| 過去のない男 | |
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Mies Vailla A Menneisyytta(2002/フィンランド/97分) [製作・監督・脚本] アキ・カウリスマキ [撮影] ティモ・サルミネン [出演] マルック・ペルトラ、カティ・オウティネン、ユハニ・ニユミラ、サカリ・クオスマネン [評価] ★★★★☆ 暴漢に襲われ過去の記憶をなくした男。コンテナに住み着き浮浪者同然の生活を送る中、救世軍のイルマと出会い愛し合うように。やがてふとしたことから男の名前が明らかになるのだが・・・。過去を失った男が、一見冷たいように見える周りの人たちとの交流を深め、一方で恋に落ちて新しい道を歩んでいく人間ドラマ。不思議な爽快感が味わえる異色の感動作。 |
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ストーリー フィンランド南部のある町。ひとりの中年男がベンチに座っていると三人のならず者が背後に。いきなりバットで殴りつけると、金目のものは奪い、身分の分かるものは捨てて去っていきます。病院に運ばれた男。間もなく医師は死亡の判断を下します。が、男は奇跡的に息を吹き返して外へ。そして海岸で倒れてしまいます。 目を覚ました時、男には過去の記憶がなくなっていました。コンテナに済むニーミネンという男に助けられ歩けるようになります。ある金曜日、ニーミネンはディナーだと言って男を誘います。そこは、救世軍の食糧配給所でした。そこで救世軍のイルマに出会うことに。 やがて行く所のない男は近くの開いたコンテナに住み着くことにします。が、そこにやってきたのはアンティラという男。家賃を払えと言ってきます。仕方なく毎週家賃を払う約束をした男は、職探しに歩きますが名前すらわからない男を雇うものなどありません。そして再び救世軍のイルマを訪ねていくことに。救世軍は事情を聞くと手伝いをさせるようになります。 イルマとの仲も深まっていった頃、男を雇ってもいいという工場が見つかります。が、銀行口座が必要ということ。銀行に行くとたまたま銀行強盗が現れて警察に事情を聞かれることになります。が、記憶がないという話を信用してもらえずに共犯者扱いされてしまいます。しかし救世軍が手配した弁護士のおかげで釈放され、ニュースが新聞に。そのおかげで男の名前が明らかになるのですが・・・。 コメント 昔の映画?、なんて思っていたら意外にも2002年の作品。ちょっと年代の感覚がつかめない背景。途中、電車のビュッフェでいきなり鮨が出てきたと思うとバックのムード歌謡はなぜか日本語の曲。何ともアンバランスな映画だなあ、という印象なのですが、中身はなかなか。エンターテイメント性は低いし、笑えるほどコミカルなシーンがあるわけではないのですが、不思議と目が離せない魅力があります。 物語は、記憶をなくして過去のない男が、ひとりで生活する様、やがて恋に落ち、生きる気力を感じてくる様子を描いています。描き方は取りようによってはややユーモラス。が、テーマ自体はもちろん真剣なもの。ひとりの男が、過去を失ってはじめて自分の居場所を見つけていくという希望にあふれたストーリーとなっています。 主人公の周辺の市井の人々はいずれも個性的な面々。過去のない男から足元を見て家賃をふんだくるアンティラ。最初は何て"がめつい奴"、などと軽蔑していると意外とおかしな奴ぶりがあらわになってきます。家賃が払えない男に飼い犬をけしかけて「襲え」、と命令。が、この犬の何とも迫力のないこと。吠えることすらせずのんびりしたもの。飼い主よりも男になついてしまうのが妙な絵になっています。しかも犬には名前(ハンニバル)があって、それを名前のない人間が世話するのですからこれはもうコメディ。銀行強盗も変なところでお人よしで義理堅かったり、弁護士にやり込められてたじたじになる刑事がいたり、と、見る者の心の中にちゃんと入ってくる描き方になっています。 ところで冒頭で男をバットで殴りつける暴漢たち。"このままにしておいていいのか!"などと思っていると最後にきちんと帳尻合わせ。心憎いシーンがあったります。しかもちょっとしたオチつき。全編静かな展開でひたすら淡々とした描写が続きますが、最後には八方丸く収まり不思議な満足感に浸れる作品。なかなかの佳作なのではないでしょうか。 | |