映画鑑賞記

アザーズ
preview The Others(2001/アメリカ・スペイン・フランス/104分)
[監督・脚本] アレハンドロ・アメナバール

[出演]
ニコール・キッドマン、フィオヌラ・フラナガン、クリストファー・エクレストン、アラキナ・マン、ジェームズ・ベントレー、エリック・サイクス、エレイン・キャシディ、ルネ・アシャーソン、アレクサンダー・ヴィンス

[評価] ★★★☆☆
戦争に行ったきり返ってこない夫を子供二人と共に待つ妻。不気味な声や音。広大な屋敷で次々と起こる怪奇現象。その驚くべきその原因とは・・・。はたして幽霊はいるのかいないのか。終始心理的な恐怖感をあおってくるゴシック調ホラー。ラストはあまりにも見事。でも途中は・・・。
 第二次大戦末期のイギリス、ジャージー島。グレースと二人の子供、アンとニコラスは広大な屋敷に住んでいました。出征した夫を待ちわびながら。
 ある日、募集していたのに一向に来なかった使用人がやっと屋敷にやってきます。手が足りずに困っていたグレースはすぐにやってきた三人を雇い入れます。そして大量の鍵束を見せて注意するグレース。子供たちは日光に皮膚が負けてしまう体質で、子供たちが日光の当たる部屋に行かないように、いちいち鍵を開け閉めしながら屋敷を移動する必要があったのです。
 ほどなく屋敷では不思議な現象が起こり始めます。足音や話し声、ピアノを弾く音。誰かが屋敷内に侵入しているのだとグレースはおびえます。やがて子供たちは、他の子供を見たと騒ぐようになります。最初は信じなかったグレースですが、自分も何者かの気配を感じるようになります。しかし使用人たちは不思議に動揺していない様子。ある時、アンが自分が見たという人間を絵に描いて見せます。その絵に描かれていたものは・・・。

 ホラー映画です。孤立した屋敷。謎の使用人。度重なる超常現象。見えない霊の影におびえる家族。前提条件を十分にそろえてA級作品のつくりに挑んでいます。怪しい映像といい、緊迫感のある構成といい、そして意外な結末といい、製作側の意欲が十分にうかがえる作品ではないでしょうか。
 さらに背景。終始なかなか趣のある雰囲気を出しています。怪しさの上に叙情的なところもあってちょっと不思議な感じ。別世界感がよく出ていると思います。主役の二コール・キッドマンは好演でしょう。神経質で情の薄そうな母親役。ちょっとやりすぎの感もあるにはありますが、ラストを見てから振り返ってみれば納得。目の覚めるような美人なだけに、演技の面では批判を受けがちのようですが、比較的分かりやすい上に汎用性がある演技でいいのではないでしょうか。
 さて内容。出るぞ出るぞ、と勿体ぶたせて引っ張るだけ引っ張ってなかなか出さない。それならそれでいいのですが、他に何か訴えてくるテーマを感じたか、というとそう言えるほどのものもありません。結局インパクトが減っただけ。本来は夫を待つ妻と子供たちとの繊細なドラマがもっと展開してもいいと思うのですが、この点はひどくあっさりと描いてしまっています。せっかく戻ってきた夫が何も真実を語らずに、しかもあっという間に去っていってしまう。いったいあのシーンは何だったんだろう、と思ってしまうほど不思議なシーン。また、グレースの恐怖感は伝わってきますが、常時真実はどこにあるのかに気を取られるので感情移入までは行かない状態。つまりは恐怖を演出するテクニックにばかりこだわってしまっているのではないでしょうか。もっと腰を据えたつくり方を、とも思うのですが、実はこれはホラー映画の宿命。多角的なつくりにしにくいので、ホラー映画は常に賛否両論にさらされやすい存在になってしまいます。が、それを考慮に入れても本作品は中途半端ではないでしょうか。
 ラストの意外性。これは本作品一番のウリでしょうね。あーそうだったのか。納得して満足。これほどのものはなかなかないのでは、と思います。ただし、結末そのものは普通なら見事、と言いたいところなのですが、これをそれまでのインパクトの低い展開に対する欲求不満と引き替えにできるかどうか。ん〜、微妙なところでしょうか。個人的には、ラストシーンを見るためだけでも必見の映画、と言っておくことします。
* 評価やコメントは、あくまでも、"もりじょう"の個人的な感性に基づくものです。
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