映画鑑賞記

K−19
preview K-19 The Widowmaker(2002/アメリカ・イギリス・ドイツ/137分)
[監督] キャスリン・ビゲロー
[原案] ルイス・ノーラ
[脚本] クリストファー・カイル
[撮影] ジェフ・クローネンウェス
[音楽] クラウス・バデルト

[出演]
ハリソン・フォード、 リーアム・ニーソン、ピーター・サースガード、クリスチャン・カマルゴ、ピーター・ステッビングス、ジョス・アックランド

[評価] ★★★☆☆
冷戦時代。権威的な艦長の下、ソ連の原潜K19が氷海へ。が、作戦途中で原子炉に異常が発生。クルーたちは放射能を浴びながら懸命の修理を強行するのだが・・・。実話を基にしたパニック映画。過剰演出だが緊迫感に満ちた感動のドラマ。
ストーリー
 米ソ冷戦時代。アメリカはモスクワを射程圏内とする原子力潜水艦を配備。ソ連は対抗して原潜を氷海に送り込みテストミサイルを発射させる実験を画策します。それに選ばれたのがK-19。しかし航海前のテストは部品の欠陥のせいで失敗。ポレーニン艦長は副官に格下げ。代わりにボストリコフ大佐が艦長に任命されます。
 準備不足にもかかわらずやがて出航。途中では危険な訓練を繰り返す艦長に船員たちの不満が募ります。ポレーニンもそんな艦長に反発しますがボストリコフ艦長は強硬な態度を崩そうとしません。そんな中目的地に到着。テストミサイルの発射に成功。船員たちはひと時の喜びを満喫します。
 しかし本国からは新たな任務が。それはアメリカ近海への監視作戦でした。が、その矢先、原子炉を冷やすパイプの破裂が起こってしまいます。作戦の中止を主張するポレーニン。あくまでも作戦の遂行を目指すボストリコフ。核爆発の危険が目前に迫る中、放射能を浴びながらの決死の修理を始めるのでしたが・・・。

コメント
 実話を基にした物語。こういう映画は難しいと思います。ノンフィクションを前面にするのか、フィクションとして再構成するのか。本作は演出自体がフィクションのそれであるのにテーマはあくまでもノンフィクションとしての扱い。雰囲気に乗って感銘を受けるか、冷静に見て興ざめに映るか、評価が分かれやすい典型の一つはないでしょうか。
 その一因は演出が勝ちすぎること。ひっきりなしの効果音と音楽はさすがにやりすぎの感があります。せりふも同様。いかにもウケを狙っている内容。が、裏を返せば娯楽作品のつくり。おもしろくするための仕掛けと言っていいでしょう。
 時代は1960年代初頭。米ソ冷戦時代で核開発競争のまっさだ中。戦略移動兵器として核ミサイルを搭載した原子力潜水艦に注目が集まった時代です。これにより米ソは世界中のあらゆる場所から核ミサイルを発射することができるようになるわけですが、当時はその黎明期。そんな中、技術、設備共に不十分なまま出航したK-19。前半はボストリコフ艦長(ハリソン・フォード)とポレーニン副官(リーアム・ニーソン)の人間性と確執が描かれます。優秀だが権威的で厳格なボストリコフ。一方で未熟だが人望があるポレーニン。そして危険な訓練のシーンが前半のヤマ。訓練であるにもかかわらず、迫力ある映像で観客を中盤まで引っ張ります。
 中盤、原子炉に異常が発生。艦長と副官の対立の一方で、放射能があふれる部屋の中での必死の修理が始まります。ここで、スクリーンには放射能を全身に浴びる生々しいクルーたちの姿が映し出されます。原子力事故が絶えない現実の問題ともオーバーラップして映像以上にインパクトが強いシーン。が、マニュアル的なエピソードと過剰な演技でかえって現実味を損なっている感もあります。
 終始見所となるのはボストリコフ艦長とポレーニン副官との駆け引き。ところが、これが終盤感動のドラマへと発展していきます。ドラマとしての見応えは十分あると思います。が、一方で、映画ファンなら配役でストーリーが見えてしまう、ということもあります。残念ながらハリソン・フォードはヒーロー役しかしない人。途中がどうであれ、最後にどう収束していくのかが分かってしまうのはちょっと残念。本作もそうなるのだろう、と思っていたらやっぱりその通り。スター俳優本位の映画ならそれもいいのですが、果たして本作はどうなのか。半ばドキュメンタリーという意識が拭えず、娯楽作品として見切れなかったもりじょうは少々不幸だったのかもしれません。ストーリーの見事さに比べると、どこまでもつくり方が安易、と思ってしまった映画でした。
* 評価やコメントは、あくまでも、"もりじょう"の個人的な感性に基づくものです。
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