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ア・フュー・グッドメン

A Few Good Men(1992年/アメリカ/138分)

[監督]ロブ・ライナー
[原作](劇)アーロン・ソーキン
[脚本]アーロン・ソーキン
[撮影]ロバート・リチャードソン
[音楽]マーク・シャイマン
[出演]トム・クルーズ、ジャック・ニコルソン、デミ・ムーア、ケビン・ベーコン、ケビン・ポラック、ジェームズ・マーシャル、J・T・ウォルシュ、キーファー・サザーランド、クリストファー・ゲスト、J・A・プレストン、マット・クレイブン、ウォルフガング・ボディスン

[内容]

 キューバの海軍基地でひとりの兵士が死亡する。逮捕された二人の兵士は命令を遂行しただけと弁明して無罪を主張。その命令とは "コードR" (暴力的制裁)。弁護人キャフィたちは少ない反証と階級の壁に阻まれながらも真実に迫ってゆくのだが ・・・。命令とは、国防とは。その本質に迫り、若手弁護士の成長とともに描いた異色の軍事法廷ミステリー。長丁場の娯楽作品だがしっかりしたテーマ性に支えられて見応えのある作品に。
[評価]★★★★☆

cinema review

STORY

 キューバ、米海軍グアンタナモ基地。厳しい訓練についていけないサンチャゴ一等兵が転属願いを出すと、指揮官ジェセップ大佐はこれを許さず落伍兵とみなして再教育を命令。参謀・マーキンソン中佐の反対にもかかわらず、その命令 "コードR" はケンドリック中尉からドーソン兵長へ。そしてある深夜、ドーソンはダウニー一等兵と共にサンチャゴにコードRを実行。が、一時間後、思いもかけずサンチャゴは死亡。一転、ドーソンとダウニーは殺人で起訴されることになってしまいます。
 一週間後、ワシントン、法務監本部。二人の無罪を信じて弁護を希望した内務調査部のギャロウェイ少佐。しかし上層部は経験の浅いギャロウェイを避け、事前取引専門のキャフィ中尉に弁護を命じます。さらに補助弁護人に管理能力に長けたウェインバーグがつくことに。
 しかし、命令通りにやっただけと無罪を主張する二人は、このままでは有罪になると事前取引を持ちかけるキャフィに反発。双方打ち解けることなく裁判が始まってしまいます。しかも、キャフィもギャロウェイも裁判は経験不足。一方、コードRを認めないジェセップ大佐とケンドリック中尉。が、ほどなくマーキンソン中佐が失踪。キャフィに接触してくると、真実を話し始めるのでしたが ・・・。

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COMMENT

 軍事裁判で印象的だったのが「突撃」や「ケイン号の叛乱」。いずれも軍隊という特殊な環境下での異常な命令がまねいた裁判を描いたもの。が、本作ほどに裁判のモチーフがメインであるわけではありません。終始、裁判を根底に敷いた本作。単調さも感じられないではないのですが、しっかりしたテーマ性、そして個性的な登場人物たちと緊迫した人間関係を描くことで見事に長丁場を乗り切っているように見えます。
 映画は、コードR(暴力的制裁の非公式の命令)によって起こった兵士死亡事件をめぐる裁判を終始描いています。事件の舞台はグアンタナモというキューバのアメリカ海軍基地。が、キューバは革命(1959)を機にアメリカとの国交を断絶(1961)。にもかかわらず、それ以前よりあったこの基地(アメリカが無期限で租借中)からアメリカ軍は退かず、維持し続けたという経緯があります。物語はこの基地の特殊性が鍵となっています。日本人にはなじみの薄いシチュエーションですが、アメリカ軍にとっては最前線同然の場所なのです。
 内容は、裁判や調査での緊迫したやり取り、新たにわかる真実、露わになる本音、と大変見所の多いモチーフを揃えています。ドラマになりやすい法廷シーンの特質をフルに生かしたシーンといえるでしょう。ただし、現実味という点では今ひとつ。この点はおもしろさを追求した娯楽作品のつくりに近いと言えます。
 一方、構成上では、同じ内容を違うモチーフで繰り返すところもあって、140分とちょっと長くなってしまっています。もう少しコンパクトに収まりそうな気はしますがそれでも十分な重厚感。まあ、多分にジャック・ニコルソンの貢献が大かもしれません。が、本作では、人物像通り、かなりあくの強い演技ではあります。トム・クルーズ、デミ・ムーアという当時は若手だった二人との絡みでは格の違いがちょっと出てしまった感じ。
 物語は、ある落伍兵にコードRが発動され、二人の兵士によって実行。しかし意に反して死んでしまうというもの。無罪を主張する実行兵二人の弁護を、キャフィ、ギャロウェイ、ウェインバーグが引き受け、真実に迫っていきます。この弁護側の三人は社会の縮図のよう。感情むき出しに正義と真実を求める理想主義のギャロウェイ。真理よりも実を重視する現実主義のキャフィ。そして庶民的なバランス感覚を象徴しているのがウェインバーグ。顕著なのが、被告の無罪を断固として支持するギャロウェイ。対して事実がどうあろうが事前取引で最小の刑で収めようとするキャフィ。しかしウェインバーグは、真実はどうあれ二人の被告は弱い者をいじめたのだと嫌悪感を隠そうとしません。このあたりは見る者の考えをそれぞれが代弁しているような演出。ツボを押えた設定といえるでしょう。
 最後、裁判はついに命令者・ジェセップ大佐へと及びます。物語のクライマックスでは、大佐のわずかな矛盾をキャフィが論破。大佐は自滅するのです。が、命令通りにやっただけと無罪を主張したドーソンは、最後には弱い者は守るべきだったと悟ります。それこそがまさに国を守る本質なのだと本作では伝えているのかもしれません。そのラストは決して痛快間、爽快感に彩られたものではありません。いまなお存在するグアンタナモ基地。報道により、現実に人権問題が発生していたことは記憶に新しいと思います。娯楽作品としての見応えも十分ですが、いろいろと考えさせられる映画ではなかったでしょうか。

(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)
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 本作の原作・脚本、アーロン・ソーキンは今や人気テレビシリーズ「ホワイトハウス」の製作・脚本としても有名。社会派的なテーマを見事にエンターテイメントに変えていく手腕は見事と言えます。

www.sasaraan.net

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(c) morijoh