映画鑑賞記

イージー・ライダー
Easy Rider(1969/アメリカ/95分)
[監督] デニス・ホッパー
[脚本] ピーター・フォンダ / デニス・ホッパー / テリー・サザーン
[撮影] ラズロ・コバックス

[出演]
ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー、ジャック・ニコルソン、アントニア・メンドザ、 カレン・ブラック

[評価] ★★★☆☆
 麻薬の転売で大金をつかんだ若者二人。南部の謝肉祭を目指して自由気ままな旅を始めることに。が、外の世界には差別や偏見が充満。それらを淡々と受け入れつつ旅を続けていいった二人だったが・・・。当時のアメリカの世相を端的に描いたロード・ムービー。自由の本質と社会の驕慢さを描いた名作だがやはり時代の寵児。今ではさすがに色あせてきたか。
ストーリー
 ロスの空港脇。二人の若者、キャプテン・アメリカとビリーはみずから買い付けた麻薬を転売。大金を手に入れると、ニューオーリンズの謝肉祭へ行こうと、大型バイクで自由気ままな旅を始めます。しかしチンピラ風の彼らに社会は冷たく、二流のモーテルにさえ泊まるのを拒否される始末。仕方なく野宿しながらの旅となるのでした。
 途中、ヒッチハイクをしていたヒッピーの男・ジーザスを乗せた二人。ジーザスが目指したヒッピーの集落で泊まらせてもらうことに。が、自分たちの世界を築こうとするヒッピーたちは自由なようでどこか疎外的で閉鎖的。二人はまた旅を続けます。
 ある町では、パレードにくっついていくと許可なく参加したという罪で留置所へ入れられてしまいます。そこで、泥酔して入れられていた、地元の名士の放蕩息子・ジョージと出会います。弁護士だというジョージは二人と気が合うと釈放するよう交渉し留置所から出られることに。すると娼婦の館へ行きたいと言い始めるジョージ。バイクに便乗することになると、新たな目的地の娼館を目指すことになったのですが・・・。

コメント
 一時は若い映画ファンの支持を絶大に受けていたロード・ムービー。二人の若者を通して、当時のアメリカの欺瞞的な社会を映し出すとともに、自由のはかなさとむなしさを真正面から描いた名作と言えるでしょう。ただし、やはり世相を映した作品。当時に比べると色あせて見えてしまうのはいたしかたのないこと。しかしバックに流れるのは、ステッペン・ウルフ、ザ・バンド、ジミ・ヘンドリックスなど当時のロック・ナンバー。しかも、ストーリーを邪魔することなくほどよい心地。そんな違った楽しみも新たに出てきた映画ではないでしょうか。
 物語は若者二人、キャプテン・アメリカ(ピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)が麻薬の取引をするところから始まります。冒頭から社会問題化していた麻薬をクールの取り上げていくところに、本作がこれから描こうとしているものの退廃的な要素を感じ取ることができます。
 続いて大型バイクで安モーテルへ。しかし二人が来たとたん、安モーテルの主は満室のネオンサインを出して引っ込んでしまうのです。その後たびたび描かれることになる、差別と偏見。二人はまるでそんな社会と隔絶するかのように野宿を続けていくことになります。が、そんな二人は意外にもクール。そんな差別と偏見を目の当たりにしながらもあきらめ顔で流していきます。このあたりも、保守的な社会の異常熱との対比をなしていて興味深いところ。
 一方では、二人が出合う様々な人々を通して当時の思想的な側面も語られていきます。信心深いカトリックの牧場主。集落で自由を謳っていはいるが閉鎖的な生活を送っているヒッピー。そしてユートピアを語るものの無図からは放蕩な弁護士・ジョージ。社会的な民権運動や美化運動なども描かれていきます。それぞれに、正しいアメリカ、病んだアメリカ、臆病になったアメリカ、と、その対比を正面から見つめていきます。しかし、二人は結局そのどこにも居場所がないことを悟っていく寂しさとむなしさが陰にあるのが見て取れます。
 終盤、娼婦二人とともにLSDを試す彼ら。自由を体験するはずが、そこで見た幻は、真の自由の世界の幻かそれとも悪夢だったのか。その幻想的なシーンは、もはや彼らの求める世界が夢の世界にすらないことを象徴しているよう。最後、俺は自由だというビリーに首を振るキャプテン・アメリカ。社会の深部にある本質を見事に映し出した作品といえるでしょう。
* 評価やコメントは、あくまでも、"もりじょう"の個人的な感性に基づくものです。
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