| 心の旅 | |
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Regarding Henry(1991/アメリカ/107分) [監督] マイク・ニコルズ [脚本] ジェフリー・エイブラムス [出演] ハリソン・フォード、アネット・ベニング、ミッキ・アレン、ビル・ナン、ドナルド・マファット、レベッカ・ミラー、アイーダ・リナレス [評価] ★★★★★ 家庭をも顧みない非情な弁護士が強盗に撃たれ記憶喪失に。記憶が戻らないまま家に帰るとやさしくて思いやりのある父親に。しかしやがて非情だった自分の過去に悩み始める・・・。別人のようになった男とその家族の愛と絆を描いた感動のドラマ。できすぎの展開だが逆にわかりやすい。愛、善、正義、幸せ。人間の本質を美しく描き切った不朽の名作。 |
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ストーリー ニューヨークの大きな弁護士事務所で活躍するヘンリーは、事実より裁判での勝利を優先する非情な弁護士。高級マンションに住みますが、妻サラとの仲は冷え切り、娘レイチェルのしつけも厳しいもので、家庭に人間らしい思いやりのある会話などはありません。 ある夜、ヘンリーはタバコを買いにコンビニに入ったところを強盗に出くわして撃たれてしまいます。意識は戻ったものの重い記憶喪失で、家族や仕事、文字の読み書きすら思い出すことができません。自分がわからず長い間心を閉ざすヘンリーでしたが、リハビリの担当者ブラッドレーのたゆまぬ励ましで少しずつ心を開くように。やがて自宅へと戻るヘンリー。記憶がわずかしか戻らず子供同然の状態。そんなヘンリーに妻サラは、冷たくされていた以前の生活を微塵も見せず、献身的に温かく接します。そして以前は叱られてばかりで決してなつかなかった娘レイチェル。人が変わったようにやさしくなったヘンリーを父親として慕い始めます。 ほどなく、ヘンリーは元の弁護士事務所に通えるように。しかし仕事ができるわけではありません。かえって以前の自分の仕事に非情さに戸惑うほど。さらに事務所には、浮気の相手リンダが。自分がいかにひどい人間だったかを悟っていきます。 富や名声などよりもはるかに大事なものをつかみ、確かな幸せを感じ始めた家族三人。しかし、ある時、ヘンリーが空けた引き出しの中にあった何通ものラブレターを発見してしまいます。その宛名はサラ。怒りと悲しみにくれるヘンリー。そして苦悩の末にヘンリーが選んだ道とは・・・。 コメント 邦題「心の旅」とはよくつけたものだと思います。最も、もりじょうのような世代には"チューリップ"の同名の名曲を連想してしまいます。原題は"Regarding Henry"(ヘンリーについて)。平凡なタイトルの中に、誰にでも置き換え得る、という想いが込められているように思います。 ストーリーは非情な弁護士が事件に巻き込まれて記憶喪失に。そして別人のような優しい人間に生まれ変わる、というもの。この対比は誠に鮮やか。時に痛快ですらあります。なのですが、これを、そこまで正反対になるものだろうか、と作為的と感じてしまうのは素直さが失われているせいでしょう。さらにいえば、変化自体は重要ではなく、生まれ変わった男が突き当たった苦悩、妻や娘と心を通わせていく姿こそがこの物語の本質であろうと思います。 それにしても、ドラマティックさや強いインパクトはあまり感じないのに非常に瞬発力のある描写だなあ、という印象。意外にもあまり"静"のシーンがなく、ほとんど状況描写の積み重ねで構成しているのです。このあたりは静的な心理描写を駆使する日本映画と一線を画すところ。しかし、本作ではきちんと人物に感情移入できてしまう見事さがあります。つまりは人物のせりふや態度の多くが、その人の内面を表すもの。そのせいか、一つ一つのシーンで表現していることがとても分かりやすく、すんなりと感情の中に入ってくるのです。見終わった後、印象深かったシーンは?と問われれば、多くの方は即座にいくつものシーンを思い起こすことができるのではないでしょうか。 主演はハリソン・フォード。あまり演技面での評価はされない人ですが、その粗さがここではむしろ自然さとなって、結果的には好演になっていると思います。妻のサラはアネット・ベニング。彼女の献身的な姿勢に涙した方は多いでしょう。子役のミッキ・アレンも派手さはありませんが、父親の変化を映す鏡的な存在として十二分に役割を果たしています。印象的なのはレイチェルが中身が入ったテーブルのコップを倒してしまうシーンですね。以前はひどくしかられたのに、自分もコップを倒して慰めてくれるようになるのです。「僕もよくやってしまうんだ」、と。しかもそれをそばにいて受け入れる妻。主人公の変化によって周りも変わっていく過程が、心の面から実に丁寧に描かれています。 さて、語ろうと思えばいくらでも語れる、と思っていたのですが、結局この様な拙い解説ではこの作品が持つ感動を万分の一も伝えることができません。見ていない方にはぜひお勧めしたい映画。と、この一言に尽きます。きっと人の心の美しさに触れて涙に濡れることでしょう。 | |