、フラン(シャーリー・マクレーン)が、鍵を貸している部長と不倫をしている事実を知って大ショック。しかもその夜、部長とフランは自分の部屋で不倫中。が、部屋に帰ると、ベッドには昏睡状態になったフランが。フランは、部長がただの火遊びだと知り、絶望して自殺を図ったのでした。 毎夜違う女を連れ込んでいると思われ、隣の部屋の住人にスケコマシに間違われる姿がおかしさ満点。でもバドは否定せず、甘んじて批難を受けるのです。何と言っても、フランの幸せを第一に考え、自分は一歩引いて部長との復縁に奔走してしまうバドには切なさを感じてしまいます。が、最後、フランが、バドの真心に思い当たり、真実の愛を悟った瞬間には思わず笑みがこぼれてしまうのではないでしょうか。 当時のシャーリー・マクレーンのキュートさは比類がありません。一方のジャック・レモンは得意の神経質そうな仕種で、絶妙のコメディアンぶりを見せます。さらに本作の特徴は、シリアスな心情の人物を映しつつ、きっちりとコミカルなシーンにしてしまうところ。バドが失恋で落ち込む深刻なシーンなのに、欲求不満の騎手夫人がストローの包みを吹き当ててバドをハントするシーンなどは何ともユーモラス。コメディとしてのスタンスをあくまでも崩さずに感動の高みまで昇華させてしまうのはさすがです。キング・オブ・ラブコメディの地位はまだまだ譲りそうにはありません。 ちなみにJ・レモンと S・マクレーンのコンビは「あなただけ今晩は」(1963)で復活。こちらはヒラ警官と娼婦のおかしな恋物語。ワイルダー監督とダイアモンド脚本もそのまま。期待通りの面白さを発揮しています。 "Roman Holiday"
◆「ローマの休日」(1953)
[監督] ウィリアム・ワイラー[原作] イアン・マクラレン・ハンター [脚本] イアン・マクラレン・ハンター、ジョン・ダイトン [出演] グレゴリー・ペック、オードリー・ヘプバーン 「アパートの ・・・」と同様コミカルなラブストーリー。ただし、都会のサラリーマンとOLいう現実臭の強い前者に対して、こちらの舞台は古の都ローマ。王女と新聞記者、さらには気のいいローマの人たちが織り成す人間ドラマが、まるでおとぎの国のできごとのよう。あらゆる映画の中でも、その好感度は一、二を争うと言っても過言ではありません。 本作はまた、妖精と謳われたオードリー・ヘプバーンの主演第一作。「ティファニーで朝食を」、「昼下がりの情事」など、ヘプバーン主演のラブストーリーには名作が多いのですが、特に本作が最も幅広い支持を受けているように思います。 物語はローマ歴訪中の某国王女アン(オードリー・ヘプバーン)が、自由のない生活が嫌になって脱走するところから始まります。広場で寝ているところを新聞記者ジョー(グレゴリー・ペック)が見つけ、仕方なく自分のアパートへ連れ帰ります。ところが翌朝、彼女がアン王女であることに気付くと、特ダネを逃すまいとべったり。帰ると言うアンを引きとめ、ローマを案内。さらに親友のカメラマン、アービング(エディ・アルバート)を呼び寄せ、数々のスクープ写真の撮影に成功します。 ジョーたちの魂胆に気付かないアンでしたが、ローマの一日をのびのびと過ごし、自由と喜びをかみしめます。が、ジョーはそんな純真無垢なアンに次第に惹かれていきます。そしてアンもまた、これほどの親切を受けたことに感動し、ジョーに恋心を抱くようになるのです。 しかしアンは帰らなければなりませんでした。それはわずか数時間の恋。ジョーは世紀のスクープを心の中にしまい込み、アービングもまた、そんなジョーとアンの心の内を知って、撮った写真をアンに渡してしまいます。最後、記者会見の場で、最も印象に残った所は、と聞かれ、アンが叫ぶように答えます。ローマ、と。それは、アンが真の自分に目覚めた一瞬でもありました。 途中、世間知らずのアンがローマの人たちと触れ合う姿がなんともほほえましいこと。ユーモラスなシーンもたっぷりで娯楽色も十分。最後に残す余韻も心憎さを感じてしまいます。何よりアンとジョーの描き方がわかりやすく、その繊細な心情がストレートに伝わってきます。もっとも、このあたりは、名脚本家ダルトン・トランボと巨匠ウィリアム・ワイラー監督の手腕によるところが大きいかもしれません。いずれにせよ、不朽の名作と呼ぶにふさわしい作品であることには違いありません。ラブストーリーファンならずとも必見の映画と言えるでしょう。 |
■アマゾン検索■ (アメリカ/1899〜1957)
【主な出演作品】 「俺たちは天使じゃない」(1955) 「ケイン号の叛乱」(1954) 「裸足の伯爵夫人」(1954) 「麗しのサブリナ」(1954) 「アフリカの女王」(1951) 「孤独な場所で」(1950) 「黄金」(1948) 「キー・ラーゴ」(1948) 「三つ数えろ」(1946) 「脱出」(1944) 「カサブランカ」(1942) 「マルタの鷹」(1941) (スウェーデン/1915〜1982)
【主な出演作品】 「秋のソナタ」(1978) 「オリエント急行殺人事件」(1974) 「さよならをもう一度」(1961) 「六番目の幸福」(1958) 「追想」(1956) 「山羊座のもとに (」(1949) 「ジャンヌ・ダーク」(1948) 「汚名」(1946) 「白い恐怖」(1945) 「セント・メリーの鐘」(1945) 「ガス燈」(1944) 「誰が為に鐘は鳴る」(1943) 「カサブランカ」(1942) 「別離」(1939) (イギリス/1904〜1986)
【主な出演作品】 「シャレード」(1963) 「ミンクの手ざわり」(1962) 「北北西に進路を取れ」(1959) 「めぐり逢い」(1957) 「誇りと情熱」(1957) 「泥棒成金」(1954) 「モンキー・ビジネス」(1952) 「僕は戦争花嫁」(1949) 「汚名」(1946) 「孤独な心」(1944) 「断崖」(1941) 「フィラデルフィア物語」(1940) 「赤ちゃん教育」(1938) (イギリス/1921〜)
【主な出演作品】 「007/カジノ・ロワイヤル」(1967) 「結婚専科」(1965) 「イグアナの夜」(1964) 「ドーヴァーの青い花」(1963) 「サンダウナーズ」(1960) 「旅路」(1958) 「めぐり逢い」(1957) 「白い砂」(1957) 「王様と私」(1956) 「情事の終り」(1954) 「地上(ここ)より永遠に」(1953) 「ゼンダ城の虜」(1952) 「黒水仙」(1946) (アメリカ/1925〜2001)
【主な出演作品】 「ラブリー・オールドメン」(1993) 「摩天楼を夢みて」(1992) 「晩秋」(1989) 「ミッシング」(1982) 「チャイナ・シンドローム」(1979) 「エアポート'77」(1977) 「フロント・ページ」(1974) 「セイブ・ザ・タイガー」(1973) 「お熱い夜をあなたに」(1972) 「おかしな夫婦」(1970) 「おかしな二人」(1968) 「ちょっとご主人貸して」(1964) 「グレートレース」(1965) 「女房の殺し方教えます」(1964) 「あなただけ今晩は」(1963) 「酒とバラの日々」(1962) 「アパートの鍵貸します」(1960) 「お熱いのがお好き」(1959) 「ミスタア・ロバーツ」(1955) (アメリカ/1934〜)
【主な出演作品】 「奥さまは魔女」(2005) 「くちづけはタンゴの後で」(1996) 「不機嫌な赤いバラ」(1994) 「ハリウッドにくちづけ」(1990) 「マグノリアの花たち」(1989) 「マダム・スザーツカ」(1988) 「愛と追憶の日々」(1983) 「チャンス」(1979) 「愛と喝采の日々」(1977) 「スイート・チャリティ」(1969) 「あなただけ今晩は」(1963) 「アパートの鍵貸します」(1960) 「走り来る人々」(1958) 「ハリーの災難」(1955) (アメリカ/1916〜2003)
【主な出演作品】 「ブラジルから来た少年」(1978) 「マッカーサー」(1977) 「オーメン」(1976) 「マッケンナの黄金」(1969) 「アラベスク」(1966) 「アラバマ物語」(1962) 「ナバロンの要塞」(1961) 「渚にて」(1959) 「大いなる西部」(1958) 「白鯨」(1956) 「ローマの休日」(1953) 「キリマンジャロの雪」(1952) 「頭上の敵機」(1949) 「紳士協定」(1947) 「子鹿物語」(1947) 「白い恐怖」(1945) (ベルギー/1929〜1993)
【主な出演作品】 「オールウェイズ」(1989) 「ニューヨークの恋人たち」(1981) 「華麗なる相続人」(1979) 「ロビンとマリアン」(1976) 「暗くなるまで待って」(1967) 「いつも二人で」(1967) 「おしゃれ泥棒」(1966) 「マイ・フェア・レディ」(1964) 「パリで一緒に」(1964) 「シャレード」(1963) 「ティファニーで朝食を」(1961) 「尼僧物語」(1959) 「昼下りの情事」(1957) 「戦争と平和」(1956) 「麗しのサブリナ」(1954) 「ローマの休日」(1953) |
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