| 救命士 | |
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Bringing Out The Dead(1999/アメリカ/121分) [監督] マーティン・スコセッシ [原作] ジョー・コネリー [脚本] ポール・シュレーダー [撮影] ロバート・リチャードソン [音楽] エルマー・バーンスタイン [出演] ニコラス・ケイジ、パトリシア・アークェット、マーク・アンソニー、ジョン・グッドマン、ヴィング・レイムス、トム・サイズモア、シンシア・ローマン [評価] ★★☆☆☆ 命を落とした患者を救えなかったと思い込み絶望の日々を送る救命士フランク。どん底の精神状態の中、奇跡的に蘇生した老人と彼の娘メアリーに出会う。やがて人間的なメアリーに心のよりどころを求めるようになるのだが・・・。常に人の命に直面し緊迫した現場に当たる救命士の破壊された精神を描いた人間ドラマ。一つ一つのモチーフは深いが、ぶつ切り感は否めない。 |
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ストーリー 夜のNY。救命士フランクの乗った救急車が繁華街を疾走します。途中、見かけたコールガールの顔を見ると、それはローズ。が、ローズはフランクがかつて路上で治療しようとした少女。治療の甲斐なく亡くなってしまいましたが、以来、フランクは自分が救えなかった者たちの亡霊に悩まされるようになったのです。 そんな時、急行したアパート。泣きじゃくっている娘メアリーの傍らには老人が。既に心臓停止で横たわっている状態。が、死亡を確認しようとした瞬間、奇跡的に老人の脈が振れ始めます。急いで救急病院へ運びますが意識不明の状態。しかも病院内は様々な患者でごった返している有様。 そんな中ベッドに縛り付けられている若者が。麻薬で精神が冒され自殺願望を持つようになったノエルでした。知り合いだったメアリーは可哀想とノエルを逃がしてしまいます。そんなメアリーは父親と断絶していたことを後悔していました。 毎日のように懲りもせず病院に運ばれる者。無気力な医師。ローテーションを気にするだけの上司。同僚は、仕事に愛想を尽かしている者、宗教に偏執する陽気な男、偏った正義感で暴力的な男、など、いずれも死に慣れきって無頓着になってしまった人間ばかり。仕事に、人間に、そして人生にも絶望しどん底の精神状態にあったフランク。優しい心を持つメアリーに心のよりどころを求めるようになっていきます。 そんなメアリーからかつては麻薬に溺れていたと打ち明けられたフランク。ある日、いつものように病院に運ばれていたノエルを再び逃がしてやったメアリーを見ます。そして後を追っていくと麻薬の売人の住むアパートへ。待ってみますが、なかなか出てきません。そしてフランクは意を決して中へ入っていくのでしたが・・・。 コメント 「都会は弱い者を殺す」、「いや、あらゆる者を殺す」 全編漂う疲弊感と閉塞感。そこにある重圧は見ている者にも感じさせずにいられないほど。破綻した人間たち、とりわけ救命士にスポットを当てたドラマ。彼らの狂気に、これはリアルな物語なのだろうか、と思うと、大都会の救命士の現実の恐ろしさがまざまざと伝わってきます。作品はジョー・コネリーのベスト・セラーをマーティン・スコセッシとポール・シュレイダーの黄金コンビで映画化。まさに渾身の一本であることが、スクリーンの迫力からも見て取れます。 物語は一人の救命士(ニコラス・ケイジ)にスポットを当て、仕事への重圧から破綻した精神を克明に描いていきます。救えなかった少女(シンシア・ローマン)。それ以来誰も救っていないと、その精神は徐々に病んでいきます。彼が相手にするもの。深夜のNY。公然とはびこる麻薬。無機質な大都会の人間群像。救いといえば他には酒くらい。ここに描かれる人物は皆同じように破綻しているか、いつ破綻してもおかしくない者ばかり。仲間の救命士たちにとってさえ、"死"は単なるルーチンワーク。 やがて男にも救いが。仲直りを決心した矢先に父に倒れられた女性(パトリシア・アークェット)。彼女の優しさに引かれる救命士。しかし彼が求めたものは"愛"ではありませんでした。 映画中のモチーフの一つ一つは大変力のあるように感じられます。が、一人の救命士を終始追い続けているにもかかわらず、散漫なイメージを抱いてしまうのはなぜなんでしょうか。どうも、モチーフがぶつ切りになっていて、情景描写から心理を推し量るまでには至らない、という気がしてなりません。この心理描写のわかりにくさ、あるいは乏しさが、本作の問題ではないかと思うわけです。 疲れきった男のアップで始まる冒頭が象徴するもの。この冒頭はそのまま、やはり象徴的なラストシーンへつながるわけですが、あとは枝葉末節というつくり。ストーリーもお世辞にもおもしろいといえるものではないと思うのですが、その代わり状況描写、人間描写の迫力はさすがと言えるでしょう。このあたり、見る人によってカバーできるほどのものなのか。ちょっと好き嫌いができそうな映画ではあります。 | |