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アパートの鍵貸しますThe Apartment (1960年/アメリカ/121分)
cinema review ![]() STORY
ニューヨーク。3万人が勤める保険会社の本社ビル。C・C・バクスター(通称バド)は保険料計算課のヒラ社員。バドは四人の課長に毎夜のように部屋を貸し出し、出世を目論んでいた。課長たちはバドの部屋で落ち着いて不倫を楽しみ、折を見てバドの昇進を部長に推薦するというからくりだった。
ある日、シェルドレイク部長から呼び出しが。いよいよ昇進かと期待するが、四人の課長がそろって推薦するのはおかしいと逆に問い詰められる。仕方なく秘密を白状すると、何と部長も鍵を要求。早速鍵を手渡す羽目に。一方その日、バドは憧れのエレベーターガール、フラン・キューブリックを思い切ってミュージカルに誘う。何とかOKをもらうも、ついに待ち合わせの場所にフランは現れなかった。実はフランは部長の不倫相手だった。 数週間後、バドはめでたく係長に昇進。ほどなくクリスマス・イブ。バドは自分の部屋にあった忘れ物がフランのものだと知って大ショック。一方、フランも、部長の秘書オルスンから、部長とは以前付き合っていたともらされショックを受けていた。しかも離婚するとうそをついて何人もの女性と関係してきたという。フランも部長のうそを信じていたのだ。 その夜のバドの部屋。フランは部長に問い質し、これがただの火遊びであることを悟る。そして部長が去った後、睡眠薬で自殺未遂を図る。そこに帰って来たバド。昏睡状態のフランを発見してビックリ。隣に住むドレイファス医師に診てもらい、何とか命を取り留める。それから二日間、再び自殺しないかと気を揉みつつも、せっせと看病を続けたのだが ・・・。 ・・・ ![]() COMMENT
ビリー・ワイルダー監督のラブ・コメディ。ハリウッドの黄金期らしいいかにも陽性な快作。脚本は名匠ビリー・ワイルダーと超人気脚本家 I・A・L・ダイアモンド。コミカルながらもちょっと切なくほろ苦い。人情味たっぷりに、しがないサラリーマンの恋を描きます。当時スター街道に乗って間もない二人、ジャック・レモンとシャーリー・マクレーンのコンビが絶妙。二人とも主演スターとしての地位を確固たるものとしました。
物語の主人公バド(ジャック・レモン)は、出世のために自宅アパートの鍵を上司にレンタル。が、ある時、憧れのフラン(シャーリー・マクレーン)がその上司の浮気相手だと知って落胆。一方のフランは上司が遊びだと知って自殺未遂。それをせっせと看病するバド。しかしフランは、それでも上司を好きだと告白。バドは大好きなフランのため、二人の復縁に精を出す羽目になってしまいます。 ジャック・レモンは得意の神経質そうな仕種で、その滑稽さたるや絶妙のコメディアンぶり。そのいかにも小市民といった生活ぶりは見所満点で、安アパートのつくりにも目をひかれます。狭いキッチン、手動のガスコンロ、騒音が下や隣の部屋に響いて苦情が出たり、と、何だか他人ごとではない程々の貧しさ。親しみがわいてしまいます。そして料理や食事、ひげそりなど。日常の何でもないシーンだから冗長になるはずですが、ジャック・レモンはそれを見事に個性的で見飽きないシーンへと変えてしまっています。 何より、毎夜違う女を連れ込んでいると思われ、隣の部屋の夫婦にスケコマシに間違われる姿がおかしさ満点。でもバドは否定せず、甘んじて批難を受けるのです。何と言っても、フランの幸せを第一に考え、自分は一歩引いて部長との復縁に奔走してしまうバドには切なさを感じてしまいます。笑いとペーソスというチャップリン以来のエッセンスはちゃんと息づいているようです。 一方、当時のシャーリー・マクレーンのキュートさは比類がありません。コケティッシュ、とよく言われます。さらに本作の特徴は、シリアスな心情の人物を映しつつ、きっちりとコミカルなシーンにしてしまうところ。バドが失恋で落ち込む深刻なシーンなのに、欲求不満の騎手夫人がストローの包みを吹き当ててバドをハントするシーンなどは何ともユーモラス。コメディとしてのスタンスをあくまでも崩さずに感動の高みまで昇華させてしまうのはさすがです。 最後、アパートの鍵を貸すことをついに止めたバド。が、それはクビを意味していました。一方バドの想いをついに悟ったフラン。バドのアパートへと走って行きます。最後はちょっとした痛快劇。そして期待通りのハッピーエンドに持っていく流れはお見事。が、感動的なはずのラストにもオチが ・・・。何でトランプなの? いやはや、ラブ・コメディのお手本のような作品でもあります。この映画に満足しない人はいないでしょう。 |
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ワイルダーxダイアモンドxレモンxマクレーン のコンビは三年後に再び発揮。「あなただけ今晩は」(1963)はパリが舞台。まじめな巡査がいつの間にかヒモとなって娼婦に恋してしまう物語。本作同様ラブ・コメディですが、ドタバタぶりはパワーアップ。いずれも傑作として知られます。
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